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エレクロ 本編 第12話「影からの来訪者」
1期エレクロOP曲
➔https://d.kuku.lu/46yd2sz4a
※イヤホン推奨※
※今更ですが学タブなどの方は見れない可能性があります....すみません....
**本編 第12話「影からの来訪者」**
____主な登場人物たち_____
レッド・フレイア
レイラ・アクランド
_________________
__この状況を楽しんでいるかのような声で、影から現れた人物は語る。
??「やぁ、こうして会うのははじめてだね」
その姿は、黒い外套と黒い服装....文字通りの黒尽くめの姿だった。
そして、相手からは一切緊張も恐怖も感じ取れない。
だが、レッドたちは気づいてしまった。本気で攻められれば`この男には勝てない`と。
もはや変えようのない事実なんだ、と。それでも、憂いている暇はない。
レッド「お前は、、、誰、なんだ?」
??「そうか、自己紹介がまだだったな」
そしてその男は、華麗に服を翻して言った。
??「俺の名はエリック、**『エリック・ロア』**だ」
レッド「エ、リック....」
エリック「そうそう〜」
それは実に親しみやすいような雰囲気だった。
とても何かしているようには思えない。
だが、その様子だというのに隙が一切ない。見せてくれない。
エリック「ほんとはこう前に出たくなかったんだけどね〜
こうでもしないと、やられちゃうからさ。あいつが」
エリックが向けた視線の先には、今だ炎の囚われの身となっている
敵の姿だった。長く焼かれている中でもまだ原型を保っていた。
しばらく見つめたのち、彼は片手に黒いスペルブックと見られる
本を出現させ静かに口を開く__。
エリック「|詠唱《セット》__ 」
レイラ「.....? せっと?」
---
--- **【|鎮炎・療・心《ロスト・ルー・ライン》】** ---
---
彼がそう唱えた瞬間、赤く照らされていた炎の灯りは消え、
今まで見えた視界が一気に暗くなる。そして、
チリチリと舞う火の粉たちが鼻を濁すような匂いを残す。
それと同時に、焼き焦げていたはずの敵の傷も、なくなっていた。
__いや、なくなったのではなく、“治った” んだ。
狂「....恐れ入る....我が主よ」
エリック「わかったのなら、さっさと済ませてくれ。
あくまでも任務外だが、俺にはまだ仕事があるからね」
レッド「....まっ、待て、目的は俺たち....じゃないということか?」
エリック「へぇ、思ってたよりも耳が効くんだね、君は」
エリックはしばらくの沈黙の後、服装を整えながら
レッドたちの方を見つめ再び口を開いた。
エリック「そうさ。お前らはただの “おまけ” に過ぎない。
それも踏まえて、ここは都合がいいからな。そして俺の
今回の任務は、`[魂の吸収]`。ほら、効率いいだろう?」
レッド「.....は?」
怒りにも似た、感じたことのない感情が腹の中で蠢いた。
奴らの目的はこの学校にいる人間の魂を吸い、
エレメンターは除去できればそれでいい、と。
相手が吸収した魂をどうするかはわからない。
でも、ここでどうにかしないといけないことにはかわりはない。
レッドは何も考えないまま、気づくと神剣を構えていた。
そんな中でも、彼は口を休めない。
エリック「おっと、お前たちが完全に目的ではないことも事実だ。
だからそんなに怒らなくても....物騒だよ。
それに、魂をどうするのか、と知りたい顔をしているね」
レッド「.......」
エリック「エレメンターに組織の情報を渡すわけにもいかないから、
簡単にいうね。魂をどうするか、それは強化のためだ。」
レイラ「強化....?」
エリック「そう。人間の魂を得ることで我らが__っ、おっと危ない。
要は、魂がなくてもいいけど、この方が早いってこと」
レッド「.....なぜ止める? まだあっただろう?」
エリック「全く、融通が利かない子だね。とにかくそういうこと。
あぁでも、このまま魂を吸い続けたら、どうなると思う?」
レッド「人の命を簡単に踏みにじるなぁぁっ!」
レッドは咄嗟に出た感情のまま、床を蹴る。
それは肌、骨、体全身に伝えるほどの振動を与えた。
レッドは神剣の先端を着実にエリックへと捉え、全身の力をのせた。
レッド「スキル発動__ 」
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--- **【|焔穿爆龍破《えんせんばくりゅうは》】** ---
