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肆
奈緒視点
?「シラトリさーん!」
奈緒「あら、揚羽に初夏じゃない。どうしたの?」
続けて社長室にやってきたのは、社員である|花咲揚羽《はなさきあげは》(アゲハ)、|天童初夏《てんどうういか》(ういな)だった。
揚羽「私達、これからいんくの皆さんとコラボ配信をするんです」
奈緒「あら、そうなの?」
初夏「よかったら見ててください!」
奈緒「いいわよ。でも、なんで言いに来たの?」
揚羽「由佳やみかげとも決めたことなんです。私達、獣人であることを打ち明けようと思うんです」
初夏「もちろん撮影後に言うから、世界中に流れることはないはずです」
奈緒「なるほどねぇ。私もあの人達は信頼しているから、言うのは構わないわよ。でもどうしていきなりそんなこと言い出したの?」
揚羽「私、いんくのしゅうとさんが好きなんです。前からずっと推してて・・・。けど、推しって言う感情も変わってきてる気がするんです。なので、はっきりさせるために正直に言いたいんです」
初夏「ずっと隠して接するより、ちゃんと言って嫌われた方がいいんだって。そう言うわけなんで」
奈緒「ふーん・・・わかったわ」
しゅうとくんへの気持ちがわからない・・・ねぇ。私も最初、グルッペンに対してそんな感じだったことがあったから、揚羽の思いはわかる。とは言え、グルッペンは私はが白鳥獣人であること知ってるし、いんくのみんなが嫌うはずないと思うけど。
奈緒「あ、そうだわ。nakamuくんとぺいんとくんが来たわよ。今度人狼ゲームでコラボやるんですって。参加できる?」
揚羽「できますよ」
初夏「私は無理かも・・・。すみません」
奈緒「わかったわ。他のみんなにも聞いてみるわね」
揚羽視点
ピロン
揚羽「こんにちは」
ふうはや「アゲハさん!初めまして、ふうはやです!」
揚羽「あ、アゲハです。よろしくお願いします」
私は花咲揚羽。今回のコラボを楽しみにしていた、しがない蝶獣人です。
だって、私の推しと話せるから。
私の推しはしゅうとさん。優しくて好きなものが私と同じで、年齢も割と近くて。
何より、声が亡くなった兄に似ていたの。
私には兄がいたんだけど、ドラゴンナイトの奴らに捕まって殺された。すっごく悲しくてよく泣いていたけど、いんくの動画を見て元気をもらえた。もういない兄を近くに感じられた。
でも・・・最近しゅうとさんへの思いに違和感を感じている。“推し”とは違うドキドキを感じる。
しゅうと「あの・・・どうかしたんですか?ずっと黙ってますけど」
揚羽「あ、いえ!しゅうとさんに会えて嬉しいなって!ずっと推してたんです」
ふうはや「そうなんですか!だってよ、しゅうと」
しゅうと「嬉しいです。今日はよろしくお願いします」
揚羽「こちらこそ」
今日は絶対秘密を明かすって決めたんだ。どうなってもいい。後悔はしたくないから。