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嫉妬。
“ねぇねぇ、貴方聞いた?騎士団長様の彼女さんのこと♡”
“聞いたわよ‼︎ 幼馴染の女性騎士さんなんですって?”
“あの二人、以前から仲良くてお似合いだと思ったのよね〜♡♡”
…彼女?
騎士団長様……つまりひかるに?
どくんどくん、と心臓が速く脈打ち始めた。
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「ねーユニ……どう思う?」
宮殿のお庭。
おひさまの光が当たってキラキラしてるユニコーンに問いかける。
【その噂ってホントなの?】
「えー、だって宮殿に居る侍女さんとか執事さん、偉い人たちまでそう言ってるんだよ?」
【てかひかるの彼女さんって誰?】
「ほら、|雪音《ゆきね》さんって人。…てゆーかまだ一応噂だし‼︎」
【んー…蓮はなんでそんなにひかるの恋愛事情気にしてるの?あくまでも蓮専属の騎士さんってだけでしょ?】
「…っ⁉︎ それは、……」
【んふふ、やきもち焼いてるんだね】
「へぇっ⁉︎ ちがうちがうちがうってば…‼︎」
【そーゆーことでしょ?言い訳ある?】
「…ん、だってひかるは蓮だけの騎士さん、…だから………他の人守ってるのいやだ、」
【それをやきもちって言うんだよ】
「…///」
【とりあえずひかるに直接聞いてみたら?】
「⁉︎ それは無理っ、…嫉妬してるのバレちゃうかもじゃん、」
【んじゃー蓮はさ、付き合ってるのか付き合ってないのかモヤモヤしたままでいいってこと?】
「…だめ」
【でしょ?じゃあ聞きに行ってきな】
むすっとしながら俺は庭を出た。
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お城の訓練所に着くと、一気に空気がピリッとしてきた。
岩「…訓練しないなら帰るか?」
「ひっ、…帰らないです団長、……でも休憩とか…」
岩「さっき休憩入れたばっかだろ」
「さっきって……もう2時間も前ですよ⁉︎」
岩「2時間しか経ってねーじゃん。それに俺に口答えしてる余裕があるならまだまだいけるってことだよな?」
「ひぃっ…‼︎」
訓練所の門からそっと覗いていると、そんな会話が聞こえてきて。
ひかるってこんな怖いの…?
俺にはそんなでもないのに…
「あ、あれ‼︎ 団長っ、殿下がいらっしゃいます…‼︎」
やべ、バレた。
岩「…殿下?」
「ほら、門のところに…」
怪訝そうに振り向いたひかると俺の目が合う。
ひかるは嬉しそうな顔をするはず…と思いきや、怪訝そうな顔を変えぬまま、俺の少し上あたりを見つめてる。
??
とりあえず、ひかるに…
「ひかるーーーっ‼︎」
岩「蓮、動くなっ‼︎」
「んぇ、?……っわ⁉︎」
ひかるが珍しく自分から抱きつきに来たと思って両手を広げたら、ひかるは俺をぎゅっと抱きしめて倒れ込む。
ひかるが俺ごと2、3回転して受け身を取った。
顔を上げると、目の前には見知らぬ人が。
マントに見たことのない異国の紋様。
岩「…何しに来た」
「オウジを、…ヨコセ‼︎‼︎」
そう言って長く鋭い剣を構えて俺の方に突っ込んでくるので、びっくりして固まっていると…
速すぎて見えないスピードでひかるが懐の短剣を取り出し、相手の長い剣を防いだ。
「ひかるっ…」
岩「蓮はいいから動くな」
そのまま、目の前で火の粉が散るほど激しい剣の攻防が続く。
相手の剣を読んだかのように、当たるギリギリのところでひかるがかわし、次の瞬間ひかるが相手の懐へと入り込む。
ガンッ…‼︎
ひかるの短剣の柄が相手の剣を弾き、空中へと舞っていった。
気づけば、ひかるの短剣が相手の喉元に突きつけられていた。
