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『茨姫』2 ー 1
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< 奪い奪われ >
嫌な夢を見た。私の夫とその子供が、私の知っている誰かと幸せそうに暮らしているのだ。窓から光が差し込み、目が覚めれば儀式は終わっていた。王女様が居る場所はいつもとは違う、小さな小屋の中だった。彼女は飛び起き周りを見渡した。どうやら、城の傍にある小屋で眠っていたらしい。まるで、何かに隔離されたように。王女である自分がこんな扱いとは、彼女は怒って外に出た。すると、傍に居た兵士の一人が怒鳴り声を上げた。周りを見てみると、全員が自分を睨んでいる。嫌な予感がした、それと同時に彼女は一目散に城の中へと駆け込んだ。