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悪魔の囁き
私はどこにでもいる会社員。名を春という。
多忙な1日を繰り返し、休む間も無い日々を過ごしている。
そんな私の唯一の楽しみはー
ピンポーン
「はーい」
玄関のドアを開けると、そこには彼ー暁斗がいる。
彼は理想の男性だ。
背は高く、顔も良く、勤め先は一流企業。毎回のデートや会話も新鮮で、私の癒やしだ。
「春さん。こんばんは。」
「どうぞ、上がって。」
彼はお邪魔します。と言って靴を揃えた。
彼の振る舞いは紳士的で、スマートだ。
「どうぞ。お土産のワインだ。」
彼は私の好みの高級ワインを持参していて、2人で乾杯をした。
「春さん。俺達そろそろ…」
彼が言葉を濁す。その顔はこころなしか赤い。
「そうね。そろそろ…」
「終わりにしましょうか。」
私はニヤリと笑いかける。
「あーあ。気に入ってたけど、飽きてきたわ。」
顔を引きつらせる彼に向かって手を伸ばす。
彼は腰を抜かしていて、今にも泣きそうな顔をしていた。
「いいわねぇ。その顔、もっと見せてよ。」
人の恐怖や悲しみは、何にもまさるごちそう。
私達悪魔にとっては、ね。