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番外編 二泊三日の家族旅行
Makoさんの自主企画エントリー用の「愛を知らない私には」番外編です!
杏ちゃんはじめての家族旅行を描きました!
一応軽い紹介はつけておきました!
「わあ!海っ!海ですよ!皆さんっ!」
私、睦月杏は只今生まれて初めての家族旅行で海を見ています!
(海って本当にあるんだ……!施設では近所の公園と小学校ぐらいしか外出できなかったから初めて見た……)
私は、小さいときに虐待を受けていてずっと施設暮らしだった。
でも17歳になる今年、お母さんとお父さんの昔のお友だちの夫婦・幸川家に引き取られてどんどん普通の高校生の暮らしになっていってる。
今日は奥さんの提案で海辺の地域に家族旅行に来てるんだ!
「杏ちゃん、丸2日あるんだから初日の午前中からそんなにはしゃいじゃ疲れちゃうよ?」
そう低いけど優しい声色で声をかけてくれたのは幸川家の長男である幸川優斗さん。温厚でめったに怒らなくて高校の生徒会長も務めている凄い人。
「杏、お前家族旅行初めてなんだって?俺が色々教えてやるよ!」
そう少年のようなハスキーボイスで言っているのは幸川家の次男である幸川悠斗さん。私と同い年とは思えない、頼れるお兄さん感があふれでている。
「下僕、早く水着きてきて。早くしないと夜になる。」
そう私を下僕扱いしているのは幸川家の末っ子である幸川蓮斗くん。初めてあったときから私を下僕扱いしていて、いつも下僕のような暮らしていた私にはありがたい。
(って、早くしないと……!更衣室で着替えてこよう……!)
そう思った私は駈け足で更衣室へ向かった。
(ちょっとこれ可愛すぎないかな……?)
更衣室で着替えを済ませた私はみんなのもとへ向かいながらそう思っていた。
「杏ちゃん、水着買っといたよ!」とさっき奥さんに渡された水着。
問題なのはこの水着のデザイン。
白いタンクトップに明るい黄色の巻きスカート、透け感のある黒いラッシュガード。
(わ、私スクール水着しか着たことないのに……こんなおしゃれなの着こなせるわけないよ……)
肩をすぼめて歩いていると遠くから「おーい」と悠斗さんの声が聞こえる。
(ええい、奥さんの選んでくれたものだもん!もういいや!)
そう思って皆さんのもとへ駆け出した。
「お待たせしました!海の中入ってみたいです……!」
(海で泳ぐの憧れだったんだよなぁ……)
そんなことを思って皆さんの方を見ると、
「杏ちゃん、ちょっと似合いすぎじゃ……
……母さんわざとだな……」
そう向こうでパラソルのしたにいる奥さんを睨む優斗さん。
「ちょっ……そんな……か、かわっ……反則だ……」
顔を真っ赤にして挙動不審な悠斗さん。
「下僕、早く泳ごう。……これ羽織って。」
謎に自分のパーカーを私に羽織らせる蓮斗くん。
「皆さんどうしたんですか……?」
(あっ、やっぱり水着似合ってないのかな……?皆さんいい人だから私が服に着られてると思って笑いをこらえてくださってる……?)
「ごめんなさい、やっぱり水着似合ってませんよね……ごめんなさい私なんかがこんなおしゃれなの着て……」
「すぐ着替えてきますね……!!」
そう言って、更衣室に戻ろうとした瞬間、
ガシッ、
悠斗さんがまたもや私の腕を掴んでいた。
(ひ、ひゃあ!腕つかまれてる……殴られる……)
「やっ、やめっ……殴らな……」
「似合ってるよ!!!似合いすぎて困ってんだよ!多分、蓮斗も優斗兄も思ってる!!」
そう、悠斗さんが叫んだ。
(似合ってる……?本当に……?
……とりあえず腕放してっ……!)
「だからそのすぐ掴む癖ほんとにやめなって、悠斗。杏ちゃんには特に。」
そう言って悠斗さんの手を私の腕から放してくれる優斗さん。
(こ、怖かった……毎回ありがとう、優斗さん……)
「でもね杏ちゃん、君にその水着が似合っているのは事実だよ。……ちょっと似合いすぎてびっくりしちゃったんだ。」
また似合ってると言ってくれる優斗さん。
「……っ!僕は言わないからなっ!下僕、海入るぞ……!!」
そう言って私が怖がらないようにラッシュガードの袖を掴んで私を海へと誘導してくれる蓮斗くん。
(みんな、優しいなっ……!お世辞がこんなにうまいなんて……)
この時パラソルの下にいた屋さんと主人さんが
「やっぱりあの水着杏ちゃんに似合ってる……!
