公開中
3rd collaboration.1
“二度あることは三度ある”
ルイスside
それは、ある昼下がりのこと。
僕は意味もなく路地裏を歩いていた。
ポートマフィア本部から離れていることもあってか、銃声も聞こえない。
「今日も平和だなぁ」
そう呟いた直後に聞こえたのは《《爆発音》》。
うん、フラグになったような気がするのはどうしてだろう。
「おい|手前《テメェ》! 逃げるんじゃねぇ!」
「俺はまだ捕まるわけにはいかねぇんだよ!」
すっごい聞き覚えのある声がする。
上を見上げてみると、誰かが降ってきた。
異能なのか、それとも素の身体能力なのか。
その男は壁を蹴ったりと、落下の勢いを殺しながら地面に着地した。
「……誰だお前!?」
「いや、此方の台詞なんだけど?」
「ルイスさん!?」
また上を見上げてみると、今度は帽子が特徴的な男──中原中也がいた。
中也君を見るなり逃げようとする男。
とりあえず足を引っ掻けて転ばせておいた。
「誰コレ」
「本部に爆弾を仕掛けた奴です。此処に来るまでにも色々と爆発させて、被害が尋常じゃないんですけど……」
あぁ、さっきの爆発音はこの男の仕業か。
「僕は居なかったことにして、普通に連れてってよ」
「すみません、本当に助かりました」
中也君が苦戦するなんて、珍しいこともあるものだな。
そんなことを考えながら立ち去ろうとすると、浮遊感を覚える。
足元へ目をやると、先の見えない穴が開いていた。
この異能には見覚えしかない。
ジョン・テニエル──“|不思議の国の入口《Welcome to the wonderland》”。
多分《《此方》》ではない。
何かあったのかな。
「──ルイスさんッ!」
「ちょっと《《彼方》》に行ってくるね」
「はぁ!? ちゃんと説明して──!?」
中也君の声はもう聞こえなくなった。
入口が閉じられたんだと思う。
---
「よ……っと……」
出口が見え、僕は着地をする。
灰色の地面──コンクリートか。
辺りを見渡すと何故か見覚えのない人たちばかり。
「……嘘だろ」
一斉に放たれた銃声をとりあえず防ぐ。
ついでに、とりあえずの避難先をアリスに探してもらった。
「戦闘したくないんだけど」
とりあえず無力化していくと、数歩先の床に鏡が現れた。
『ルイス!』
「分かって──」
「させるか!」
「……!?」
鏡が割られた。
此方はアリスの異能を知っている人はあまりいない筈。
桜月ちゃんに、中也君に──。
「テニエルか!」
とりあえず情報が足りない。
無理やり鏡に入り込んで、移動する。
避難先には勿論人はおらず、たった一つの出入口である扉に耳を当てても足音などは聞こえない。
『……大丈夫かしら』
「うん。怪我はないよ」
『彼らは一体……』
「テニエルの仲間だろうね。……いや、“元”と付けておくことにしようか」
実際、情報が少なすぎて想像の域を超えない。
テニエルが桜月ちゃんを裏切った可能性を完全に消せるわけではなく、アリスの情報を持っていたことは紛れもない事実。
「アリス、この建物内に探偵社とかマフィアとかいそう?」
『いえ、全く見えないわ』
「じゃあ脱出しようか」
桜月ちゃん探しておいて、と僕は幾つか武器を忍ばせておく。
こういう組織は兵士と異能者の複合型。
元々異能者の人数自体少ないし、1割いたらまぁまぁだろうか。
中々いないだろうけど、無効化がいたら面倒くさい。
「……。」
結果から述べるなら、全く敵と戦わなかった。
桜月ちゃんを探しながらもアリスがサポートしてくれたから。
それはまぁ、良いことなんだけど──。
「意外と楽に出られたな」
もう外に出れてしまった。
早く桜月ちゃんに会って情報共有をしたい。
そんなことを考えながら歩き始めると、何かにぶつかった。
誰もいなかった筈。
振り返ると、そこには誰かがいる。
後ろ姿で、顔はよく見えない。
ただ、纏っている気配が只者ではないのを語っている。
何故僕は彼に気づかなかったのだろう。
《《目の前から歩いてきた筈なのに》》、ぶつかるまで気づかなかった。
「……。」
目が、合った。
次の瞬間、僕は急いで異能力を発動していた。
逃げろ。
そう、本能が警鐘を鳴らしていた。
「何だったんだ、彼奴は……っ」
転移したのは良いけど、まだ緊張は解けずにいた。
少し休むためにも人の少ないところを探していると、或るカフェが目についた。
いや、僕はこの世界のお金ないから入れないけど。
そもそも“close”の看板かかってるし。
「……あれ」
中に人影が見える。
ここは彼らの縄張りで、彼女の管轄なのかもしれない。
まぁ、どちらにせよ店に入らない選択肢はなかった。
--- 「俺の異能を使って、ルイス・キャロルを強制的にこの世界に連れて来た」 ---
扉に手を掛けたところで、そんな声が聞こえた。
直後、驚いている可愛らしい声もする。
「トップがもしも同じ条件を課したなら、今度はここ、泉桜月の本来の世界で、あの悪夢が──俺が引き起こしたあの事件が繰り返される」
「、でも同じ条件は多分課さないよね?云い方よくないかもだけど、っルイスさんがもしその選択を選んだなら、そのままルイスさんは元の世界に直帰コースだから」
真剣な話をしているのは、わざわざ云うまででもない。
そして、僕も関係のある話だということも。
「ね、その話…僕も混ぜてくれない?」
少し、強い声になる。
それでも彼女は少し目を輝かせながら、嬉しそうに返してくれた。
「お久しぶりです、ルイスさん...っ!」
すぐに、申し訳なさそうな顔をしていたけれど。
テニエルは挨拶を返してくれない。
少し視線を向けると、彼も申し訳なさそうに目を伏せていた。
「…勝手に押しかけちゃって申し訳ないね」
「トップの男はどうした?」
テニエルのいた組織のトップで今回の主犯──だろうか。
そのトップに心当たりがない、と云えば嘘になる。
彼奴だろうな、多分。
「強そうだったからなんとか逃げてきた」
「だろうな。状況がはっきりするまでは下手に動かない方がいい」
この世界に呼ばれた理由。
桜月ちゃんの世界で悪夢が繰り返されること。
条件について。
テニエルの組織、ならびに彼が気にしたトップのこと。
気になることは多すぎるけど、一つずつ説明して貰えたらいいな。
最悪、“|鏡の国のアリス《Alice in mirrorwould》”や“|不思議の国の入口《Welcome to the wonderland》”で僕の世界を巻き込むかな。
と、言うことで!!!!!!!!!
ののはなさんとのコラボ小説第三弾じゃあァァァァァァァァァァ!!!!!
はい、うるさいので黙ります。
今回はルイスとアリスが桜月ちゃんの世界にお邪魔します!
相変わらずの二人視点で、会えたのはラストというね((
まぁ今回のストーリーがストーリーだから((
ののはなさんが天才的なストーリーを書いてくれる、ということで私は何もしません((
いや、ちゃんと相談とかは乗るからね!?
そんなこんなで、応援してくれると幸いです!
桜月ちゃんsideも是非!
それじゃまた!