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「…橋本です」
そう言うと、受付のお兄さんは名簿から私の名前を探す。
「橋本…。橋本恋さん?名前、可愛いね」
「…」
これだからこういう場所は嫌いだ。わざわざフルネームで言う必要も、珍しい名前だからって「可愛い」という必要もない。私はこの名前好きじゃないし。
私がブツブツと頭の中で文句を言っている間にも、お兄さんの話は続く。
「はい。これ、1週間分のスケジュール。101号室は、そこの角を曲がったところにいる人に連れて行ってもらってね」
これ以上言葉を発する気分にもならなかったので、コクリと頷く。
101号室に向かうため、角を曲がったところにいる人の視界に入る。
そうすると、
「ん?どうしたの?」と声をかけてくれた。
だから、
「あの…101号室に、行きたいんですけど…」と、長年の経験で習得した、声は小さいけど聞き取りやすい話し方で話す。
「101号室ね。こっち、ついてきて」
この人は無駄なことを話そうとしてこなくて、楽だな。なんて、考えていると、一番奥の101号室に着いたらしい。
「はい、ここよ。これで全員そろったわね」
そう言われ中をのぞくと、私より先に来たであろう二人が荷物の整理をしていた。
よりによって最後かよ…。まだ2人の関係性が出来上がってないといいけど。
「ここでのルールは来る前に読んできてくれたと思うけど、実はもう1つルールがあります!それは、同室の人にあだ名を付けてもらって、その呼び名で1週間を過ごす、ということです。ちょうど1時間後の12時には広場に集まってもらうから。それまでに決めておいてね」
……え、じゃあ苗字だけで行きていこうという私の作戦は失敗に終わることに…。自分から好きでもない、もはや嫌いな名前を言わないといけないの!?
絶対、「恋?可愛いー!じゃあ、そのままでいっかw」な展開じゃん!
私の林間学校生活、着いてまだ10分弱にして、お先真っっっ暗でございます…
ちなみに言うと、恋の小声ハキハキ喋りは自称なので、ボソボソに等しいです!笑
ルビの振り方がわかんない…
誰か教えてください…!