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ハルヒ探偵事務所の日常 #1
早速、第1話だぜぃ!
**第1話 ドーナツと喧騒**
今日も『ハルヒ探偵事務所』は騒がしかった。
「ハールーっ! またワタシのドーナツ食べたんですかぁ?!」
「へっ?」
探偵の|春日《かすが》メイが、その助手の篠原ハルに詰め寄る。余りの気迫にハルは間抜けな声が出てしまった。
(ヤバい。これはヤバいぞ……)
内心焦りつつ、一旦すっとぼけてみる。
「……いやぁー、ちょっとよくわから__」
「惚けてんじゃないですよ! バレっバレです!」
一刀両断された。言い終わることさえできなかった。
もーっ、と鼻息を荒くして、メイはまくし立てる。
「まず、第一容疑者はどー考えてもハルなんです! 常習犯だし、捜査線上に真っ先にあがる!」
「でも、ボクじゃない可能性だってあるのでは……? 猫とか鳥が盗っていった、とか」とハルが挙手をする。
「確かにそれも考えました。けれど、このドーナツの器を見て! 指紋がついてるでしょ? ここにはワタシと貴方しかいない! つまり、貴方しかあり得ない! というか、口元に欠片ついてますし」
「えっ、嘘」
ギクリ。慌てて口に手を当て、取ろうとする。
すると突然、
「__騙されましたね」
とメイが言った。顔を向けると、ニヤッと笑っている彼女の整った顔が目に入る。
「……へっ?」声が漏れた。
その腑抜け面を見て、メイの口角は更に上がる。
「ドーナツの欠片なんてついてませんよ。ちょっと鎌をかけてみただけです」
余りにも平然と告げられたので、余計理解に時間がかかった。
3秒ほど経ち、ようやく分かる。
(なるほど。コイツ、騙しやがったのか……)
悔しい。だが、それ以上にハルはこう思った。
(やっぱり、うちの探偵は凄いなぁ)
鼻歌を歌いながら推理小説を読み始めたメイを見て、そんな彼女の助手であることが嬉しくなった。
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↑2人のビジュです!
上から順にメイ、ハル。