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「ド屑」考察小説<望む末路(まつろ)>(二次創作)
なきそ様「ド屑」の自分的考察をもとにした小説です。
つらつらと起伏のないセリフばかり書いてしまいました。僕の悪い癖。
お楽しみいただければ幸いです。
薄暗い部屋。ベッドの上。くたびれたクッション。画面からのびる光。絶えず動く指。
--- 流れるタイムラインに待ったをかけた「もう死にたい」の四文字。 ---
「よかったら今度話しませんか」ちょっと考えた。
--- "送信" ---
返信がかえって来た「是非」
、、、馬鹿な女だ。まんまとかかった。
---
|名瀬 瑠妃《なぜ るひ》は約束したとおりに待ち合わせの駅へ着いた。優しく相談に誘ってくれた彼女を探す。
「ふう、、、二つ結びに白いリボン、、、どこかなぁ?」
「ここですよ」
「うわぁ!?」
気づいたら"彼女"が後ろにいた。
「遅かったですねぇ」
「え、でも今って丁度待ち合わせの時間じゃ、、、」
「まぁいいです。行きましょう、ついて来てください」瑠妃の言葉を遮るように彼女が言う。
「あなたの望みにきっと合います」
言葉の意味は分からなかったが、とりあえず瑠妃は楽しさを抱えながらついていった。
さっきからずっと彼女がワンピースのフリルの中で両手を繋いでいるのが気になり、瑠妃は言った。
「ねぇ、手をつなごうよ。」
「嫌」強めにかえってきた言葉に、瑠妃は一瞬たじろぐ。
「無理」
「え、でも、、、」
「無理って言ってんの」
「、、、っ、、、!」あまりにも冷たい態度。瑠妃は息をのむことしかできなかった。
---
「さぁ入って」
白いドアの前。アパートの一室だろうか。
「ここどこなんですか?」
彼女は一瞬眉をしかめたが、すぐ微笑んで言った。「私の家です」
「え、お母さんやお父さ、、、」
「関係ありません」
「あ、うん、、、」瑠妃は彼女の反応を悟り、抵抗を諦めた。
中に入ると、部屋は薄暗く埃っぽい。くたびれた感じのクッションが点々と置いてあったり、得体の知れない糸がそこら中に散らばっていたり。なんだか少し不気味だった。
「ここに座って」
「うん」
ようやく安心できる、と思ったのもつかの間、無数の糸が伸びてきて瑠妃の体を絡めとった。
「、、、!?」
銀色のハンマーを持った彼女が嬉しそうにほほ笑む。
「さぁ、あなたの望みを叶えましょう」
「望みってどういうこと?私は監禁されることなんて望んでない!どうしたの!?」瑠妃は訳が分からなくなって言う。
しゅるんっ
「、、、ッ!!」
目に見えぬくらい細い細い糸が高速で飛び回り、瑠妃の首をかすめ髪の先が散った。
「だから、どうしたって言ってるの!殺す気!?」
「自ら望んだんでしょ、自由にさせて」
「殺されることなんて望んでない!!」
「自ら望んだと言ってんじゃん」
「待ってよ、、そんなこと言ってない!考えてよ、非常識にも程があるよ!?」
彼女は少しの間左上に視線を向け、眉をひそめて考えるようなそぶりを見せた。
「、、、少々考えましたが、、、何がおかしいの。ちょっと考えたよ、それで?だからどうした?」
彼女は話し続ける。「お望み通りの末路ですよ、、、!?何故文句を文句を垂れ私が悪いように見るの?」
瑠妃はもう何を言えばいいのか分からなくてひたすら叫ぶ。「何で!?何でなの!?どういうつもり!?」
「こっちが聞きたいの、あなたこそどういうつもり!?」
瑠妃がふいにあることを思い出し、落ち着きを取り戻した。「あ、、、もしかしてあの投稿?死にたいってかいたけど、、、なぁんだ!そんなことか!」
「、、、!!どういうこと!?」
「あのね、あーいう"死にたい"ってのは、大体本気じゃないんだよ。私もそう。誰かにかまってほしかっただけ。」
「、、死にたいって、そんなもん、なの?誰かに殺してほしいとか、そういうことではない、ってこと?」
「とりあえず、ネットによくあるのはね。」
瑠妃は安心したが、なんでか彼女が自分を連れてきたのは"末路を与え、望みを叶える"とかそういうことではない気がしていた。
「、、、そう」
「ふぅ、よかった。これで一件落着だね。そろそろ放してもらってもいい?」
「、、、ず」
「、、、?今、何て?」
--- 「ド屑」 ---
「、、、!?」
彼女が急にブツブツと続けざまにつぶやく。
「嗚呼、たかがそんなもんなのか、、きっとそうだ、違いないよ、、」
「どうしたの??」
「はぁ、、、しょうがない、、、」
瑠妃を縛っていた糸が急に力が抜けたようにほどける。
「!!やった、ありが、、」
--- 「黙って私に従って」 ---
「え?どういうこt、、」
「黙って私に従って」
「え、、、!?急にどういうこと??」
「黙って私に従って」
「え、、なんで従わなきゃいけな、、」
「従え」
「何で命令なんてするの?」
「従って。君に一切の拒否権ないよ」
「、、、!!何でそんなことが言えるの!!せっかく分かり合えたと思っ、、」
「黙って従えよ」
「何で同じようなことしか言ってくれないの?何が目的なの!?」
「黙って私に従ってよ、、お願い、、お願いだから、、」
彼女は今にも泣きそうだ。しかし、それは瑠妃も同じであった。
「黙って私に従って、、」
「なんで、、何で私にそんなに執着するの??」
「従えって言ってんの、、、黙って従って、、??」
「あなたは何がしたいの、、、私は何をすればいいの、、、??」
「黙って私に従って、、お願い、、お願い、、お願い、、、、」
彼女の眼からはとめどなく涙があふれ出ていた。瞳の奥は寂しそうで、苦しそうで、瑠妃を見つめ「一人にしないで」と訴えているようであった。
--- 「、、、お願い」 ---
-2251文字-
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