岩「王子を|攫《さら》えるとでも思ったか?_____間違いだな」
「くっ、……」
どさりと崩れ落ちる侵入者。
騎士団の人たちが息を呑む。
その中には、顔を真っ赤にして見ている女性騎士、雪音も_____
なんだかもやっとしちゃって、いつもだったらひかるに飛びついていたのに今日はそんな気分になれなかった。
ひかるは立ち上がったあと、雪音さんの方へと歩いていった。
え、と思いながら無意識に服の裾を握りしめる。
岩「おい雪音、大丈夫か」
雪「えぇ、すごかったわ…」
岩「_____ほら行くぞ」
雪「え、別に……わっ⁉︎」
ひかるは雪音さんを軽々とお姫様抱っこし、訓練所の門をくぐっていった。
お姫様抱っこ、蓮だけにしかしないって前言ってくれたのに……。
涙がこぼれそうになったので、見られたくなくて俺も急いで訓練所から出ていった。
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「ほら着いたぞ」
「…ハァハァッ、」
「雪音、とりあえずこの医務室で休んでろ。…ていうかなんで熱あんのに来るんだよ」
「…だってひかるが怒るじゃない」
「別に体調崩してる時まで来いなんて言うほど俺は鬼じゃないぞ」
「貴方は鬼なの。…そういえば殿下は?さっきの侵入者のことだいぶ怖がってそうだったけど、アフターケアはいいの?」
「鬼じゃねーし。蓮は大丈夫だろ、あー見えて抜けててあんま気にしてないだろうから」
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どれくらい歩いたんだろ。
気づけば、中庭のその奥の回廊、人がほぼ通らない場所まで来てしまった。
_____“ほら行くぞ”
_____“え、別に……わっ⁉︎”
蓮にやる時と同じくらい、自然に、迷いなくお姫様抱っこしてた。
ーーお姫様抱っこは蓮にだけ、って言ってたのに。
「…うそつき」
岩「誰がだよ」
「………ひかるが。……ってうわ⁉︎」
振り向けば、嘘つきって言ったことに拗ねてるのか口を尖らしたひかるがいた。
今にも泣きそうな俺の顔を見られたくなくて、逃げようとしたらぎゅっと手を掴まれた。
岩「逃げんなよ」
「…逃げてない」
岩「嘘つくな」
そう言って俯いている俺の顎にそっと長い指が添えられ、強制的に顔を上げさせられた。
俺と目があった瞬間、ひかるは眉を寄せた。
岩「…なんで泣いてんだよ」
「…ひぐっ、……ふぇぇ、」
岩「…⁉︎」
「………だって、れん……にしかっ、お姫様だっこしないっていったのに…っ、」
「…ひかるのうそつきっ。雪音さんって人彼女なんでしょ…、」
岩「…え、は?」
「蓮だけの騎士じゃないの、…いやっ、」
岩「待て待て待て。なんで雪音が俺の彼女なんだよ」
「…え?だって、侍女さんとか、執事さんとか、みーんなそう言ってたんだもん。それにお姫様抱っこしてたし…」
岩「うーわまじか。……一応言っとくけど、雪音はただの幼馴染であって別に彼女じゃないぞ?それにお姫様抱っこしたのは雪音が熱出して倒れそうだったからだ」
え?
じゃあ、今までの全部……
「勘違い…?」
岩「あー、まぁそういうことだな」
「えぇ…///」
岩「やきもち焼いてたのか?」
「……っ⁉︎ や、やいてないし、…」
岩「独占欲強い王子様なんだなw」
「からかわないでっ‼︎」
岩「ほらほら帰るぞ、俺の王子様♡」
ニヤッと悪い顔しながら俺を抱き上げ、お姫様抱っこするひかる。
「へぁっ⁉︎////」
岩「お姫様抱っこは蓮だけなんだもんね?」
「おろして〜っ‼︎‼︎//////」
_____この姿を目撃されて大騒ぎになるまで、あと5秒。
中途半端な終わり方しましたw