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26話〜敗北〜
奏者ボカロファン
今回もグロいねぇ。
―賭博師視点―
目の前で起こった出来事を受け入れたく無かった。
さっきまで、あんなに元気だったクレン。
なのに今は、頭と喉から大量の血を流して······。
賭博師「テッメェ············俺のクレンに何してくれてんだッ!!!」
怒りに身を任せて次々と敵を倒していく。
そして、制服のポケットからトランプを取り出し、シャッフルした。
賭博師「|役揃エ《テキサスポーカー》······|死札《フォーカード》ッ!!」
すると、カードが4枚飛び出し、弾幕を放った。
敢えてフォーカードにしたのは、今から最高術を使って魔力切れになっても魔王を倒せなかったら無意味だから。
本当の賭けっていうのは、後々の事も考えて、策略立てながら挑む事だって、俺の師匠が言ってたんだ。
魔王「アラアラ!凄い魔術だわ!!でも、この程度じゃアタシを倒すなんて夢のまた夢よ!」
賭博師「はっ···テメェと違って、こっちは策略立てながらやっ·········がっ···!?」
いきなり首に強い衝撃が加わり、気が付くと壁に叩きつけられていた。
あまりの痛さに息が上手く吸えない。
何が起きた?今、ヤツは···何をした?
魔王「こんな長い物付けてたら、どうぞ引っ張ってくださいって言ってる様な物じゃない!」
そうか、コイツ······俺の首輪から伸びた鎖を引っ張りやがった······!!
無理にでも立ち上がろうとすると、魔王は手を前に翳し、言った。
魔王「······|風破衝動《テンペスト》。」
辺りに風が巻き起こる。
それが、俺の身体に当たると、至る所を切り刻み出した。
賭博師「グァ············ッ!?」
全身に激痛が奔る。
痛くて痛くて、意識が飛びそうだ。
それでも、必死に抵抗した。
魔王「アナタ···結構強くていい動きするわね!でも···そろそろ終わりにしましょう?」
そう言い終わるか終わらないかのうちに、ヤツは回し蹴りをした。
そのまま吹き飛ばされ、再び壁に叩きつけられる。
その時、脇に立っていた甲冑が持つ返し付きの剣が俺の身体の真ん中を貫いた。
賭博師「ゔぅ······クソっ···········!!」
抜こうとしたが、返し付きであるのと、深々と刺さり過ぎたせいで、剣はびくともしない。
クソ······あのガキが、俺に首輪付けて無けりゃこんな事なってなかった。
勝ち目だってあった。
そもそも馬鹿みてぇに厳しく取り締まったアイツが······。
賭博師「······ッ!?」
ガタリと音がして、俺は反射的に顔をあげる。
気が付くと、俺の前に、片手に槍を持った1人の死体が立っていた。
ソイツは既に白骨化していて、カタカタと乾いた音を鳴らしながら近付いて来る。
賭博師「テメェ······これ以上近付い······っ!?ア"············ッ?」
俺が言葉を発した瞬間、開かれた口に槍を突っ込まれ、奥を貫いた。
一体、骨の身体でどうやってそんな力を得ているのか。
ソイツは直ぐに槍を引き抜いた。
賭博師「がはっ······ゲフッゴブッ············」
口の中から大量の血が吹き出る。
作者「キャぁぁぁぁッッッ!!」
すると、狐の叫びが響いた。
咄嗟に見ると、彼女は糸で雁字搦めにされ、吊るされている。
まずい、早く助けないと······。
しかし次の瞬間、一気に身体の力が抜け、俺はその場に倒れていた。
段々視界が狭くなっていく。
意識が途切れる直前に見たのは、まだピクピクと脈打っている俺の心臓を手にして無機質に此方を見つめる死体の姿だった。
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―作者視点―
魔王が出してきた糸に吊るされながら、私はライが殺される一部始終を見ていた。
骨と化した死体は、彼から引き抜いた心臓を近くに投げ棄てる。
それはまだ脈打っていて、不気味に蠢いていた。
下からは、私を助けようとする声や、叫び声が聞こえてくる。
私もさっきから脱出しようとしているが、糸が硬すぎて切れない。
すると、またキリキリという音が聞こえた。
次の瞬間、私の身体は糸で締め付けられ、一瞬遅れて痛みが襲って来た。
作者「い"ぁ"······や·········っ!?」
首やお腹を絞められているから息がし辛い上に、糸も細いから、皮膚を突き破って喰い込んで来る。
欠番「··················!?!?!?」
火炎竜「ナルっ!?だ、誰か······ナルの炎消して!!」
下では、魔導書を持った死体が繰り出した魔術によって炎に包まれたナルと、それを助けようとガルーダが必死になっている。
残りの2人は私を助けようとしているけど、死体達に阻まれて中々身動きが取れないでいた。
その間にも糸はどんどん絞まっていく。
身体にどんどん糸が喰い込み、血が糸を伝って零れ落ちる。
そして················。
バキバキッッッ!!!
