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アスファルトを泳ぐ
水たまりに映る自分の顔には、とめどなく雨粒が落ち続け、顔の形を揺らしている。
それが、水たまりを泳ぐ魚のようだと思った。街灯の光と共に小さい水槽を泳ぐ魚。
僕は街のはずれにある小さな水族館に向かって歩いていた。
その水族館はこんな土砂降りの中でも青いライトを灯し、営業していた。
チケットはこども料金で250円。
受付の人は笑顔を絶やさずフロアの説明をしてくれている。来館人数が少ないからこそのサービスだろう。
こんな雨の中でも街はずれの水族館に来ようと思う人はいるのだろうか。それも、イルカショーなんてない、特に変わった魚がいるわけでもないこの水族館に。
どれだけ水たまりの中の魚に感動したからって本物の魚にも感動を覚えるわけではないということを知った。
よく考えてみたら当たり前だったのかもしれない。僕はそんなに魚が好きなわけでもない。
ふと、ある水槽の魚に惹きつけられた。一瞬金魚かと思ったそれは、スミレナガハナダイというやつらしい。
ネオンに輝く派手な色合いをした体が綺麗だと思った。
水槽の中の魚は光を浴びて、みんな綺麗だと思えたが、その魚、スミレナガハナダイだけは、カラフルな魚たちの中でも一際目を惹くものがあった。
数いる魚の中の一匹。
そんなのに僕もなりたいと思ってしまった。