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私は東京の秘密を知っている 四話
昼休み、表は寮に戻り、校内の掃除バイトの準備をする。
優しい店長、雁弥 裕也さんが手招きしてくれた。
「表ちゃん、今日は窓の掃除を頼むよ。天気もいいし、外の光が街を照らすからね」
表は頷き、バケツと雑巾を持って外へ出る。
掃除をしながら、光の筋に沿って街を見回す。
——この光の筋と街の白さは関係している気がする……
夕方、商店街を巡ると、白く消えかけた場所が増えていた。
でも、少しずつ戻る部分もある。
表が書き込み、影の子が補助する。
——これで少しずつ、街の秘密に近づいていく。
夜、寮の自室で表はノートを閉じた。
窓の外で微かに時計台の針が動き、遠くの街の音が戻る。
沙月は影のように立ち、表の行動をコッソリ誘導している。
——街はまだ完全には戻らない。
——でも、少しずつ、秘密が見えてきた。
表は小さく笑い、明日も街を見守ることを心に誓った。
火曜日の午後、表は商店街を歩いていた。
昨日よりも白い空白が広がり、通りの色も音も薄れている。
空には昨日見た光の筋が、細く揺れながら街を縦断していた。
——光の筋の下は、消えかけるスピードが早い……
表はノートを取り出し、白くかすれた場所を記録する。
【商店街中央。光の筋下。色が急速に薄れる】
【八百屋、パン屋、時計台周辺も白くかすむ】
影の子が手を伸ばして、少しずつ色や音を戻す。
表は、自分の力で街を守っていると思い込んでいる。
でも、沙月は裏で通行の安全を確認し、表が危険地帯に迷い込まないよう誘導していた。
——ここから先は、危険かもしれない……
表はためらったが、ノートを握りしめて前に進む。
光の筋が交差する場所、消えかけた公園の奥、古いアパートの裏路地。
色も音も消えかけたその場所は、街の秘密に近い匂いがした。
そこに差し掛かると、空気が冷たくなり、視界も少しぼやける。
——本当に、街が消えかけている……
影の子が近くで手を動かし、色と音を少し戻す。
表は気づかず、ひたすらノートに書き込む。
【古いアパート裏路地。光の筋交差。色が半透明】
【公園奥。砂場とブランコがかすむ】
夕暮れ、商店街に戻る途中、表はふと空を見上げる。
光の筋が少しずつ街の色を奪いながら動いているのが見えた。
——あの光の筋、ただの現象じゃない……規則的に動いている?
寮に戻ると、片原 先生が表を見守るように立っていた。
表は気づかないが、先生は少し眉をひそめ、何かを考えている様子だった。
——私の両親の死も、街の秘密も、きっと誰かが知っている……
夜、窓の外で時計台の針が静かに進み、街の音がわずかに戻る。
沙月は影から、表が危険地帯を通るたび安全を確認していた。
——表には気づかせない。
でも、街を守るために、今日も裏で導く。
水曜日の午後、表は街を歩きながら光の筋を見上げていた。
細く揺れる白い光は、昨日よりも複雑に交差している。
街の色も音も、光の筋が通る場所ほど早く消えかけている。
——規則がある……
表はノートを取り出す。
光の筋の動き、消える速度、場所ごとの色の薄れ方をひたすら書き込む。
【商店街中央。光の筋交差。消失スピード最速】
【公園奥。光の筋端。色と音が半透明】
【古いアパート裏路地。交差点近く。半透明】
影の子が近づき、かすれた色を少し戻す。
表は、自分の力で街を守っていると思い込む。
でも、沙月は裏側から表の動線を微調整し、安全に危険地帯を回らせていた。
——でも、どこから手をつけるべきか……
商店街の交差点に立つと、光の筋が重なり合い、白くかすれた範囲が広がっている。
表はノートに書き込む手を止め、深く息をつく。
——ここを通らなきゃ、街は戻らない……でも危険……
その瞬間、片原 先生が遠くから表を見つめているのが目に入った。
——先生も何か知っているのかもしれない……
夕方、表は決意する。
ノートを握り、影の子の補助を受けながら、光の筋が最も複雑に交差する地点へ向かう。
白くかすれた街の中、少しずつ色と音を取り戻す。
歩くたび、街の色が戻り、風が通り、音も少しずつ蘇る。
表は、街の秘密の一端に触れた気がした。
——私の両親のことも、関係している……?
