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一話 この兄妹は何か違う
《毎日投稿10日目!》
風華「…この奥ですか?」
義勇「ああ、」
私は義勇さんと一緒に雪の降る山道を走りながら登る
今日は義勇さんとの合同任務だ
なんとなく鬼の気配がする
でもなんだろう
この気配は、なんだか…
義勇「いたぞ」
前を見ると鬼に襲われている少年がいた
義勇「水の呼吸…」
?「あ…っ!!禰󠄀豆子っ!!」
禰󠄀豆子と呼ばれた鬼は少年に庇われた
義勇&風華「?!」
刀が空中を空振り、爆風が起きる
風華「…鬼を、庇った?」
なぜ?
義勇「なぜ庇う」
?「…妹なんですっ!!俺の妹で…っ!!」
なんとなく分かった
この子は家族を鬼に襲われ、
温もりの残っていた妹を医者のもとに運ぼうとしたが途中で妹が暴走
そして今に至るのだろう
風華「君の妹だからと言って、斬らない理由にはならないわ」
風華「私達は鬼狩りだから」
義勇さんが動き、鬼になった妹を捕まえる
早い…そう感心していると、
彼の顔が青ざめていくのが見えた
?「…っ!!」
義勇「動くな」
義勇さんの声に彼の足は止まる
目には涙が浮かんでいた
?「妹は人間です…どうしてそうなったのかは分からないけど…でも!!」
義勇「簡単な話だ。傷口に鬼の血を浴びたから鬼になった」
義勇「人喰い鬼は、そうやって増える」
鬼を斬っても斬っても、いなくなることはない
《《あの鬼》》がいる限り、平和な日々は来ない
?「治します!!必ず妹を人間に治しますから!!」
風華「…残念だけど、鬼が人間に戻ることはないの。治す方法が見つかってないから。」
?「探すっ!!だから妹を殺さないでください!!やめてくださいっ!!ポロッ」
義勇さんが妹に刀を向けると、彼は叫んだ
?「お願いします…どうか妹を殺さないでください…っ、ポロッ」
?「俺からもう何も奪わないでください…お願いします…ポロッ」
正直辛かった
今まで鬼になった家族を殺さないでくれという人は何人もいた
だけれどそのほとんどはその家族に襲われて亡くなった
守れなかったと思った
少しでも同情しては駄目なのだと思った
でも、この子達は…
義勇「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」
?&風華「!?」
義勇さんの怒鳴り声に私も彼も驚く
義勇「惨めったらしく蹲るのはやめろ!!そんなことが通用するならお前の家族は殺されていない!!」
義勇「奪うか奪われるかの時に主導権を握れない弱者が妹を治すだと?」
義勇「笑止千万!!!」
…義勇さん
義勇「弱者には何の権利も選択肢もない」
義勇「悉く力で強者にねじ伏せられるのみ!!」
義勇「妹を治す方法は鬼なら知っているかもしれない…だが!!」
義勇「鬼共がお前の意思や願いを尊重してくれると思うなよ!!」
義勇「当然俺達もお前を尊重しない、それが現実だ!!」
義勇「なぜさっきお前は妹に覆い被さった!!あんなことで守ったつもりか!?」
義勇「なぜ斧を振らなかった?なぜ俺達に背中を見せた?」
義勇「そのしくじりで妹を取られている!!」
義勇「お前ごと串刺しにしても良かったんだぞっ!!!」
?「…ぁ、…っポロッ」
義勇さんは、間違ったことを言ってはいなかった
全て正しい、偽りも何もなかった
けれど、少年の気持ちも《《分かる》》
家族を殺されて、妹は鬼になった
妹が殺されたら彼は1人になってしまう
そんなの嫌だよね、苦しいよね、辛いよね
…けれど
もう時は戻らない
どんなに苦しくても生きていくしかないのだから
グサッッ
禰󠄀豆子「ゔぁぁっ!!!」
?「やめろーっ!!!」
義勇さんは彼の妹に刀を刺した
それと同時に少年は石を投げる
風華「ふっ!!」
石を刀で切り刻み、義勇さんを守る
別の方向から投げられた石もあっという間に切り刻む
?「うああああ!!!!!」
刀を持った相手に正面から向かってくるなんて…
義勇「愚か!!」
義勇さんは少年の背中を打ち、気絶させる
風華「…?」
斧はどこ…?
…上から異様な気配!!
風華「義勇さん危ないっ!!」
カキンッッ
刀で斧を打ち、斧は横へと転がる
木の影に隠れた時にこちらに斧を投げた…
この少年は…
禰󠄀豆子「ゔぁっ!!うああ!!」
風華「…!!」
油断した…っ!!
禰󠄀豆子「ゔううう…!!ゔあぁ…!!」
信じられない
兄の彼を守るだなんて、
私は刀を鞘にしまった
義勇「…風華」
それを見た義勇さんも刀をしまい、
首に強く刺激を与え、鬼を気絶させた
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風華「言われた通り、竹を持ってきましたよ」
義勇「感謝する」
義勇さんは紐と竹を器用に扱う
義勇「あの鬼にこれを咥えさせておけ」
風華「分かりました」
少女の口に竹筒を咥えさせ、着物も直す
?「はっ…!!」
その時、少年が目を覚ました
義勇「起きたか」
少年は妹を抱き寄せ、こっちを見る
私達をまだ警戒しているみたいだった
風華「…君、名前は?」
炭治郎「か、竈門炭治郎です…こっちは、妹の禰󠄀豆子、です…」
風華「炭治郎さん…そう、」
風華「私は如月風華、いつかまたどこかで会えるといいわね」
少年は分かりやすく混乱していた
義勇「狭霧山の麓にある鱗滝左近次という老人を訪ねろ」
義勇「冨岡義勇に言われて来たと言え」
義勇「今は日が差してないから大丈夫なようだが、妹を太陽の下へ連れ出すなよ」
風華「炭治郎さん、達者でね」
義勇「…行くぞ」
私達はその場から立ち去った
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風華「…良かったんですか?これ、隊立違反ですよね?」
義勇「まぁな」
私達は山を下りながら話す
風華「…私が彼を剣士にさせたらいいのではと言ったばかりに」
義勇「気にするな、俺もその方が良いと思っていた」
義勇「隊立違反は俺も同じだ」
風華「…《《その時》》は私だけが罪を被りますから」
そう言うとため息が聞こえた
義勇「だから気にするなと言っている」
義勇「安心しろ、《《その時》》は俺も一緒に腹を切る」
その言葉に私は涙が出そうになった
彼がいつか、私たちと一緒に任務をする日が来ると良いのだけれど…
そう思いながら屋敷へと帰った
やっと1話書けたああ!!!
納得いかずのtake3で完成しましたね…w
おつなこ!!