優ちゃんたちも可愛すぎて固まってたわね……」
「義父としては可愛すぎてナンパの餌食にされないか心配で若干複雑だけどね。」
なんて話をしていたことを知るはずもなく私は初めての海で夜まで遊び尽くした。
夜になり主人さんが予約してくれたホテルに移動する。
そして私はとてつもなく広いロビーの真ん中ではしゃいでいた。
(わあっきれいなホテルだ!!!私、ホテルというか、お止まりなんて初めて……)
一人でワクワクしていると「杏、おいてくぞ」と悠斗さんにガチめの声で言われたのでそそくさとついていく。
「さあどうぞ。ここが杏ちゃんと僕らの部屋だよ」
主人さんが部屋のドアを開けてくれたのでそーっと中へはいる。
「……わ、わぁぁぁぁ!すごい!綺麗!!」
視界に広がるのは三つならんで置かれたふかふかの真っ白いベットと、並べなれたソファとローテーブル。普通の人が見たら普通の部屋なんだろうけど、私にとってはお城の中の一部屋のように思えた。
テンションが上がる私に幸川夫婦は微笑んでくれている。
(やっぱり、優しいな……)
部屋のシャワーを浴びて一日の汗と疲れを流す。
「ふあぁ……」
(眠い……まだ9:00なのに……)
そんなことを思いながら部屋のテレビを見ているととなりの部屋で眠る予定の三兄弟がやってきた。
「杏ちゃん、ボードゲームしない?」
「杏、お前人生ゲームやったこと……」
(あれ?瞼がしまっていく……)
「下僕、何色の駒がいい?……って、寝てる。」
「はぁ?まじで?」
「ほんとだ……すやすやいってる。……本当に綺麗な顔してるよね……」
「あ、ああ!か、かわ、可愛いよなっ!」
「ちょっと、悠斗兄声大きい……!!!」
(あれ?ここは……?)
目を覚ました私は辺りを見回す。
(あっそっか、私旅行に……ってあれ?)
三兄弟さんたちが部屋にきてからの記憶が全くない。
(っ……!!嘘、私、寝ちゃってた?!)
あわてて飛び起きて時計を確認するともう7:30。
急いで顔を洗って着替えて準備をしているとき、机の上の書き置きが目に入る。
そこには奥さんの字でこう書いてあった。
父さんとふたりで観光に行って来ます!優ちゃんたちも寝てるだろうから起こして上げて!
優ちゃんにお小遣い渡してあるからそれで遊んできてね!
(う、嘘、幸川夫婦出掛けちゃったの……?)
というか、三兄弟さんたち起こさなきゃ!!
そう思ってとなりの部屋のドアを開ける。
「お、おはようございます……」
するとそこには川の字になって眠っている三人の姿が……
(え、これどうやって起こしたらいいの……?)
とりあえず、一番寝起きのよさそうな優斗さんに近づく。
「あ、あのぅ……優斗さん……お、起きてください……」
ゆさゆさと優斗さんのからだを揺らす。
「ん……朝っ……」
むくりと起き上がる優斗さん。するとこちらを見て目を見開く。
「あ、杏ちゃん!?どうしてここに!?」
少し顔を赤らめて目を見開く優斗さん。
「奥さんたち、観光に行っちゃったみたいで……優斗さんたち起こしてくれって書き置きが……」
私が事情を説明すると「あぁ……そういうこと……」と息つく優斗さん。
「杏ちゃん、あとは僕が何とかするから部屋でしたくしてきて……」
優斗さんがそう言ってくれたので私は部屋に戻った。
部屋で洋服に着替えた私は鏡とにらめっこをしていた。
(今日の服も気合いが入ってる……奥さん、これは私には可愛すぎるよ……)
今日の服はくすみピンクのミニ丈ワンピース。ウエストがきゅっと細くなっていてそでがふくらんでいるデザイン。
少しレトロなワンピースって感じ。
(はぁ……また三兄弟さんにお世辞言わせちゃうな……)
後ろめたく思いながら私は三兄弟さんたちの部屋に向かった。
「失礼します……っ!!!すみませんっ!!!」