公開中
同じ空の下で #2
激しい衝撃と音が聞こえた…。
ー翌日の朝 茉梨視点ー
朝、木と木の間から差し込む太陽の光で起きた。あたりは少し肌寒く、静かだった。
「あれは夢ではなかった…」
飛行機墜落は事故ではなかったと自覚した。きっとこの事故のことを家族は知っているだろう。
そういえば機内モードにする前、碧翔に飛行機にのることを伝えた…な…
碧翔は1ヶ月前から付き合っている、家族絡みで仲良くしている幼じみだった。はとこのいとこという遠い親戚でもある。
連絡して来てたら勘付いているかもしれない。
救助はまだ来てないんだろうか。他の人はまだ生きているのか。いつ救助が来るのか。
今の状況では疑問が次々と浮かんだ。
何度も何度も起き上がろうと試みた。右腕にのっかかる物体は動かない。
もうダメだと思って休憩した。何時間も考え事をした。昨日と同じように。
時間が経つごとに右腕からSOSを感じた。物凄い痛みが来るようになった。
もうダメだと思い、意識を失いそうになった瞬間だった。
「誰かいませんかー?いたら合図を送って!」
男性の声がした。私は咄嗟に左手を上げて手を振った。手を振って数分後やっと気づいてもらえた。
「あ!そこに人がいるぞ!」
足音が段々と近づいて来た。
右腕の上の障害物が動かされ、救助された。
涙が出て来た。ここまで待ってよかった。男性に救助され、安心感が出たためか眠気が襲って来た。
私は目を瞑った。
次に目が覚めたのは施設のベッドの上だった。
隣に看護師らしき女性がいた。
「大丈夫ですか?」
「…はい。」
こんな感じで短い会話を終えた後、看護師はどこかへ行った。
しばらくすると医師が来た。
「ここがどこかわかりますか?」
医師は覗き込むようにこちらを見ながら尋ねた。
「どこか…病院…ですか?」
正直どこかわからなかった。
「そうです。ここは病院です。名前は?」
「赤木…赤木茉梨…」
「何歳ですか?」
「…15…です。」
医師は私が言ったことをメモすると部屋を出ていった。
私はため息をついて天井を見上げる。疲れを感じる。眠たい。
ー母・光代ー
茉梨のことがずっと心配でリビングのテレビはつけっぱなしだった。
「速報です。先日発生した青空航空518便が墜落した事故で生存者が3名発見されました。」
このアナウンスが流れた時、私の両親、長男4人揃ってテレビの前へ行った。
「生存者は道枝優子さん、吉井圭さん、赤木茉梨さん…」
「お母さん!茉梨が!」
茉梨の名前を聞いた時、驚きと喜びが混ざった複雑な感情だった。そして、涙が出て来た。
茉梨がどれだけ辛い思いをしたことか。
私と長男は急いで墜落地に向かった。
新幹線で移動している時、長男が目に涙を浮かばせていた。
3話は10月23日(月)8時30分公開です。