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透き通る風。
⚠人によってはBL判定されるかもしれない程度の微BL入ります
墓地のすぐ近くにある、小さな公園__そこが僕らの集合場所だった。
朝の空気は冷たく澄み渡り、
夜のあいだに舞い落ちた木の葉が、静かに土を包み込んでいた。
彰)「おはよ、澄羽。今日も早いな。」
澄羽)「おはよう、彰。彰も早起きしてみたら?」
何気ない日常が、こんなにも特別で――
僕らはただ、笑い合っていた。
彰)「なあ、澄羽――」
澄羽)「ん?」
いつもと違う重たい空気。
胸の奥がざわつく。
何かが終わろうとしている――風が、そう告げているようだった。
彰)「お前……______?」
澄羽)「……どこから気づいてた?」
嫌な予感は、やはり的中してしまった。
彰)「……去年の夏頃から、気づいてた。
でも、知らないふりしてたんだ、もう少しだけ、お前といたくて。」
少し間を置いて、彼は目を伏せた。
彰)「……だけどさ。そろそろ、"終わりにしようぜ"。」
震える声に、彼の優しさが滲んでいた。
分かってる。僕のためなんだって。
だけど、本当に僕と一緒にいたいと願ってくれていたなら――
澄羽)「……彰にだけは、そんなこと言われたくなかったよ。」
風が止まり、空気が少しだけ重くなった。
今の僕は、どんな顔をしているんだろう。
うまく笑えているといいな…。
彰)「……ごめん。」
澄羽)「……」
彼は真っ直ぐに僕を見つめ、
ただ、一言、それだけを告げた。
その瞳が、今まででいちばん眩しかった。
澄羽)「……大丈夫。謝らないで。いつか、こうなる日が来るって、わかってたから。」
遠くの緑が、やけに美しく見える。
頬をかすめる冷たい風が、僕の心をゆっくり揺らしていく。
その風が、僕らの"時間"ごと連れていってしまいそうで、少しだけ怖かった。
澄羽)「……」
もう涙なんて、枯れてしまったと思っていたのに――
ふと、あの時の声が、胸の奥で響いた。
_______回想_________
彰)「……お前、死んでんだろ?」
――――――
「"終わりにしようぜ"」
__________________
もう、ずっと気づいてたんだ。
僕が、"幽霊"だってこと――。
彼に気づかれるまで――それが"約束"だったのに。
それでも僕は……
澄羽)「……彰と一緒にいられて、楽しかった。じゃあ。」
ふいにこぼれた笑いは、どこか乾いていたけれど、
それはたしかに、心からの笑顔だった。
澄羽)(彰、変わらずここで、待っていてほしい。
再会の"奇跡"を、信じて。)
彰)「……ああ、"また"会おうな。」
澄羽)「……」
ばいばい。またね。
そんな想いを込めて、最後に笑った。
風の音が、僕の輪郭を少しずつ溶かしていく。
彰の姿だけが、最後まで鮮やかに残っていた。
風が僕の背中をそっと押す。
もう、時間だ。
……神様。
"最後の"お願いです。
どうか__彼と、"また"会わせてください。
数年後___
?)「すいません、ちょっと、よろしいですか?」
彰「あ、はい……」
彰「……嘘、だろ……?」
息を呑んだまま、声にならない彼の目の前に、
そっと立っていたのは、
忘れるはずのない、あの顔だった――
澄羽「…彰。」
澄羽は、ほんの少し首を傾けて笑った。
春の光がその髪を透かし、風が二人の間をやさしく抜けていく。
彰の目に、涙が滲んだ。
澄羽「嘘じゃないよ。」
春の陽ざしが、やわらかく彼の肩を照らす。
光と風が溶け合い、世界が少しずつ色を取り戻していった。
そして__あの日と同じ風の匂いがした。
澄羽「"ただいま"、彰。」
彰「"おかえり"、澄羽。」
「ずっと、ずっと待ってたよ。」
ようやく交わされたその言葉が、
今度こそ、本当の"はじまり"になる。
二人の心は再びひとつになる。
春の風が、二人の笑顔を乗せて、遠くへと吹き抜けていった――
神様、ありがとう。
彼に"また"出会える奇跡を、ありがとう。
―――僕、ちゃんと、心から笑えてます。
透き通る風が、頬を撫でていった。
――END――
華恋_karen
風は再び、僕らを一つにした。
――透き通る風が、今日もどこかでふたりを包んでいる