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雨。
雨が降っていた。ただ静かに、雨粒が地へと降り落ちる。
なんて静かだと思った。今の世界に、これほどの静けさはあるのだろうか。
私は歩く。この雨の中を、この静寂の下を。
私達は人知れずして、暴虐の海に溺れているのかもしれない。
時に人を苦しめ、時に自分が苦しむ。そんな海に。
私たちは身勝手なのだ。
けれども私たちは、それを周りに降らす。何も考えずに。
この雨のように、それは降ってくる。
だから私はそれを受け止める。
それをする人がいない限り、それはずっと降り続ける。
しかし、私は不器用だ。だけど、不器用なりに頑張っている。
不器用だからなんだ。できないわけじゃない。
できないならできないで、できることをやればいいだけだ。
けれど、それを言い訳としてやらない人もいるとか。
何かを言い訳にし、何かをやらない。
それは怠惰じゃないのか。
私はそんな人間にはなりたくはない。
『何かを言い訳にしてもいい。逃げてもいい。
だけど、諦めるな。諦めずに立ち向かえ』
そう誰かに教わった。
その教えを以てして、私は成っている。
私という人間は、周りにいる人によって構築されている。
感化され、影響され、私は成る。
雨のように降り注ぐ情報を受け止めている。
だから私は雨を受け止める。
私が、私であるために。