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防火扉
類「さて…凶器がナイフじゃないとわかった以上、僕が犯人だって言える決め手はなくなっちゃったね?」
愛莉「あっ、あんたは黙ってなさいよ!決めるのは…っあたし達なんだから!」
穂波「だ、大体、突き飛ばされたとか言ってますけど…それだって確かじゃないですよね…?」
まふゆ「でも…神代さんが犯人じゃない理由は他にもあるんだけど…」
瑞希「え、まだあるの?」
まふゆ「さっきの話だと、奏はテーブルの下で犯人に殺されたってことになってたよね?」
遥「それがどうかしたんですか?」
まふゆ「えっとね…それにしては神代さん、綺麗だなーって…」
類「外見を褒めてくれるなんて久しぶり…いや、初めてのことかもしれないよ」
まふゆ「そ、そういう外見的な話じゃないですよ…!」
司「えーっと、つまり…」
司「ナイフで刺し殺したなら…どうして類には返り血がついてないのか…」
司「…朝比奈は、そのことを言ってるのか?」
まふゆ「う、うん…そうだよ」
まふゆ「だって、あそこにはかなりの血が撒き散ってたよね?」
まふゆ「テーブルクロスの内側にも、あちこちに血痕が付いていたし…」
遥「なるほど…確かにそうですね…」
杏「何か使って、その血を防いだだけなんじゃないの?」
類「そんな物一体どこにある…いや、あるにはあったか…」
類「そうだよね、司くん?」
確かにあるにはあったよな…
司「それって…倉庫にあったテーブルクロスのことか?」
司「あのテーブルクロスには、血痕が付いていたはずだ」
みのり「ぜ、絶対それだ!!それを使って血を防いだんだね!」
一歌「でも、それは倉庫から見つかった物なんですよね?」
一歌「事件後に倉庫に隠したってことですか…?」
志歩「明るくなった後に?誰かに見られたらどうするの?」
司「ああそうなんだ、あのテーブルクロスはそれなりに大きかったし、隠して運ぶにしたって…」
類「停電中にナイフを取るのさえ大変なのに、テーブルの下でテーブルクロスを被って刺すなんてさ…」
類「流石の君達にも無理なんじゃないかな?」
穂波「だ、だったら…どういうことですか…?」
冬弥「……………」
冬弥「もしかしたら…犯人が宵崎さんを刺したのは、テーブルの下じゃなかったのかもしれません…」
…え?
こはね「でも…殺害場所は絶対に、テーブルの下だったよね…?」
まふゆ「うーん…テーブルクロスの内側に血痕が付いてたし…あそこで奏が殺されたのは間違いないと思うよ?」
冬弥「ですが、宵崎さんが刺された場所と、犯人が刺した場所は…同じとは限りませんよね」
咲希「え、えっと…とーやくん…どういうこと…?」
宵崎が刺された場所と…犯人が刺した場所…
類「おや、司くん…何か思い付きそうな顔をしてるね?」
寧々「え、ほんと?あんななぞなぞみたいな言葉で?」
司「うむ…何か思いつきそうな気はするんだが…まだぼんやりとしか…」
冬弥「テーブルの下だけど、テーブルの下じゃない場所です。可能性があるとしたらそこしかないですから!」
冬弥「そこから先は、余計な先入観を捨てて、その答えを選べばいいだけ…だと思いますよ」
…何かが閃きそうだ
もう少しで…何かが…
司「………………」
司「…………」
司「…そうか…!犯人は、床下から宵崎を刺したんじゃないか!?」
杏「ゆ、床下から…!?」
司「ああ、あそこの床には絨毯が敷かれていなかったし、旧館の床は、木と木の隙間がかなり空いてただろ?」
類「なるほどね、だとすると犯人は、旧館の床下に入ったって事だよね」
類「どこから?どうやって?」
司「それはオレにも分からん…だが、心当たりのある奴はいるぞ」
司「な、花里」
みのり「え!?」
司「お前は大広間で、髪飾りを探していたよな?」
みのり「はいっ!探してましたっ!!」
司「それって、今お前が頭につけてるものでいいんだな?」
雫「あら、じゃあ…もしかして…」
