ポテプラ一周年記念「彼女たちの」

「ふぅ…」 私は起きた。 時計は午前5時を回っている。 6月6日。 レイアを探し始めて、 どうやら、この世界では1年が過ぎたらしい。 「エリアナ」 「んーーーーーーーーー」 まだ寝ているエリアナを起こそうと知って、私はエリアナの部屋に入った。 そう、私たちはルームシェアの家に住んでいるの。 部屋は分かれていて、共用のリビングもある。 結構広いのよね。 料理はエリアナが得意だから、私が視察がてらに買い出しに行ったりもする。 ホテル崩壊の後、この家に帰ってきたわけだけど、 任務がないと、こんなにも時間を持て余すのね。 いや… レイア… 貴方がまだ見つけられていない。 「…。」 「おはよーーーー」 眠そうなエリアナがようやく起きてくれた。 「食材を準備しているから、朝食を作ってくれない？」 「…はーい」 「よろしくお願いね」 初めて出会って、こんな風に生活を送ることとなるとは、 あの頃は想像もしなかった。 その分色々知ったわ。 エリアナは料理が得意なこととか 歌がうまいのよね。 本当に顔は良いし。 …こんな寝相が悪いとは思わなかったけど。 私はベッドの下に隠れていたブランケットを見つめた。 --- 「おはようございます！」 「エヴァ…」 …夢から醒めた。 「…」 「ここはやっぱり、何処なの？」 私はまた、この無と言っていいほどの空間を見つめる。 前にはエヴァ、ただ一人。 「あなたは知る必要はないです。」 「…ここから出してよっ…ミリムに会わせて。」 「ふふっ…」 --- 「その程度のおもいで、そんなに大事なんですね。」 --- 「…せっかく記憶を消して戻したかったというのに…情が沸いたんですよ。もういいです。」 「やった…」 「でも、ここから出すとは言ってないですよ。」 「ッ……なんで、こんなことするの？」 「そりゃぁ、そうですよ。」 そして、エヴァは私の隣にきて、 --- 「貴方なら、｜解りますよね《役目が》？」 --- 「……」 __「解ってるわよ…」__ エリアナは微笑んだ。 エヴァに手を差し伸べた。 --- 「…`情がわいちゃった同士、協力しない？`」 --- 「……はっ、突然何を言い出すのやら。」 「無論、私にも考えがあるの。」 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。」 「ッ……！」 --- 「…今日で一年ね…早いわ。」 「…嗚呼、■■■。」 --- 「`あの頃`は、楽しかったわね。」 --- コンコン… エリスです、と声が聞こえた。 「どうぞ。」 ガチャッ 「どう？順調？」 彼女は問う。 「…ええ。」 「あともう少し、というところです。」 「…レイア様。」 「本当に、アレを殺してしまってもよいのでしょうか。」 「…何故？」 「奴は化け物です。当然、生かしておく理由はありません。ですが＿＿＿」 ガチャッ 「今度はなんなの、無礼者。」 「ライカでーす。そんなんじゃ甘いですよ。」 「やめなさい、ライカ。」 「は？貴方が口出しするとこじゃないんだよ。」 「慎みなさい。」 「……夜が明けるわ。」 そろそろね、と呟く。 無言の時が流れる。 あと何回、この乾いた瞳孔を閉じて、開ける行為をすることができるか。 分からないけど、今はただ。 少しづつ崩れていくこの世界に、彼女はただ、見とれているだけだった。 --- 今、ここにもし心があるのなら。 私は、どれだけの人を殺さずに済んだのか。 「…………。」 2重人格、その言葉が似合うのかもしれない。 意識がない。 感情もない。 ただ、モノを排除する為の機会の様に。 傍観者だと思って安心してはいけない。 すると突然、彼女達に襲われるだけ。 見た目は普通の少女。 隣には仮面を付けている少女。 この2人が、この世界を造り、そして壊してしまう。 まるで人間の様に。 この世界に慈悲は存在しない。 要らない、と一つ、誰かが零す事で、 その者の人生が変わってしまうこと。 貴方は知らない。 私とあなたが出会わなければ 出会うような世界では無ければ このような事は決して起こらなかった。 気のせいでは済まされない、 この世界の片隅から。 少しずつ世界が変わり、 世界が終焉に近付く。 始まれば、終わる。 それが何時になろうとしても＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿。 --- それでも、彼女達は朝を迎える。 この世界に尽くす、最期まで。 存在している限り、決して消えることはないのだから。 「この物語は、きっといつか、物語としての終焉を迎える。」 --- 「君と二人で、いつか、いろんなところに行ってみたいわ。」 「そうね。」 「何処に行こうかしら……」 「私達は、何処にでも往けるから。」 「きっといつか、2人で。」