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夏服で目立つ彼女
ほのか
「ねえねえ、どんな音楽が好きなの?」
「そうだなぁ、基本的に聞くのは日本のだよ。例えば『NIGHT PLAY』とか?」
「あっ、分かる! あたしもそれ、好きだわ!」
「本当? 何の曲が一番?」
「うーん……やっぱり最初のやつじゃない? いきなり最後が暗めだったけどなんか聞いちゃうんだよね〜」
「そうなんだ。私は好きなアニメの主題歌になったやつだな、あんまり人気にはならなかったけど……」
僕の真後ろで、そんな会話が繰り広げられる。
そしてその周りには多くの人。
いろんな人が、早乙女さんに話しかけようと、彼女の席の周りに集まってきていた。
「あのー」
「ん? あ、夏服仲間じゃん!」
その中のひとりに勇者がいたようで……ってひかるだ……会話に割り込んで早乙女さんに何か聞きたいらしい。
「夏服で寒くないの?」
……うん、ひかるなら聞きそうなことだな。
妙に納得できた。
「別に? というかあなたも夏服でしょ? 寒くないから着ているんじゃないの?」
「確かに俺も夏服だけど……。けれどこれは俺のエゴであって、寒さを感じていないわけではないから」
「寒さを感じているのに夏服? それ、何の意味があるの? ……仲間だと思ったのに、彼もあっちの人種か……」
「絵?pなんか言った?」
「ううん、何も」
早乙女さんは、本当に理解ができていないっぽい返答をする。
うん、僕も、今でもひかるのことは理解できたとは思えない。だから、そういうものだって思っているけれど……
本当に早乙女さんは寒くないのかな?
そのことがあの返答が聞こえてきても信じられない。
「よっ」
武が話しかけてきた。
「お前が朝話していたやつと同一人物か?」
「うん」
「…‥本当に半袖なんだな」
「だね……」
二人して、なぜか無言になる。
後ろからはだんだん人が減っていき、一時間目が始まった。
一時間目が終わった休み時間。
——トントン
「ねえねえ」
後ろから肩を叩かれた。
「え? 僕?」
「そうそう、君」
彼女と目があった。
「この前、会ったでしょ?」
「まあそうだけど‥‥それだけでしょ?」
「名前、教えて」
「名前? 時雨冬青だけど……」
「……え? 時雨? あなたが?」
なぜか、驚かれてしまった。
「そうだけど、それがどうかした?」
「……いや、何でもないや」
「ふうん」
何だったんだろう? 驚かれた理由も知りたいなぁ……って、どんどん知りたいことばっかり増えている気がする。どこかで今度話す時間もらえないかな?
「冬青ね。知っているとは思うけど私は早乙女葵。葵って呼んでね」
「うん……分かった。これからよろしく」
「うん、こちらこそ」
そして、早乙女さん……葵は、また話しかけられたために、そっちの話の方に参加していった。
一体何だったんだろうか?
そして、この休み時間は過ぎていくのだった。