公開中
第2人生-1
目を覚ますと、そこは布団の中だった。温かくて、甘い匂いがする。
そっか、僕は死んだのか。
にしても、天国の布団って思ったよりもこもこしてない。
すると天からにゅっと、お母さんの顔が現れた。何かが違うけれど。
「|大翔《はると》!見て見て!永遠が目を開けたわ!」
……これはもしかすると、生きていたのかもしれない。どのくらいか知らないけど、意識がなかったんだろう。
すると、お父さんの顔もにゅっと出てきた。
「本当だ!永遠おはよう~、パパだよ~」
んなこた知ってますけれども。僕は苦笑した。
「あ、今笑った!」
「パパがわかるのかしらね~!」
わかるよ。だって15年も一緒に暮らしてたんだから。
「佐倉さ~ん、調子はいかがですか?」
看護師さんが調子を見に来た。
あ、元気です。一体、僕はどのくらい眠っていたんですか……?
「あれ、今お返事した?『あ~あ~』って」
「赤ちゃんが人の呼びかけに反応するのはまだ先ですよ。それにしても、永遠くんクーイング早いですね。生後2週間なんて」
お母さんと看護師さんが会話をする。
その時、お母さんとお父さんに違和感を感じた理由が分かった。若いんだ。年齢よりも、15歳分くらい。
もしかしたら……いや、もしかしなくても、僕、赤ちゃんからやり直してる……⁉
「嘘でしょ⁉隣の県に引っ越し⁉」
そんな僕の人生が、どうやらただの繰り返しではないことに気づいたのは、前の人生ではなかったライフイベントが発生したこと。
「うん……でも大丈夫だよ。中学校に進学するタイミングで引っ越す予定だから」
お父さんの勤めてる飲食店がとても順調になって、県外への進出が決まったそうだ。お父さんはそこの従業員に選ばれた。
「大丈夫も何も……」
「ごめんな、あそこの高校行きたかったんだろ?高校生になったら電車通学でも1人暮らしでもしていけるだろうから、中学校だけはあっちに通ってくれ」
え~、と言った後に気づいた。
卒業式の後にあの道を通らない……つまり。
僕は、あの事故で死ぬことはないんだ!