司「捜査中髪飾りをしていなかった花里が、裁判前には髪飾りをしている…」
司「という事は、花里は捜査中に、その髪飾りを取り戻したというわけだ」
遥「なら…みのりは床下への行き方を知ってるんだね?」
みのり「う、うん!知ってるよ!」
みのり「えっとね…床下への入口は、倉庫で見つけたの!」
瑞希「倉庫にあったの!?」
みのり「ほら、倉庫にはいっぱいダンボールが置かれてたよね?」
絵名「ダンボール…あぁ、そういえばそんな物あった気が…」
みのり「ちょっと気になったから、荷物を全部退かしてみたんだ」
穂波「なるほど…そのダンボールの奥に、床下への入口があったんですね」
みのり「それを知って、スーパーからライターを持ってきて床下に入ったんだ!」
冬弥「そういうことだったんですね…」
冬弥「床下で壁に塞がれていないことを考えたら、倉庫から大広間なんて大した距離もないですし…」
遥「倉庫を経由したなら、そこにテーブルクロスがあったのも納得だね」
瑞希「犯人はパーティー中に倉庫から床下に潜り込んで、そこから奏を…」
穂波「ほ、本当にそうなんですかね…」
穂波「こっそり床下に忍び込んだって話でしたけど…その為には、パーティーから抜け出さないといけませんよね?」
穂波「でも…そんな人っていましたっけ…?」
志歩「じゃあ、パーティーにいなかった人が犯人なんだよ。その人がずっと床下で待ち伏せしてたんだ」
咲希「参加してないのって誰だったっけ?」
冬弥「俺は参加してないが、入口で見張りをしてました。そこのモノミが証人になって…くれますよね?」
モノミ「はい!ここのモノミが証人でちゅ!」
絵名「もう言う必要ないと思うけど…私はトイレから出られなかったの…」
穂波「私は厨房にいる時間が長かったけど、ちょくちょく大広間に料理を運んでいましたよ」
雫「えっと…他にパーティーに参加してなかったのは…」
雫「私が撮った写真を見る限りだと、あの人だけよね…?」
彰人「……………」
志歩「…決まりだね」
彰人「ちょ、ちょっと待て!俺は犯人なんかじゃねーぞ!!」
志歩「さぁどうだか…『俺は殺れる』とか言ってたのはどこの誰だっけ?」
彰人「はぁ!?ぶっ殺すぞ!!」
志歩「ほら、また言ってるし」
モノクマ「うんうん、いい感じだね。いい感じに盛り上がってきたね」
志歩「だからさ、東雲さんはパーティー中もずっと、床下で待ち伏せしてたんだって」
えむ「それなら、停電中に倉庫まで行かなくて済むね!」
瑞希「それで…どうなの?弟くん!」
彰人「勝手に犯人にしてんじゃねーよ!!」
志歩「でも、パーティーが始まったあとは…」
志歩「誰もあなたの姿を見てないんだよ?」
志歩「貴方にはアリバイがないってことだよ」
司「それは違うぞ!!」
司「彰人にはアリバイがあったはずだ。そうだよな、冬弥?」
冬弥「そういえばそうでしたね…」
冬弥「彰人を見たのは、パーティー開始直後でしたから…」
冬弥「パーティー前から床下に居たというのは無いですね」
彰人「チッ…もっと早くその話をしろよな…」
志歩「あなたが悪いんでしょ。大体、なんで旧館の周りをうろついてたの?」
彰人「な、なんでもいいだろ別に…」
寧々「実は外から床に通じる抜け穴があって…それを偵察しに来てたとか…」
彰人「はあ!?てめぇ何言ってんだ!!」
みのり「外から床下に繋がる抜け穴はなかったよ!私と青柳君で捜査しましたからっ!」
一歌「じゃあやっぱり、誰かがパーティー中に倉庫から床下に潜り込んだんだね…?」
まふゆ「パーティー中というか…停電中だったのかも…」
瑞希「あー、確かに停電中に居なくなったなら気づけないかもねー…」
穂波「でっでも!あの暗い廊下を倉庫まで歩いていくなんて…そんなの無理ですよね…?」
杏「うーん…やっぱそうだよねぇ…」
杏「停電の時、ブレーカーがある事務室に行こうと思って、なんとか廊下に出てみたけど…」
杏「全くだめだったよ…壁伝いにしても、自分が今どこにいるのか分からないしさ…」
司「…………………」
