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第四話
【前回のあらすじ】
突然屋敷から連れ出された沙雪。
外では、なんと大蛇とその手下が暴れ狂っていた!
止むを得ず戦闘を繰り広げる中で、全員の能力が明らかになった。
火影は心を読み、天舞は羽団扇で突風を起こし、竜翔は巨大な龍に変身…
そして、あの怖がりな灯和は、異様な金棒を召喚したのだ。
彼の正体は、なんと鬼の首領とも呼ばれる『酒呑童子』だったのだ…!!
しかし沙雪は、彼らに戦慄することはなかった。
それどころか、どこか哀しい雰囲気を感じるのだった……
………シュル…
灯和「……………よし、あと少しだね…!」
天舞「やっとここまできたかー…」
沙雪「ふぅ…体が大きい分、包帯を巻くのも大変ですね…」
灯和「沙雪ちゃん、天舞、お手伝いありがとうね。」
天舞「おー。」
沙雪「はい…あ、火影さんと竜翔くんは大丈夫でしょうか…」
__竜翔「おーーーい!」__
天舞「お、帰ってきたな。」
ふわっ…
**ぼわんっ**
竜翔「ただいまー!」
火影「倒れた植物の手当てと、崩れた家の立て直しが終わったぞ。」
沙雪「え!?もうあのお屋敷を建て直したんですか!!?」
火影「ああ、あれは私の神通力で建てていたものだからな。」
沙雪「え…?そうなんですか…!?神通力ってそんなこともできるんですね…」
火影「神の力だからな。」
灯和「もう少しで終わるから待っててね。」
竜翔「うん!」
__シュル…__
__シュルルル……__
灯和「…………え?」
天舞「どーしたー?」
沙雪「どうしたんですか…!?」
灯和「…これみて。」
そういって、彼は震える手に持っている者を見せてくれた。
その手には、一本の矢があった。
しかし普通のものとは違い、全体が真っ黒だった。
竜翔「……っ!!それって…!?」
天舞「うおっ…!?」
火影「…………これはかなり特殊な術だな…」
みんなの焦りように、私も緊張してしまう。
沙雪「!?ど、どういうものなんですか…?」
火影「我らのような『人外』と呼ばれる者を暴走させる術がかけられている。」
「しかも掠っただけで掛かるほどの強力な術だ。」
沙雪「……!!」
竜翔「詳しく言うと、その人の持つ強い感情を過度に昂らせるものだよ。」
天舞「こいつの場合、土地を奪われた怒りと恨みと不安だろーな。」
沙雪「…………」
灯和「……彼の目が覚めたら、詳しく話を聞いてみようか…」
火影「そうだな………だが、それより今は…竜翔。」
竜翔「うんっ…!!」
***ボワッ!!***
沙雪「!!?」
(急に矢が燃えて……!!?)
竜翔「……危ないからね。」
天舞「こーやって消しとくのが一番いいんだよ。」
---
__キュッ!__
灯和「よし…とりあえず治療は終わったよ…!」
天舞「あ゛ーづかれだーー!!!」
沙雪「疲れました…」
火影「やるべきことは終わったことだし、一度家に帰るか。」
竜翔「はーい!」
沙雪「わ…私はどう帰れば…?」
天舞「あー、俺が背負ってこうか?」
沙雪「疲れているのにいいんですか…?ありがとうございます…!!」
---
天舞「ふーー!!」
火影「やはりここが一番落ち着くな。」
灯和「落ち着くねー…」
竜翔「……はい!お茶入れてきたよー!!」
沙雪「あ、ありがとうございます…!」
竜翔「…………………(ムッ)」
沙雪「え…!?きゅ、急にどうしたの…?」
天舞「……沙雪、少し気になったんだけどよぉ…」
沙雪「な…なんですか……?」
天舞「さっきからずっと敬語使ってるけど、別に使わなくていいぞー?」
沙雪「……えぇ!!?」
竜翔「そうだよ!!普通におしゃべりしよ!」
火影「…………(コクコク)」
沙雪「で、でも…!__なんか緊張するし…__」
__モジモジモジ…__
__天舞「……どーするよ?」__
__竜翔「絶対緊張してるよね…?」__
__火影「……仕方がない。竜翔、《《アレ》》をしろ。」__
__竜翔「…うん…わかったよ……」__
竜翔「……沙雪ちゃん……?」
沙雪「は、はい…?」
「………って!!?」
**キュルルーン♡**
竜翔「……これでも…だめぇ…?♡」
沙雪「…………!!?」
__ウルウルウル……__
__沙雪「………………わかりました……」__
竜翔「!わーーい!!」
沙雪「えっと……竜翔…くん…?」
竜翔「………!!(パアァァ…)」
沙雪「…て…天舞……?」
天舞「おぅ!」
沙雪「……火影…………__さん__…」
火影「……まあ、その呼び方の方が落ち着くならそれでいい。」
沙雪「はい……ごめんなさい………」
「あとは………」
灯和「……………………!!(ワクワク)」
沙雪「……ひ…灯和…!!////」
灯和「…!あらためて呼ばれると緊張するね……////」
沙雪「緊張しました………/////」
火影「…まあ、自己紹介も終わったことだ。今日はゆっくり休もう。」
沙雪「は…はい………」
**グラッ**
あれ…?
**ドサッ!!**
私…なんで倒れて……?
あ……そういえば私…怪我……してたなぁ………
しかも今日……色々あって……すごく疲れてた……………
__竜翔「!?沙雪ちゃん!!?」__
__天舞「うおぉ!!?急に限界来たか!?」__
__火影「……無理はないな。初めての場所で急にあんなことになったのだから。」__
__灯和「…今日はもうゆっくり寝かせてあげようか…」__
ああ……声が遠く聞こえる………
でも…この声……なんか安心するなぁ…………
私を…大切にしてくれる人がいたら……こんな感じだったのかなぁ………
まだ…彼らに聞きたいことはあるけど………
__………今日はもう…………………__
灯和「おやすみ。沙雪ちゃん。」
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第四話 〜完〜