公開中
四季折々・推理小説部 #2
__「オレが集団カンニングの首謀者じゃないかって、疑われてるんすよぉ!!」
冬希の発言に、3人は驚愕する。
夏葉は「……何があったの、冬希??」と目を見開き、
春汰は「言葉が足りませんよ、先輩」と溜め息で心配を隠し、
秋音は「冬希くん。詳しい事情を教えて」と促した。
「ふー…………すみません。順に話します」
冬希は深呼吸を1つする。近くにあったパイプ椅子に座り、静かに語り出した。
---
「__最近、抜き打ち小テストの平均点が異様に高い」
数学の授業中、|宮代《みやしろ》先生がそう言った。
「こんな事を言いたくはないんだが、集団カンニングではないかと思っている。協力してしまった人は、なるべく早く自分で言いに来てくれ」
丁度話が終わったタイミングで、チャイムが鳴った。
授業終了後に先生が去ってから、教室内には重い空気が漂っていた。
グループで集まったり、友達の近くに行ったりして、コソコソと話をしている。
「__アイツじゃね、アイツ__」「__えー?__」「__わ、私じゃないからね?__」「__あの人じゃなーい?__」
みんながオレを疑いの目で見ている__そんな、気がした。
1度そう思ってしまうと、どんどん汗が出てきて。
挙動不審になってしまって、それが何よりもいけなかった。
今度はハッキリ、クラスメイトたちの目が確信の目をしていた。
---
「それで、耐えきれなくなって。みんなが教室からいなくなるまでトイレに篭って、そのあとここへ……」
大体の事情は把握できた。全員が思考に集中しているのか、数秒間だけ静まる。
「ふんふん……なるほどね。冬希くん、お疲れのところ悪いけど、2、3質問をしていい?」
「はい、なんでも訊いてください」
冬希は顔を上げ、秋音に向き合う。
「これは確認なんだけど。冬希くんはカンニングはしていないのよね? 心当たりもない?」
「もちろんっすよ! テスト中には疑われそうなことをしないように、心がけていますし……」
「そのテストの内容はどんなものだったの?」
「至って普通の、記号選択問題っす。10問程度あったと思います」
「ふむふむ……ありがと、なるほどねー」
優しくそう言ってから、秋音はテクテク歩き回りながら考え込む。
「……冬希は、馬鹿だけど頭いいから」
ふと、夏葉が呟いた。
「疑っちゃうの、分かる。ただの馬鹿に、馬鹿な方法で手を貸しそうだから」
その言葉を聞いた秋音は、ふふっと微笑む。
「……ん? オレ今褒められたの? 貶されたの?」
「要するに先輩は馬鹿ってことですよ」
「そんな直球に貶されてたの!?」
「うん」「はい」
「夏葉だけは頷かないで!!」
いつもの調子に戻った冬希に、秋音は内心で安堵する。
「静かにね、3人共。__それから安心して冬希くん、誤解は解いてみせるから」