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絶対零度 #3
#3 「カフェ」
「‥はい、お疲れ様。」
今さっきあの婆さんを下ろしてきたところだが、物凄く疲れた‥肩が痛ぇ‥腰折れた‥
カフェのカウンター席に一人で座る。一人なのにブロック席座る意味はねぇ。
「‥サンドイッチ?」
椅子に座って目の前に出されたのは卵サンド。
認めたくないが美味そうな見た目をしている。
「あ、嫌いだった?」
「‥いや、嫌いじゃねぇけど。」
「そう、よかった。さぁさ、食べて食べて!」
「客を急かすなよ‥」
サンドイッチを手に持ち、口元へ運ぶ。出来立てなのか、暖かくほわほわな卵が凄く美味い。パンも柔らかく、冷たくない。今まで食べたことの無いほど美味い。
「うっま‥」
「あ、そう?それならよかった!」
ニコニコと効果音がつきそうなくらい笑顔な琴葉。感想言うだけでそんな喜ぶのか?
「アンタ‥いや、真は|星蘭《せいらん》行くの?」
「星蘭?何処だそこ?」
「は?アンタ、はぁ?」
琴葉が化け物を見るような目で俺を見る。星蘭が何処か知らないって言っちゃ悪いのかよ。そんな有名なのか?星蘭とやらが?
「いや、星蘭って、アンタの制服の学校なんだけど‥」
「は?」
今度は俺が驚いた。今から行くとこ星蘭って言うのか。知らなかった。
「ちょっと待ってよちょっと待って、通う学校の名前すら知らなかったって‥え?」
「んな驚かれても知らねぇもんは知らねぇよ。」
「‥呆れた。そんなんで学校の場所わかるわけ?」
「まぁ、デカい建物いけば学校だろ。」
「まぁね‥って、アンタ本当に情報持ってないのね。」
「喧嘩が強いって事以外興味ねぇよ。馴れ合いなんかするつもりはない。」
「あっそ‥私から一つだけアドバイス。星蘭の事、舐めない方がいいわよ。」
「?」
「ここ、学校に近いからよく星蘭の生徒が来るのよ。その時話してる内容が『今日の相手は雑魚だった』とか『明日は金を集めてこい』とか、物騒なのばかり。」
「‥」
「あそこは喧嘩の強さで価値がつくのよ。真、引き返すなら今。死にたくなければやめなさい。」
「やめねぇよ。」
「‥どうして?」
「死んでも構わないからだ。弱い奴は死んでもしょうがない。負けるのは、俺が弱かったってだけだ。」
「‥そう、死んでも成仏しないのはやめてね。私呪われたくないから。」
「呪わねぇよ。」
「なら安心安心!‥あ、もう40分だ。そろそろ学校行った方がいいのかな。」
「遅刻しても平気だろ。」
「駄目駄目、初日から遅刻は絶対駄目!!」
「ほーん」
「あ、真面目に聞いてない!」
別に不良校なら周りもそんな感じだろ。全員遅刻とかあるかもしんねぇし。俺一人にどうこう言わなくてもいいだろ。
「‥しょうがない、使いたくなかったけど《《アレ》》使うしかないか‥」
‥アレ?なんだよ、他校のヤンキーでも呼ぶのか?それか‥なんか?
「‥あ、……うん、わかったから静かにしてくれる?‥あ、で本題なんだけど〜……うん、あの、話聞いてくれる?……だから聞けって。」
「‥」
琴葉が誰かと電話し始めた。相手はどうやら話を聞かない奴らしい、話し方的にそう。
電話先の相手がアレなのか?
「…だから、アンタに話したい事があってさ。……うん、だから私……あ〜、今カフェにアンタに会わせたい人いてさ。」
ん?
「だから早く来‥ごめん真。」
「あ?」
「めんどくさい事になっちゃった☆」
「は?」