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病院の夕日1
いろは
私、倉木由理。桜坂中学の2年生だよ。両親は、この県で1番大きい「天城医療センター」で働いているんだ。お母さんは、小児病棟にいて、お父さんは、外科医なんだけど、勉強もできて、すごく尊敬してるんだ。いつも余裕がないのに、笑顔でいてくれて、勉強も教えてくれて自慢の両親!!
お母さんたちが、とっても仲がいいのは、桜坂中学3年生の神宮寺玲緒くん。いつも周りから黄色い歓声を浴びてて、めっちゃ眩しい。その玲緒くんの両親も天城医療センターにいて、いっしょに玲緒くんと医療センターに行くことがほとんど。だけど、それがバレたらどうなるかわからないから、みんなが帰った後に裏門で待ち合わせて、一緒に行ってるんだ。15分ぐらい2人で歩く時間が楽しい。
そんなことを考えていると、
「今日も一緒に行こうか。」あっ。玲緒くんだ。「うん、毎日ごめんね」「ううん、由理といて楽しいから」そう言ってくれる玲緒くんが大好きだ。いつも、病院の医師たちがいる事務室みたいなところで宿題をしたりして待たせてもらって、17:00になったら、小児病棟に見回りに行く。お母さんと玲緒くんのお父さんがいるんだ。
私たちのことを覚えてくれる子もいて、嬉しい。
エレベーターで移動する。7階のボタンを押そうとしたら、玲緒くんと手が被ってしまった。
「あっ、、、」
「ふふっ」
「ドキっ」心の中で❤️マークが出たような気がする。
そして、7階に着いた。最初は手前の「さらちゃん」だ。白血病を患っていて、私のお母さんの患者さんだ。ニット帽を被っていて、とても可愛い。
「失礼します。」私はそう言って、ドアを開ける。お母さんたちが治療してるかもしれないので、そうっと入る。
「ぎゃーあーあーん」大泣きしてる声だ。
「あー!!!」「ゆりたん!!とれおくん!!!」お母さんも気づいたみたいで、「さら、おかえり」、「れおくんも」「お母さん、ただいま」玲緒くんが、照れくさそうに「はい、ただいまです。」
と言った。「あっ。ちょうどいいとこにいたわ、ちょっと抑えててくれる?」お母さんがさらちゃんの腕を指して言う。あー。なるほどね。採血なわけだ。私たちは、医師免許を取得しているのでできないことはないが、学校で秘密にしていて、最近やってなかったので不安だがやってみようと言うことで「やろうか」、と2人で頷いた。私たち医師も無理に泣かせたいわけじゃない。
「じゃあ、お母さんは背中をトントンしてあげて。」私は、的確に指示を出していく。「玲緒くんは、腕を押さえといて。」「了解。」「私は針を刺す。」
「でも、私たち着替えてないから、着替えてくるね。」と言うと、「はーい」と帰ってきた。
エレベーターで玲緒くんと「久しぶりだね。治療するの」と話していた。一階に降りたら、スタッフOnlyのところを開けて、更衣室で着替える。「倉木由理」と書かれてあるネームプレートを治療中にして、颯爽と玲緒くんと病室に戻る。その間に七海先生(この病院の院長先生だよ!)が、「由理じゃん!久しぶり!頑張ってね」と声をかけてくれたような気がしたが、気にすることなく進んだ。
着いたら、「針は?どこ?、さらちゃんの好きなぬいぐるみは?」とお母さんを質問攻めにしてると、玲緒くんに、「由理、落ち着け。」と、注意されてしまった。だけど、お母さんは、「針はその台の上にある。ぬいぐるみは、枕元。」その情報を整理してさらちゃんに声をかける。「今から、ちっくんするけどぬいぐるみはお膝の上に置いてていい。わかった?」というと、こくん、と頷いてくれた。
「5秒だけ痛いよ。痛かったら泣いてもいいけど、何も変わらないよ。」と言うと、玲緒くんに「由理は有無を言わせない言い方だよな」、と言われた。
それはともかく、「じゃあ、がんばろか。おてて出して。」そういうと、右手を隠した。あんまりやりたくはないと思うけど、玲緒くんが力づくでさらちゃんの右手をだした。玲緒くんの力に反抗できず、諦めたように出した。「5秒だけだよ。息吸ってー」「はいてー」はいたしゅんかんに針を刺す。「せーの、いーち、「あーんぎゃーぎゃー」にーい、さーん、よーん、ごー」さらちゃんの泣き声は止まらない。これまでたくさんの治療を頑張ってきたんだから、しんどい思いをしているんだな、と思う。「お母さんは、カルテに検査結果を載せといて。」「玲緒くんは、着替えてきていいよ」「私は、さらちゃんのそばにいるから」2人とも何か察したようで、すぐに消えていった。「ごめんね、痛かったね、」と言うと、「うわーん、あーっ、あーぎゃー」と泣き出した。そうして、背中をさすっていたら、ベッドの上ですやすや眠ってしまった。