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ハレゾラ
はるさん主催の流星群企画の小説です。第一話です。
一週間前、お父さんが死んだ。
事故だった。
悲しくなかったけど。
私の家は、貧乏だった。
別に、学費は払えるし、食事も洋服もちゃんとしたものだ。
でも、裕福とは言えなかった。
お父さんは働き詰めだった。
夜遅くまで帰らずに、朝早く出勤する。
ここ三年、ろくに会話をしてなかった。
そのせいか、悲しいという感情が湧かなかった。
*
「おはよー」
「おはよう」
周りの友達は、お父さんが死んだことを知らない。
言ったら、どんなことになるのかわからないし。
「ねえ、これ知ってる?」
「ん?何?」
「この人達、すごくない?今、めっちゃ…」
私の友達の話は、いつも流行り。
私が興味ない話題でも、すごく楽しそうに話す。
話を合わせないと、周りから人がいなくなってしまうから。
「|松木《まつき》さん、ちょっといい?」
「え、はい」
*
「松木さん、これに参加してみない?」
先生に廊下に呼び出され、渡されたのは、県立高校の星空観察会の知らせが書かれた紙だった。
「えっと、こういうのって、自由参加じゃないんですか?」
「高校生はね。中学生は、各校4名までしか参加できないことになってるの」
私は、星を見るのが好きだ。
先生もそれをよく知ってくれて、たまに星のことで話しかけてくれる。
「どうする?参加する?高校生とレベルの高い話ができるチャンスだけど」
「わかりました。少し考えさせてください」
*
「ただいまー」
「おかえり。私、今から葬儀屋さんと相談しに行くから、ちょっと留守番してて」
「ん」
ここ一週間、お母さんはほぼ出かけている。
なんか、忙しいんだろうなとは思うけど、どうしても他人事になってしまう。
お母さんが言うには、お父さんが死んだときに出る保険金が、結構な額だったそうで。
学校から帰ってきたあとの日課は、お気に入りのオレンジジュースを飲みながら、宿題をすること。
「今日の宿題は…」
*
「ただいま」
「ん…、ああ。おかえり」
宿題をやってるうちに、いつの間にか寝ていたらしい。
右腕には赤い跡がついている。
「お母さん、今何時?」
「えっと、もう7時ね」
「7時っ?早くしないとじゃんっ」
『明日は、牡牛座流星群がよく見えます。晴れると良いですね』
今日の朝のニュースでやってたお知らせ。
毎日、星を見るのは欠かせない。
お父さんが唯一くれた贈り物、天体望遠鏡で見てる。
今日は、くもっていてあんまり見えなかった。
明日ピークのはずの牡牛座流星群が見える気配なんて、少しもなかった。
「もう遅いし、終わりにしなさい」
今日は、流石にやめよう。
「わかった」
そういえば、星空観察会について、言わなきゃだな。
ごめんなさい。自分でも何を書いてるのかわからないからごめんなさい。