作者「あ"っ···い"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ッ!!」
身体のあちこちの骨が砕かれ、嫌な音を立てた。
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―火炎竜視点―
頭上で骨が折れる様な嫌な音が鳴り響き、上を見上げる。
狐さんはあちこちの骨を砕かれていて、苦しそうに息をしていた。
ナルを早く助けて、狐さんも···。
そう思ったが、ナルは既に燃え尽きていて、床に転がり動かなくなっていた。
火炎竜「ナル······?そんな······っ!」
近付いて肩を揺するが、ピクリともしなかった。
作者「あぁ"······ゔぁ"ァ"ァ"ァ"······っ。」
その直後に狐さんのうめき声が聞こえ、咄嗟に見た。
糸は更に彼女のお腹に喰い込んでいて、そこから流れた血が床に溢れる。
仮面をしている為表情はよく分からないものの、苦しげなのは明白だった。
そして、次の瞬間、ゴボッ···という音が鳴り、彼女の仮面の脇から大量の血液が滴り落ちた。
火炎竜「狐さんッッッ!!」
僕は狐さんに向かって叫び、迫ってきた死体を踏み台にして飛び上がる。
火炎竜「|火炎剣《メラーガ》······!!」
呪文を唱えると、炎で出来た剣が生成された。
そして、狐さんを縛り付けている糸に向かって振り下ろす。
しかし、糸はびくともしなかった。
糸を断とうと躍起になっていると、目の前に一匹の巨大な蜘蛛が降りてくる。
ソイツは、少しの間眺めたと思うと、手にしていた炎剣を弾き飛ばし、僕を床に突き落とす。
そして僕の上に乗り、足を身体に突き刺して腹を裂き、中に顔を突っ込んで食べ始めた。
火炎竜「ぎゃぁ"ぁ"っ······やめっ······!!!!!」
グチャグチャと、内臓を掻き回して食い千切る音が聞こえてくる。
もう駄目だと悟った僕は、最期の力を振り絞り、ダイスに向かって叫んだ。
火炎竜「ダイス······っ!!そ、その···落ちてる炎剣でっ············狐さんの糸···をっ·······き、斬って···くれ··················!!」
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―詐欺師視点―
目の前にはガルーダが生成した炎剣が落ちている。
しかし、当の本人は······。
詐欺師「そ、そんな······僕に、出来るわけ、な······」
火炎竜「おね······が、いだから······っ!!」
彼の苦しそうな叫びを聞いて、僕は震える足を無理矢理動かし、炎剣を拾った。
······僕みたいな弱い人より、ルシファーとか、もっと強い人に頼んだ方が迷惑じゃないのに······。
堕天使「ぐあぁ············っ!?」
直ぐ後ろでルシファーの声が聞こえ振り向くと、彼は翼を千切られ、頭を槍で貫かれていた。
彼の下には、大きな血溜まりが出来ている。
詐欺師「うぁ······ルシファーッッッ!!!!!」
あぁ、もう駄目だ。
もう僕しか残ってない。
僕が強ければ、もしかしたらもうちょっとは耐えられたかも知れないのに。
でも······。
詐欺師「ぼ、僕が······やるしか、無いんだ···。」
ちゃんと、お兄ちゃんみたいに······
詐欺師「······え?」
あれ?お兄ちゃん?僕には、弟はいるけど兄なんていない。
なんで。
《《なんで今、僕はお兄ちゃんと言った》》?
詐欺師「······っ!!」
考え事をしていたら、後ろから死体が迫って来る。
駄目だ、今は何も考えない様にしよう。
今は何も······。
詐欺師「狐さん······今行くからっ!!」
死体が突き出した槍を躱し、ソイツの頭を踏みつけて跳び上がる。
既に白骨化していたそれは、ガラガラと大きな音を鳴らして崩れた。
そして、狐さんを縛る糸に向かって、炎剣を振り下ろした。
詐欺師「············っ!!火車ッ!!」
糸は燃え上がり、一本ずつ解けていく。
僕は、狐さんをしっかり受け止めて、床に着地した。
だけど······。
詐欺師「狐······さん···?」
彼女は既に事切れていて、氷の様に冷たくなっていた。
腕は力無くダラリと垂れ、いくら揺すっても目を覚ましてくれない。
嗚呼······また···《《また、助けられなかった》》。
僕が弱いせいで、僕の力が足りないせいで。
暫く呆然としていると、後ろでガタリと音がした。
マズイと思って避けようとしたが、もう遅かった。
倒れてきた巨大な瓦礫が僕に覆い被さる。
咄嗟に動いたおかげで上半身は無事だったものの、下半身の感覚が全く無い。
震えながら後ろを見ると、倒れた瓦礫によって僕の下半身は切断された挙句押し潰されていた。
詐欺師「·············は········?」
何だろう、この感覚は。
身体の上と下が両断されて、動けなくなる、この感覚。
周りには、人がいっぱい集まっていて······。
僕は、何を伝えたかったんだろうか。
身体を真っ二つにされた激痛?救助を呼ぶ前にスマホを取り出してカメラで動画を撮影している野次馬達に対する怒り?憎しみ?
いいや、違う············。
僕はただ、お兄ちゃんに謝りたかったんだ。
お兄ちゃんに、ありがとうって言いたかったんだ············。
朦朧とする意識の中、僕は全てを思い出し、気が付くと目から一筋の涙が流れていた······。
to be continued······
|風破衝動《テンペスト》···何だろ、ドラクエでいうバギクロスみたいなの。
そりゃ痛いよね。
狐さん·····鬼○のあのシーンかな???((((オイ
あのシーン感動したんだよなぁ。昔の事思い出して、神楽取得してさ(今関係無い話)。
オイダイスヒノカ○神楽もどきしてんとちゃうぞ((((殴
ってか、ナル元から真っ黒だから燃えてもあんまり変化無さそう。
魔狼「ナル、アイツ消していいよ」
欠番「りょ👍️」
エッチョットマッテゴメンユルシテ
ふー···危なかった。
それよりなんでダイス最後まで生きてんねんお前んな強無いやろ((
ほら、花ちゃん。
お主がルシィ一度も血ィ流してへん言うからやってやったで、満足か???
天の声「なんで関西弁······???」