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赤く暑い炎を纏う神剣は、相手めがけて空間...いや、この光なき
闇そのものを穿つ、命の明かりを守るための一撃を放った。
エリック「ほぉ〜なるほど。少し甘く見すぎていたかな。|詠唱《セット》__ 」
レッド「なにか、くる....!」
---
--- **【|盾・花・円環・強《ハレ・ライ・ライル・シード》】** ---
---
レッドの一撃は、あと少しのところで間に合わなかった。
エリックの方が一歩早く、詠唱によってでできた防御を展開していた。
その様子は、薄くてもその裏では巨大な根を張って美しく咲く、花のようだった。
エリック「悪いけど、ここで構っている時間はないんだ」
レッド「ここまで来て、逃げるのか?」
エリック「ははっ、面白い冗談だね。でもそろそろ行かせてもらうよ」
彼は、余裕そうな表情で防御を展開しつつその場をさろうとした。
レッド「あっ、待て!!」
エリック「あとは任せたよ。クロウ__ 」
レッド「クロウ....?」
レッドの気が緩んだその瞬間を待っていたかのように、
もう1人の敵の狂戦士が既にレッドの背後に迫っていた。
狂「....御意....」
レッド「まずい、忘れてた....!」
*ジャキン__!*
金属同士がぶつかり合う音が鳴る。
万が一、レッドは神剣で受け切ることができたが、
それを境に、エリックに逃がすチャンスを与えてしまった。
エリック「あっ、そうだ。言い忘れてたね」
レッド「....ぐっ、何がだ?」
エリック「この異変を解決したいなら、そいつを倒せばいい。
そいつの名は *“|獄闇の狂戦士《クロウ・バーサーカー》”* 好きに呼ぶといいさ。
クロウを倒せば、異変は終わる。まぁ、できるかはわからないけど」
レッド「な、なんだと?」
エリック「ちなみに、魂の吸収元はこの学校にいる人間全員、ね?」
レッド「....あ、おい!」
エリック「それじゃあ、健闘を祈るよ」
そう言い残して、エリックはまた闇の影へと消えてしまった。
これで、今ここにいる敵は狂戦士のみ。
彼のことよりも、今はこいつに集中した方がいい。
それはレッドも、レイラもわかっていた。
レッド「....っち、なら、本気で叩く....!」
レイラ「いくよ、スキル発動__ 」
レッド「もっと早く、強く! 動くんだ! 『|炎神乱舞《レオ・フレア》』捌の乱__ 」
そして2人は、互いに背中を預けながらポジションを持ち直す。
レッドはそのまま前へ、レイラは後方で武器を振り上げた。
レイラ「凍りつけっ!」
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--- **【|氷爆零覇《ひょうばくれいは》】** ---
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辺り一帯、水晶のような氷たちが光を集め照らし、でもその中身は、
真っ直ぐに透き通った無彩色が故に、むしろ色があるように感じられる。
僅かな光も照らしてくれることで一時的に視界もよくなった。
そして狂戦士は炎の檻につぎ、体の外側だけでなく、
内側の芯までも凍らせるレイラの氷によって動くことができなくなった。
その瞬間を、レッドは見逃さなかった。
狂「ぬ、な....」
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--- **【|紅蓮に咲くは焔冠の華《ディヴァイン・オブ・インフェルノ》】** ---
---
神剣に宿したその色は炎に覆われた紅蓮に染まる大地のように、
決して絶えることのない、深く根を伸ばし咲く華そのものだった。
そして、放ったレッドの一撃は氷があることをものにせず、
新たにその上に宿した具現、華を咲かす一閃だ。
狂「―――!!!!」
レッド「やった....か?」
レイラ「あぁ、私の氷が一瞬で....」
攻撃を受けた狂戦士は、もはや声を上げることすらも許されないほど、
無言で体でもがき、抗い、訴え続けている。
狂「....ああ....がっ....まだ、まだだ....!」
レイラ「うそ、まだ体力が残ってる....」
レッド「__いやこれは....」
レイラ「うん?」
気づくとそこには、先程まで炎と傷に足掻いていた狂戦士の姿はなく、
紅蓮に燃え上がる地の上で、胸から腰辺りまでに続く傷を負ってもなお、
