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君の生意気な口とはサヨナラで。
「ねぇねぇ、どーしていっつもマスクつけてるの?」
「…は、?」
「ずぅーっと付けてるよね!マスク。」
「別に…なんでも良いだろ。」
「えぇ~知りたいじゃん。いいでしょ?それくらい教えてくれたって。」
「関係ないやつには自分のこと、あんまり言いたくない。」
「じゃあ、関係なくなく無いようにすれば良いんじゃん?」
「なくなく…?…?」
「つまりうちら友だちになればいいってこと!そしたら関係なくなくなくないよね!」
「無理。しつこい。断る。」
「じゃあ早速明日からお友達目指すから!じゃね!」
「おい、理不尽な…」
「ちょっと実久~誰と話してんの~?」
「え~なんでもないっ購買いこ!購買!」
「いこいこ!」
「はぁ~なんだあいつ。」
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「おはよっ子池森!」
「いきなり、名前…?」
「あ、名字が良かった?」「断固拒否。」「ツレないなぁ~つまんないの。」
「朝っぱらから何の用?」
「特にないけど。何?用がなかったら話しかけちゃいけない?」
「そうじゃないけど。」「じゃあいいじゃん。」
「実久おはよ!」「おはよ~!」
「じゃね、子池森クン。あ、そだそだ。マスク、なんでずっと付けてんの?」
「…まだ早いぞ。」
余裕そうな笑みを浮かべて君は友達とどこかへ行った。
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「子池森~おはよう!」
「…はよ。」
「お~挨拶してくれるんじゃん。なんでマスクつけてるんだっけ。」
「まだ。」「ちぇぇ~」
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「おはよ!」
「…」
「なんでぇ挨拶くらい返しなさいよ!モテナイぞ!」
「良いよ別に。」
「マスクつけてる理由、教えて!」
「…無理。」
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「子池森おは…」「いい加減うざい。目障りだ。僕が答えたくないって言ったらそれで諦めろ。」
「あ…うん。そっか。ごめん。」
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「おい!子池森聞いたか!?」「は、?何を?」
「実久、死んだってよ。」「あ!?」
「今日朝登校してくるときに事故ったって…」
「でもあの実久がマスクつけてるなんてな…」「マスクつけてた…?実久が…?」
「あぁ。なんか、子池森みたいな。黒いマスク。」
僕はもう、戻れない。
Your mouth is not here――