夜、寮に戻ると、窓の外で微かに時計台の針が動き、街の音がわずかに戻る。
でも平和な夜はまだまだ先かもしれない。
土曜日の朝、表は月学の寮を出て、商店街へ向かっていた。
街はまだ白くかすれ、光の筋が空を走っている。
昨日よりも、光の筋がより規則的に動いているのが見えた。
——この光の筋……
——ただ消すだけじゃなくて、何かを狙っている……
表はノートを開き、光の筋の動きや消失のスピード、交差する地点を丹念に書き込む。
【市役所。光の筋交差。色がほぼ消失】
【古い本屋。半透明】
【遊園地後奥。観覧車がかすむ】
影の子が手を伸ばして、色と音を少し戻す。
表は全て自分の力だと思い込む。
でも、沙月は裏で、表が危険地帯に迷い込まないよう、微妙に誘導していた。
歩きながら、表はふと思った。
——光の筋の動きには法則がある。
——消える場所、残る場所、速さ……全部、計算されている……
そのとき、遠くの建物の屋上に、片原 京先生の姿が見えた。
表には気づかれないよう、先生は何かを調整している。
——……先生も、知っている?
夕方、商店街の交差点に立ち、表は決意した。
——光の筋の規則を理解したから、戦い方を変えよう。
——ただ追いかけるだけじゃなく、優先順位を決めて、街を守るんだ。
影の子がそっと手を動かし、かすれた色を補助する。
沙月は影のように後ろから表を誘導し、安全な行動を確保する。
表はノートに次の行動計画を書き込み、深呼吸した。
——街を守るための、新しい作戦。
——これで、少しずつ光の筋の核心に迫れるはず。
窓の外で時計台の針が静かに進む。
日曜日の午前、表は商店街の交差点に立った。
光の筋が空を走り、街全体の色や音を奪おうとしている。
昨日までの単純な追跡とは違い、表は新しい作戦を立てていた。
——まず、色や音が最も消えやすい場所から優先的に守る。
——そして、危険な交差点は影の子の補助と沙月の誘導で通る。
表はノートを握りしめ、ひたすら書き込みながら街を巡る。
【古いアパート裏路地。最優先】
【公園奥。砂場とブランコ。次に守る】
【商店街中央。交差点。最後の決戦ポイント】
影の子が手を伸ばし、色と音を少しずつ戻す。
表は全て自分の力だと思っているが、沙月は通りの裏から微妙に誘導している。
最初に古いアパート裏路地へ向かうと、白くかすれた壁や看板が急速に色を失いかけていた。
表はノートに書き込み、影の子が補助することで、少しずつ色と音を回復。
次に公園奥へ。砂場もブランコも白くかすみ、音も消えかけている。
表は慎重に書き込みながら進む。影の子が微かに補助し、沙月が裏で危険を回避させる。
最後に商店街中央の交差点。光の筋が交差し、最も危険な場所。
表は深く息を吸い、一歩ずつ進む。
——ここを守れば、街全体の回復に繋がる……!
足元の色が戻り、建物や看板が少しずつ鮮やかさを取り戻す。
風が通り、遠くの時計台の音や人の声も戻り始める。
表はノートを閉じ、少し息をつく。
——街は……生きている!
夜、寮に戻ると、沙月が影から見守っているのがわずかに見えた。
表は微笑み、明日も街を守る覚悟を胸に刻んだ。