こちらを顔もわからない兜の下で見つめ、武器を取る姿があった。
狂「 ___ 」
レッド「まさか、あれを...」
狂「....興が乗った....貴様らは....戦いを....楽しませてくれる....ではないか」
レイラ「楽しむ、って...」
狂「であれば、この一撃を以て決別の儀としよう....」
レッド「なにをする、気だ」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
エリック「うんうん、絶好絶好♪」
レッドたちとは裏腹に、楽しそうに校舎を徘徊しているエリック。
あの2人をどう思っているかは、きっと神獣でもわからないだろう。
ただ、魂溢れるこの宝物庫の中で財を漁るように、
目標の量、いや、全て吸い尽くされるときを待っていた。
エリック「へへへ、ここまでくると本当にすぐ集まるなぁ。
でも、まだあと少しだけ続けようかな。
それにしてもあのガキたちは今頃どうしてるだろうか__
くぅ〜、考えるだけで喉が潤うよ.....」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
狂戦士は冷静を取り戻し、森の奥深くで立つ大樹よりも堂々と、
長くそこにいたかのような姿勢で、武器を前にして構えている。
それを見ていると、無意識に唾を飲み込んでしまう、焦りを感じる。
レッド「ダメだ、このままじっとしてたら。早く、動かないと....!」
動け、と頭ではわかっていても、体が言う事を聞かない。
自分の体そのものが、目の前にあるものを拒否している。
それだけでなく、僅かだが足が震えているのがわかった。
レッド「動、、、けっ、、、!」
狂「恐怖に怯え動かなくなったか....だが、容赦はせんぞ....」
早くなる鼓動、そしてそれと連動するように合わせて荒くなる呼吸。
ゆっくりと、頬を伝って顎下まで何かが伝う感覚があった。
レイラ「ふぅ、ふぅ、はぁっ....」
狂「いざ、参る....」
レッド「あぁ、まずい....!」
そして狂戦士は武器を持ち直し、まずはレイラに向かって斬りかかろうとした。
レイラ「あぁ....えっ?」
レッド「やめろっっ! スキル発動__ 」
---
--- **【|日昇閃華《にっしょうせんか》】** ---
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狂「....うん....?」
レッド「はぁぁぁぁぁっ!」
風すらも置き去りにする一閃で、レッドは斬りかかる。
だが、それをものにせず、狂戦士は再び動き出す。
狂「汝の塵、汝の意義を切り払わんとすれば.....」
レッド「.....っ!」
狂「首を絶つか....『|BURST《バースト》』発動__ 」
---
--- **【|死斬滅告《デストロード》】** ---
---
狂戦士が空気を揺るがさない程に静かに抜いた武器の刃は、
レッドの眉の間から足の付根へと、音一つ鳴らさずに通っていた__。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
エリック「うん? これは....あーあ、ついに使っちゃったか〜。
まぁ、邪魔者がいなくなるのはいいことだ。
俺も見たかったな〜、あいつの__ 」
---
--- **「 `『BURST技』`を」** ---
---
**本編 第12話「影からの来訪者」 終わり**
※これまでは水と氷のエレメントを「水(氷)」と表記していましたが、
今後は「水氷」が正式表記になります。読みは「すいひょう」です。
この小説以前の旧表記のものでも、正しくはこちらだと思ってください。
急な変更となりましたが、何卒ご了承ください。
〜おまけ〜
作者
「やっとここの仲間いりだね! エリック!」
エリック
「なんで俺がここに呼ばれるんだ....」
作者
「いやぁ、なんとな〜く新キャラっぽい雰囲気してるし? 考えたら負けよ!」
エリック
「さすが噂にも聞くお人好しさん、という変人だね」
作者
「.....は? それを誰から聞いた....?」
エリック
「俺はレッドからだけど」
レッド
「俺はミズリーから聞いたぞ?」
ミズリー
「私はフレイね」
フレイ
「......な、ななな、な、なんで、なんでみんな俺を見ている.....」
作者
「(ΦωΦ)🔪」
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