司「…だが、本当に無理なのか?」
司「もう少し、その可能性を検討してみてもいいかもしれない…」
えむ「でも、あんなに真っ暗だったんだよっ?」
えむ「倉庫まで行くなんて絶対無理だよー!」
…でも何か、見落としてるかもしれない…
何か…少し…引っかかるんだよな…
それをはっきりさせる為にも、もう一度…
類「どうやら大詰めになってきたみたいだね?」
類「クロとシロ、どちらの超高校級が優れているのか…そろそろはっきりさせようか」
こはね「停電中は廊下も真っ暗だったし…」
こはね「そんな中倉庫まで移動するなんて…そんなの絶対に無理だよ…!」
冬弥「本当に、絶対に無理なのか?」
愛莉「神代さんみたいに、紐を使ったらどうかしら?」
絵名「暗視スコープがもう1個あったとかは?」
寧々「明かりを使ったんじゃないの…?」
司「あぁ、寧々の意見に賛成だ!」
寧々「え、あ…か、勘で言っただけなんだけど…」
杏「でも、明かりなんてどこにあるの?」
司「絶対あったはずだぞ。ほら、厨房の備品リストに書いてあっただろ?」
司「カセットコンロだ」
咲希「カ、カセットコンロ…!?」
司「カセットコンロなら明かりにもなるし、持ち運びだってできるよな?」
類「なるほど…カセットコンロとは盲点だけど、その推理には穴があるよ」
司「な…っ!?」
類「さぁ司くん、僕と勝負してくれるよね?」
類「ふふっ…君は僕の反論を打ち破ることが出来るかな…?」
な、何が勝負だ…まるで、裁判を楽しんでるみたいな…っ
…っこんな奴に負けてたまるか…!!
類「さっきの白石くんの証言を忘れたかい?」
類「事務室にたどり着けなかったって言ってるんだよ?」
類「君の言うガスコンロの明かりは…」
類「その証言と矛盾してしまうんだ」
類「それとも、白石くんの証言自体を疑う気かい?」
司「オレは白石を疑ってるわけではない…!」
司「お前は何が言いたいんだ!!」
類「白石くんが事務室にたどり着けなかったのは…」
類「廊下が真っ暗だったからだよね?」
類「そんな真っ暗な廊下で明かりを使ったら…」
類「白石くんに目撃されてしまうよ?」
司「それは違うぞ!!!」
司「類、忘れたのか?それとも忘れた振りをしているだけか?」
類「…何の話かな」
司「廊下にあった防火扉だ。あれを閉じれば、廊下には立派な壁ができるだろう?」
司「それに、防火扉の先は、すぐ曲がり角になっていたから…」
司「扉に多少の隙間があったとしても、その角さえ曲がれば光が漏れることもなかったはずだ」
類「なるほど。防火扉に目をつけるなんて、流石は超高校級の…」
類「っと…君はまだ自分の才能を思い出せていなかったね」
司「そっ…そんなこと、今はどうでもいいだろ!」
絵名「ちょっとあんた…犯人じゃないって言う割には、やたらと突っかかってくるじゃない」
類「そんな怖い顔しないでくれたまえ…ほら、深呼吸深呼吸…」
彰人「いちいち人をイラつかせる野郎だな…!まじでその口を塞いでやろうか!?」
モノクマ「こらー!喧嘩はいいけど、周りが引いちゃうようなハードな喧嘩はダメ!」
モノクマ「それより、誰がクロなのか早く決めてくれないかな?ボクが飽きたら、時間切れになっちゃうんだよ?」
類「分かってるよ。そろそろバトンタッチしろって言うんだろう?」
寧々「バトンタッチ…?」
類「僕みたいな偽物じゃなく、本物の犯人さんに登場してもらうんだよ」
志歩「…どうせ神代さんが犯人なんでしょ」
類「そう思うならそれでも構わないよ」
類「僕は、超高校級のみんなが納得して出した答えなら、どんな結論でも受け入れるつもりだからね」
司「………………」
本物の犯人…それを指摘しろってことだな…
誰かを糾弾するような真似…そんなことオレはしたくない…
だが…やるしかないんだよな…
そいつは防火扉を遮蔽物に使い、その暗闇の中をカセットコンロで移動して…
潜り込んだ床下から、夜光塗料を目印に…宵崎を刺し殺した
ならば…その犯人と考えられるのは…
あいつだけだ…!