公開中
参
私が自分の部屋の掃除をしていると、かなめお兄ちゃんが呼びにきた。
かなめ「みつば、しのが帰ってきたよ」
私「ほんと!?」
私は部屋を飛び出し、階段を駆け下りたんだ。
しの「ただいま〜」
私「しの〜!」
しの「え、みつばちゃん?うわっ!?」
私はしのに飛びついた。久しぶりに感じるしのの温もりが、ささくれた私の心を癒してくれた気がした。
しの「みつばちゃん・・・。帰ってきたんだね!おかえり!」
みやび「みつばちゃん!?え、夢!?」
リネ「みっちゃん!元気そうだね!」
しのの後ろには、私の幼馴染のみやびとリネもいた。
うるみや「しのおかえり〜。今日、みつばが帰ってきたんよ」
しゃるろ「おかえりパーティーするからね。手洗ってきて」
しばらくして、ある兄、ゆら、花音、音実、チサキも帰ってきて、私のおかえりパーティーが始まった。
私「ん〜!やっぱりお兄ちゃんのカレーおいひい!」
かなめ「みつばはこれ好きだったもんね」
かなめお兄ちゃんは、私の好物だったカレーを作ってくれた。
しばらくお兄ちゃん達の料理を堪能していると、しのが真っ赤な顔で、もじもじしながら近寄ってきた。
どうしたんだろ。
私「しの、どうしたの?」
しの「あの、えーと・・・」
お兄ちゃん達はニヤニヤしながら見てる。何が始まるの?
しの「あの、ね。僕、みつばちゃんのこと・・・5年前からずっと好きで」
私「ふえ?」
いきなりすぎて変な声が出てしまった。告白は予想外だって・・・。
しの「僕、頼りないし、みつばちゃんを守れないかもしれない。でもね、みつばちゃんを愛する気持ちは本物なんだよ」
私「・・・」
しの「僕と婚約、してください・・・っ!」
正直、婚約破棄されたばかりで、また裏切られるかもしれない・・・とは思った。でもそれは一瞬だけで、しのの一途な性格は、10年前からずっと一緒にいる私がよく知っている。1ミリも迷わなかった。
私「うん。よろこんで」
しのが差し出した手を、私は掴んだ。私も、しののことは気になっていた。こえくんと婚約した時も、しののことが頭から離れなかった。
しばらく無言の時間が過ぎる。気がつくと、私はしのに抱きしめられていた。お兄ちゃん達は何も言わず、拍手で祝福してくれた。
ちょっと気恥ずかしくて、とっても幸せな、夢みたいな時間でした。
音の国
みつばが音の国を出て行ってしまった。
書類整理をしていたりうら、こったろ、すちは、それを重く受け止めていた。実は、みつばは全ての書類のうち、半分近い書類をまとめて書き上げられるほど有能で、3人も音の国ではかなり頭が良かったが、みつばの成績はいつもトップクラス。3人はみつばを尊敬し、慕い、共に協力し合っていた。
りうら「俺、音の国を出て行こうと思う」
りうらがぽつりと告げると、すちとこったろもうなずいた。ゆいも涙ぐみながら首を縦に振る。
あのあと、ないこ達は今回は勘違いだったと認めたものの、りうら達3人以外の幹部は、皇賀姉妹から有る事無い事吹聴されており、謝罪もしなかった。りうら、こったろ、すちも色々言われてはいたが、相手にしていない。そのため、彼らの行動に嫌気がさしたのだ。
ゆい「みつば姉さん、時の国のかなめさんっていう幹部の妹なんだって」
すち「ならみつばちゃん、きっと実家に帰ってるよね」
こったろ「明日の朝早く、ここを出て行こうか」
りうら、こったろ、すち、ゆいは、それぞれ荷物をまとめ始めた。