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#6 思ってもないすれ違い
🦖「えっと…こっちだっけ?」
⚡️「アホか、逆やで」
🦖「あれー…」
県大会から数日後
甲子園出場を決めた歓喜の試合の後
俺たちは最近学校を休んでいるのあを心配して、
帰り道にのあの家を訪ねることになった
⚡️「色々任せっきりにしとったしな…そりゃ疲れて体調崩すよな」
🦖「うん…、キャプテンとしても放っておけないよ、、」
そう言うと前を歩いていたたっつんの足が止まった
🦖「どうしたの?」
⚡️「お前の場合は、キャプテンとしても」
⚡️「好きな人としても放っておけないんやろ?」
真顔でそう言われて、固まってしまう
🦖「…気づいてたの?」
⚡️「こんだけ一緒におったら分かるに決まってるやろw」
笑いながら空を見るたっつん
その目は、なぜか寂しそうにしていた
⚡️「…でもごめんな、じゃぱぱ」
⚡️「俺、のあさんのこと、諦めてへんから。」
🦖「…未だに?」
🦖「一回告白して、盛大に振られてたでしょ…w」
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⚡️『…のあさん』
🍪『どうしました、?』
⚡️『俺、、のあさんのこと好きやねん…』
⚡️『だからその、、付き合ってほしいな』
🍪『…っ、ありがとうございます』
🍪『でも、ごめんなさい。たっつんさんとは友達でいたいです』
🍪『それに私、好きな人がいるので…』
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⚡️「あああ!!!思い出させんな!!黒歴史なっとんねん!!」
🦖「あははっww」
笑いながら俺たちは、のあの家へと向かった
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ピーンポーン
ピンポンを押してしばらく待つと、
「はい、?」
のあの母親がドアを開けた
「あら…のあの友達かしら、?」
「ごめんなさいね…あの子今寝てて…」
🦖「いえいえ!!大丈夫です!!」
⚡️「それとこれ…野球部全員からって伝えといてください」
俺らは事前に皆んなで買いに行った甘いお菓子や飲み物を母親に渡した
「ありがとう。のあも喜ぶわ」
それを受け取った母親は俺たちの顔を見て不思議そうな顔をした
「野球部の皆んなとお友達なの?…あの子男友達…」
🦖「のあは友達でもあり野球部のマネージャーです!」
🦖「いつもお世話になってるので、恩返ししなきゃって思って!」
母親の会話を遮るように言ってしまった
謝らなきゃと思った
だが、
「…野球部の、マネージャー…?」
母親の顔は固まっていた
⚡️「えっ…と、あの…その…」
「のあは合唱部に入ってるんじゃなかったの、?」
俺たちの笑顔も消える
え?
のあは合唱部に入っている、?
違う、合唱部には入ってない
ってことは…
“親に嘘をついて野球部マネージャーをしている”…?
「それに、男友達は極力作らないでって言ったはずなのに、、」
俺とたっつんは顔を見合わせる
俺たちは“とんでもないことを口走ってしまった”のだ
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🍪「よく寝たぁ…」
お昼からずっと寝てた…
🍪「…?これ、、」
リビングのテーブルに置いてあったコンビニ袋を開けると甘いお菓子や飲み物が入っていた
私の好きなものばっかり…
「のあの友達がくれたのよ」
お母さんがいつの間にか私の後ろにいた
🍪「え!?そうなの!?」
起こしてくれても良かったのに〜…
今度会ったらちゃんとお礼を言おう
「ただいま」
お父さん?帰ってくるの凄く早い
何かあったのかな?
「のあ、その袋の中身はね、野球部の子達がマネージャーの為に買ったものなのよ」
その一言で私の身体は固まる
「お前合唱部に入ってるって言ったよな?」
お父さんの顔がこわばっていく
「嘘をついてこんな男だらけの部活に入ったのか!!!」
「いいか?高校生は恋愛なんかしてる暇ないんだ!!!」
「大体、高校3年生なんだから勉強しないといけないのに…お前は一体何をやっているんだ!!!」
怒鳴り声が耳に響く
「のあは嘘をつかない子だって信じてたのに…」
「歌の才があるからそれを伸ばしたら良かったのに…」
お母さんは泣きじゃくっている
気持ち悪さも何も感じなかった
私はただ、親に《《呆れていた》》
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次の部活にのあは来ていた
笑顔で、俺たちを見ていた
🦖「…なぁ、親に嘘ついてマネージャーしてんの?」
気づいた時には声に出ていた
🍪「…聞いたんだ、私が合唱部に入ってるって嘘ついてること」
⚡️「なんで…そんなことしてるんや、」
他の部員たちは皆んなきょとんとした顔をしている
🍪「…なんで、、」
🦖「え?」
よく聞き取れなくて聞き返す
🍪「なんで言っちゃったの!?私が…っ、私がどんな思いで隠してたか…っ!!ポロッ」
聞いたことのないのあの大声に思わず驚いてしまう
その目には涙が浮かんでいた
🦖「悪気なんてなかったんだよ…っ、ただ、のあに恩返ししたいっていうだけで…」
🦖「マネージャーとして、誇りに思ってたから…」
🍪「誇りに…っ、?私は家族を裏切ってんだよ?そんな私に誇りも何もあるわけないでしょ!?」
⚡️「のあさんほんまにごめん!!俺たち、本当に軽率やった…でもさ…!!」
たっつんが仲裁に入るが、のあは収まりはしなかった
🍪「でもじゃないっ!!嘘がバレたら終わりなのにっ!!」
🍪「恩返しなんて…っ!!そんなのいらなかった!!嫌だった!!!」
🍪「あれのせいで私の居場所が無くなったっ!!!」
恩返しなんていらない
その一言が俺は許せなかった
🦖「あのお菓子や飲み物にどんだけの思いが込められてると思ってんだよ!!」
🦖「皆んなのあのことを思って買ったんだ…それをいらないって言うんじゃねえよ!!」
🦖「そんな気持ちも分かんねえなら…っ!!」
🦖「マネージャーなんてやめろっ!!!!」
のあの顔は、怯えと涙でいっぱいになっていた
🍪「…伝わってるよ、、そんなの、、っポロッ」
🍪「じゃぱぱさんは何も分かってないですね…っ!!所詮他人事だと思ってるんですよねっ!!ポロッ」
🦖「一緒に夢を追ってた仲間だろ…っ!?他人事だと思えるわけ…」
🍪「他人事だと思ってるから私の気持ちが分からないんでしょ!?」
🍪「夢だなんて…っ、」
🍪「私には叶える資格はありませんっ!!!ポロッ」
ダッッ
🌷「のあさん…!!」
走り去っていくのあの姿を
俺らは見つめることしかできなかった
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のあは翌日から部活に来なくなった
クラスメイトのもふくんとなお兄に聞いてみたが、
避けられている気がするとのこと
🦖「…なんで、分かり合えないのかな…っ」
のあのいない部活は、
なぜか寂しく、温かみが無かった
おつなこ!!!