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【閑話】舞台裏で。第一王子編
ネットが通じなかったので投稿遅くなりました。ごめんなさい
父上はそこまで才能を持っていないと思う。父上の治世が続いているのは、一重に先代が良かった。これに尽きる。
祖父は、賢王などと呼ばれていた。
それほどに優秀な人だったらしい。常に何年も先を考えていた。
そして、私は祖父のような政治を行いたい。
常々そう思ってきた。
結婚はもちろん私情を挟まず政略で行う。
そして、その相手とは、しっかり愛を育む努力をするのだ。
そう考えてきた。
ユウナに会うまでは。
出会った日の挨拶。
「こんにちは〜。あたしが今回ここに配属された聖女のユウナです。第一王子様……むにだす……ムニダス様? え〜っと、これからよろしく」
くったくなく表情が変化して、面白い少女だ、というのが第一印象だ。
貴族社会には全然染まっていない。
いろいろこれから問題が生まれるだろうな、と思った。
父上から話を聞くに、彼女は王室専用の聖女だそうだ。
王室専用、か。
もしこれでこの少女が問題を起こしたら、王室にそれが飛び火する。
なんとしてでもそれは防がなければ。
そんなふうな覚悟だった気がする。
以外にも、彼女の吸収能力は高かった。
素人には難しいだろうな、という作法も、ちょっと演技がかったものになるものの、直ぐ身につける。
優秀な人間だと思った。
もちろん、私以外にも彼女には先生がいる。
私は日々の息抜き程度に会いに行くくらいだ。
だけど、接していくうちに、彼女の人柄に惹かれてしまっている自分がいるのに気づいた。
危ない。間を取ろう。
そう思うも、初めて抱いた感情だからか、制御ができない。
そして、またユウナに会いに行って、また人柄に惹かれて……
そんな泥沼に入っていった。
ただ、そんな泥沼に浸かっているような状態でも噂は聞こえている。
ユウナが他の貴族男子を虜にしていること。
そしてその反面、女子には厳しいことがあること。
これはしばらく経ってから広まったような気がするが、実際は彼女によく出会う、下の方の人からじわじわこちらまで噂が来ているようだ。
客観的に見て、自分の好意は側近たちにはバレていると思う。
だからだろう。時折、側近を辞めるものも現れた。
私には婚約者がいる。
ユウナに会えなくなる理由付けとして、彼女を頻繁におとずれるようになった。
そして、仕事が少しずつ滞り始めた。
婚約者には話を通して、婚約を解消させてもらった。もちろん慰謝料は払った。次のも探すことにした。
自分の勝手でこうなってしまったことが申し訳ない。そう思うも、やめれない。
ユウナにも話を通した。
「どうやら……私は君に懸想してしまっているようだ。幸いにも君は聖女だ。婚約しても構わない身分にある。どうか、私の婚約者になってくれないか?」
「はい!」
ユウナは教えた通りの優雅なお辞儀をした。
きっと、大丈夫。
なぜだかそう思えた。
そして、そんなある日、とある報告が聞こえてきた。
王族にしか伝わっていない道を通っている時だ。
「この前の聖女奪還の時に捕まえたものに話を聞くことができました。ご報告してもよろしいでしょうか?」
「構わん」
父上か?
「まず、彼らの犯罪歴です。重要な犯罪は2つ。聖女を2人誘拐したこと。そして、その聖女様を使って。他の組織を潰したり、いくつかの砦を襲ったりしていたようです」
「次に?」
「目的についてです。彼らは、今の政治体制について疑問があるようで、それをつぶすために働いている、というようなものらしいです」
「政治体制か。いつの世もそういうことを言うやつはいるからのぅ。気にすることは無いんじゃないか?」
「ええ、私も同意見です。ただ、他の組織も似たような目的で……」
まだなにか話しているようだが、その内容が入ってこない。
今の政治体制に不満?
それは、つまり父上の政治に、ってことか?
なあんだ。あの組織もそんなしょぼい理由で動いていたのか。
それくらい、私がすぐ終わらせられるのに。
幸い、私と考え方は一緒のようだ。
私が手を出しても文句は言われないだろう。
そして、私は父上を殺した。
ユウナもそれがいいよ、と言ってくれた。
それなら怖いものなしだ。
寝室に、息子だという立場を使って入り込み、護衛が反応するより前に喉を切った。
人を殺す、という感覚は、非常に怖かった。
だけど、私は歴史に残ることを成したのだ!
それが、私の心の支えとなっている。
「父上を殺した。次の王は私がなる。明日、広場で待て。事情を伝えよう」
護衛に伝えた。
これできっと、この情報は広まってくれる。
そして、迎えた次の日。
私を待っていたのは数多くに民達だった。
そうか、私の即位をこんなにも喜んでくれる人がいるのか。
そう思って、思いのままを言った。
伝わってくれたのだろうか、時が立つごとに皆の反応が大きくなる。あおれが心地よかった。
ちょうどユウナの話をした後に、ユウナがやってきた。
ちょうどいいと思って発表した。
そして戻った先、そこにいたのは、一人の神官だった。
護衛はおらず、倒されていた。
何の音もしなかったのが不思議だ。
いや、音はしていたかもしれないが、それにも勝る歓声を私が作っていたからな。
仕方ないだろう。
だが、事態はそう簡単ではない。
護衛が倒されている、それだけで大事件だ。
「第一王子、ムニダス様。あなたはもう邪魔なものでしかなくなりました。さようなら」
ボンっ!
その言葉と共に、黒い煙が立って、前が見えなくなった。
そして、息が苦しくなって……
もがいて、もがいて、もがいて。
だけどこの煙からは逃れなくて。
ユウナと何度もぶつかった。
ユウナも同じ状況にいる。それが心強かった。
「ユウ……ナ……ま……ほ……う‥‥‥……を……………」
声は途切れ途切れになる。
届かない。
そして、呼吸ができなくなって。
痛くて、痛くて。
…。
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