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【エデンの園:第1話】未知との遭遇
幸せは、螺旋階段のように続いていく。
ずっとぐるぐる、ゆっくり上がっていって、
落ちてしまったとしても、またぐるぐると上がっていけば、
いつしか元の水準に戻れるもの。
...というのは、幼い頃の私が抱いていた夢幻のおはなし。
実際は螺旋階段なんて、根本を壊せばすべて崩れ落ちる。
大きな音を立てて、”崩れた”という事実を嫌というほど思い知らせながら。
私を一番愛してくれて、私が一番愛した両親は、
不慮の交通事故で死んでしまった。トラックに轢かれた。
トラックの運転手が、脳卒中で死亡していたのだ。
誰も悪くない、だからやるせない...
行き場を失った怒りと悲しみ、それを包みこんでくれた子がいた。
その子の名前はイヴ。突然私の前に現れた、異形の怪物。
怪物といっても見た目だけで、話は通じるし、とても賢い女の子。
ヘビのような出で立ちで、コウモリのような翼を持っていた。
頭部はタールのようなもので覆われていて、
その隙間からは、黄色に光る4つの目が覗いている。
イヴは純粋で、かわいい。
いつも私のことを気にかけてくれて、性格は妹っぽいけれど
実際は姉のような感覚だった。
両親を失い、姉も妹もいなかった私には
どちらにせよとても嬉しかった。
だが、そんな時だった。
「パノプティコン連邦政府だ!!扉を開けろ!!」
政府の犬が、私の家の扉をけたたましく叩いた。
私はすぐに裏口から外に出て、近くの森の中に身を隠した。
もちろん、イヴも一緒だ...
おそらく、政府の狙いはイヴだからだ。
それ以外に、思い当たる節がなかった。
イヴが政府に捕まってしまえば、きっとひどい実験をされる。
それだけは避けたかった。
彼女を抱きしめた瞬間、ある話をされた。
『あのネ...ワタシの故郷の話してもいいかナ』
「うん、話してほしいわ」
彼女の故郷は、遠い空の彼方にあるのだそうだ。
そこには彼女のように、異形の姿で知性を持った生物が住んでいるのだという。
彼女はそこから落ちてきてしまい、たまたま私と出会ったのだという。
それを聞いたとき、私はハッとした。
空...それは、連邦政府によって禁じられたもののひとつ。
空を飛ぶことを禁止する法令が、5年前に発令されたのだ。
もしかして連邦政府は、空にそれがあることを知っていて...?
なら、どうしてそんなことを?
「...イヴ、故郷に帰りたい?」
『できれば!』
「できるわ、私が帰してあげるもの」
これが、私が政府に追われるようになった最初の日の出来事。
この日から、私は政府の陰謀を暴くため旅をし始めた。
全ては彼女を...元いた場所に帰すために。
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「起きろセラ、明日は早いって言ったのお前だろ!」
低い声で名前を呼ばれ、私は目を覚ました。
視界に写ったのは、赤毛でショートボブの少女...ではなく、
ひどく女顔の青年。名前はヴォルケ。
彼とは利害が一致し、旅を共にすることになったのだ。
そういえば、と思い出した。
明日は早いと言った理由。それは、サーカスに行くからだ。
もちろん遊びに行くわけではない。団員になるために行くのだ。
それは、政府の目をだまくらかすためだ。
サーカスにいれば、政府も下手に私たちに手を出せないだろう。
それに、私たちが入ろうとしているのは移動サーカス団。
各地を巡ってサーカスをするのだったら、
情報も集めやすいだろう。格好の隠れ家だ。
「さぁ、早く行くわよ」
「ちっ、お寝坊の分際でよく言うさ!」
『喧嘩はだめー!』
私たちの間に、イヴが飛び出した。
そうだ...イヴを見世物にされたくはない。
どうしたものか、そう思っていると、捨てられている大きなバッグが目に入った。
私はすかさずそれを手にとって、中を見てみる。
かなり広いスペースがありそうだ...
「イヴ、これ入れるかしら」
『えっ?どうだろうネ』
そう言いながらも、イヴはぬるりとバッグの中に滑り込んだ。
大丈夫そうだ。安心しながら、私はバッグを持って立ち上がった。
「さぁ、今度こそ行くわよ」
『えっえっ?ワタシここに入ったまま?』
イヴには申し訳ないが...心を鬼にして、
彼女の言葉が聞こえなかったふりをして歩き出した。
目的地は近くの大きな街。
今夜、アイネナハトサーカス団が来る場所だ。
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「奴ら、どこに行くつもりなんでしょうね」
「さぁな...サーカスにでも行くんじゃないか?」
「あ?なんでそう言い切れる?」
「ちょっと兄さん...」
「ただの勘さ」