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m o m i z i ~あの日見た景色~
この小説は元垢の自信作を移行しました。
主な登場人物
萩原もみじ
秋山健
もともと自主企画用に書きましたが自主企画がもう終わっているという…
「もみじ、綺麗だなぁ」
私はみんなとはぐれてしまい、一人で観賞していると、男の人に話しかけられた。
「あの…」
「はい、」
「ここまでの道のりを教えてくれませんか?」
「あっ…えーっと…」
「あの、もしかして一人ですか?」
「はい。」
「じゃあ、一緒に見ませんか?僕だけだとはぐれてしまいそうですし。」
「あっ、ありがとうございます。」
そうして二人で見た景色は、綺麗だった。
自由気ままに飛んでゆく赤とんぼ、好奇心旺盛な生き生きとしている紅葉、そして…
そこで一番目立っている…
---もみじ---
---
「来年もまた、『もみじ』見に行こうな。」
「うん。」
「約束だぞ」
「うん。」
二人で歩く帰り道。
どうやらいつめんは先に帰ってしまったようだ。
「今度は…どこへ行こうか…」
「ショッピング?」
「あぁ、いいさ。」
ー次は、浜松。ホームドアに、ご注意ください。出口は、右側…
「ごめん、降りる。」
「あっ、うん。」
「次の土曜日、大町ショッピングモールで、10時!」
「わかった~~!!」
ドアが閉じていく。彼は電車が動き出すまで手を振っていた。
次第に彼は遠くなってゆく。
私も見えなくなるまで手を振った。
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次の土曜日、彼は来なかった。
その次の土曜日も、来なかった。
その次の年の秋にも、彼は来なかった。
そしていつの間にか私は彼のことを忘れていた。
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10年後、大人になった私は紅葉を見に行った。
私は写真家で、この紅葉の写真を撮りたかったからだ。
カメラを構えたら、後ろで誰かにぶつかってしまった。
私はそのはずみでシャッターを押した。
そこには…健がいた。
私は行ってしまう健を追いかける。
「健!」
彼は振り向いた。
「もしかして、もみじちゃん…?」
私はこくりとうなずいた。
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3年後、私は子供を持っていた。
名前は、あの紅葉がある晴海植物公園からとって、晴海。
私は、幸せな家庭を持っている。
秋山もみじという名をもって