閲覧設定

基本設定

※本文色のカスタマイズはこちら
※フォントのカスタマイズはこちら

詳細設定

※横組みはタブレットサイズ以上のみ反映

オプション設定

名前変換設定

この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります

公開中

青春のスピネル

好き…嫌い…好き…嫌い……。 あたしはヒナ。小学2年のオトメ。 今あたしには、想い人がいるの…。 思い出すだけで、ドキドキしちゃうなぁ…。 好き…嫌い…。 「あっ。」 その辺に生えていたコスモスをちぎって占っていると、残りのかべんの枚数が2枚になった。 このままいくと、嫌いになっちゃう…。 「…そうだっ。」 あたしは2枚のかべんをつかんで、同時にちぎった。 よかった、これで好きになったぁ…。 「てちがーう!!」 ちがうわっ、こんなのじゃない! あたしの思いはこんなのじゃとどかないわ! 「いきなり叫んでどうしたよ、ヒナ。」 おじいちゃんの声にも目をくれず、あたしはそのままばっと外に出た。 「ゆうべには帰るんじゃよー!」 太陽さんさんの暑い日差しに負けるぐらい、あたしの思いは弱くないんだから…!
「ナツ、そのまま帰してもよかったの?思い出すヒントとかあげるために呼び寄せたんでしょ?」 紫色に輝く灯籠が、村の夜を照らす景色をバックに、妻がわしに問う。 「いいんじゃ。アイツは自分の力で目的を思い出そうとしとる。…それに、邪魔するとここに入れなくなるかもしれんしな。」 「それもそうですね…。」 外で子供が剣道をして遊んでる。 「それはそうとじゃ、この村の中にナツに化けて外に出たやつがいるらしいのぅ。」 「…タローのことですか。」 タローは、村一番のいたずらっ子で、よく誰かに化けて、外にいたずらをする問題児だ。 「タローはここにいるよー!」 でもナツを一番に見つけたのもナツメだし、なかなかに憎めないヤツでもある。 「話は聞いていますよ。…子供が集まるところでわざと捕まえたアジを落として、ナツくんの姿で拾い上げたのでしょう?」 「そーだよ!でもねー、ナツのことしらないこには、タカにみえるようにしたんだ。かしこいでしょ。」 ナツメは自信満々に答える。 「いたずらしてる時点で賢くないですよ!」 「えーっ、ひっどーい。」 タローはぎゃーとわめいて、すぐさまどこかに遊びに行った。 「全く…この子のいたずら好きはいつ治るやら…」 「まぁまぁ。きっと昔には辛い思いをしてきたんだろうし、ほっとこうぞ。」 「父さんは甘すぎですよ。」