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重音テトの誕生日!!! #2
いよいよ当日。未來たち四人は、玄関の傍で照都を待ち伏せていた。
待ちくたびれたところで、鍵を開ける音がした。
「ただいま〜__」
「「「「誕生日おめでとう!!!!」」」」
未來がクラッカーを二個同時に鳴らし、鈴と錬が突っ込んで抱きつく。
「……ってなんだ、未來に鈴と錬じゃ、って流歌さんも?」
意外そうに目を丸くした照都に、流歌は「えへへ、はい」と照れ笑いを浮かべる。
「それよりもっ__流歌姉!」
未來がくるっと振り向き、流歌に呼びかける。流歌は手に持っていた箱を渡した。
「これ__わたしたちからの誕生日プレゼントです。お気に召したらいいんですけど……」
「へぇ……って、『|CHIMERA《きめら》』のパソコンじゃん! しかも最新の……」
「そうっ! 照都、熱心にこれのサイト見てたでしょ? だからほしいんじゃないかと思って!」
箱を抱えている照都に、未來は得意げにウインクを飛ばす。
「僕らでお金を出しあって買ったんだよー!」「流歌姉の提案でね!」
続けて言う鏡音姉弟に、流歌も微笑む。
「お気に召すも何も、気に入らないわけないじゃん。……ありがと、みんな」
控えめに、けれどしっかりとお礼を告げた照都に、四人は湧き上がる。
しかし、楽しいムードを、照都の低い声がぶち破った。
「で・も!! ねぇ、未來ぅ??」
睨まれ、未來は「……ひぇっ?」と声を漏らす。
__なんか……圧が凄い!!!
と、その場の全員が慄いた。
「さっきさ、『熱心にこれのサイトを見てた』って言ったけど……なんでうちがいつも調べてたってこと知ってんのさ……??」
「へ? それはー、その……はっ」
怒っている原因が分かった未來は、青ざめる。
「つまり、うちのスマホの画面を覗き見したってことだよねぇ? ねぇー、未來??」
「い、いやぁ、そのー………………ご、ごめんなさぁいっ!!」
勢い良く謝ったものの、照都に睨まれ未來は居竦まる。
「ほんとにごめんってぇ、でも気になったんだもん〜! それに、高くて手が出せなかったパソコンをもらえてラッキーじゃん! もう絶対しないから許してください〜っ!」
未來の主張に、照都はうっと詰まる。
「……まぁ、今回は許してあげるよ」
「や、やったぁ__」
「ただし!!」
喜びかけた未來を、照都が制す。
「次に盗み見たりなんてしたら……ただじゃ済まないからね??」
「…………っき、気をつけマス……」
半歩後ずさった未來に、鈴が提案する。
「ねぇ、ケーキ食べようよ! もうリビングに出しちゃったし、腐ったら嫌じゃん!」
「よしっ、じゃあリビングに行こう!」
錬と鈴が手を掴みあい、駆けていく。
「ちょっと、走ったら危ないですよ〜っ」
そう言いながら、自分も走って流歌が追いかける。
三人を見てわざとらしく溜め息を吐いた照都に、未來は苦笑いを向けた。
「それじゃあ、ボクたちも行こっか」
「……そうだね」
すでに賑やかなリビングへ、二人は向かった。
これで終わりです、テトちゃんの誕生日祝いの小説は!
でも、どうせだしシリーズ化しようかと思ってます。
登場させるキャラもどんどん増やそうと今設定を固め中です。
番外編から始まるシリーズって前代未聞ですが、まぁ全部の話が番外編みたいになる予定なのでいいでしょう(?)