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なぜ
「過ぎ去った日々ばかりが、美しいのはなぜ?
手放した憎しみが名残惜しいのはなぜ?
あなたを愛おしいと思えば思うほど、自分が醜くなるのはなぜ?」
『病んでる君は面倒くさい』
そんなことを言うモンスターに好かれる必要なんてないのに。
いつの間にか丸みを帯びた脳味噌の定位置が定まらない
逃げ出したいと願って辿り着いた。
気づけば頭が空っぽだ。
生きることにしがみついて一体何を忘れたんだろう?
「愛も温もりも苛立つのはなぜ?
報われやしないのに救う側なのはなぜ?
あなたを愛する勇気がないのに、あなたに触れたいと思うのはなぜ?」
「悲しい」
なんて口に出したら、甘えだろなんて言われて、舐められるのはへっちゃらなのさ。だから見放すのはやめてくれ。
散々切り捨てたくせにさ。そうやってできたこの場所だ。
「もう弱音は吐けないぜ」
雪化粧も、紅葉の色も、夏の匂いも、桜の数も、何一つ思い出せないのはなぜ?
どこにだって行けるのに、どこにも行けないのはなぜ?
腹の底から込み上げる恐れが抑えられないのはなぜ?
「そうだ逃げよう。全部捨てよう」
地位も名誉もただのゴミ屑だ。
回答をどうぞ。
「何が愛だよ。
思い通りが良いくせに保護者面するんじゃねえよ」
全部敵だ。全部捨てよう。
「でもあなたが邪魔をするのはなぜ?」