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東方霊魂墓3
「どうぞ、お入りください」
緊張しているのが自分でもわかる。ピンク色の髪を持つ彼女は、暗めの印象。わたしたちと気が合うのかなあ、なんて思う。
「斎藤空さんと、極光闇さんですね。わたしは古明地さとりです。なんで名前を、ですか。わたしはこころを読む程度の能力を持つ、さとりと呼ばれる妖怪です。この第三の目で、あなたたちの心を読みます。先程、お燐が案内をしてくれたようですね。要件もわかっています。話が省けていいでしょう?そうですよね」
怖いなぁ、と思う。この人に隠し事は一切できないのだ。
「はい。包み隠さず、わたしは全てを知ることができます。それは素晴らしいことでもあり、残酷なことでもあるのですよ。そうですね、話がそれました。異変のことでしたね。
奇妙な異変は、霊佳という妖怪のせいだというね…なるほど。何故かわからない様子ですね。わたしはあまり関わったことはないのですが、こいしは関わったことがたくさんあるみたいです。こいしとは誰、ですね。わたしの妹です。こいしは第三の目を閉じて、心を閉ざしてしまいました。無意識を操る程度の能力で、今は誰からも認知していません。ですが、霊佳さん、という人は知っているみたいですね。彼女はこいしの魂を認知しているから、関わりがあるみたいです。そこで、姉であるわたしのもとへ訪ねた、ということですか…。
残念ながら、姉であるわたしすらも認知できない存在なのです。申し訳ありません、お役に立てなくて。どうしましょうか」
彼女は心を読み取り、一瞬の隙もなく話す。
「こんにちは」
「あ、こんにちは」
知らない人が、さとりさんに話しかける。いつから来ているのか、わからない。
「失礼しましたわ。わたしは幻夢。幻を操る程度の能力を持つ、妖怪以上神以下…といったところですわ。どうぞ、よろしく」
「あ、こんにちは…」
近づきがたい雰囲気を持つ彼女は、さとりさんと合いそうだった。
「さとりさんの話は聞きました。妹のこいしさんは、幻そのもの。わたしが手伝って差し上げましょうか。わたしすらも、幻そのものですしね」
「本当ですか。ありがとうございます」
ふふふ、と優雅に、上品に笑う幻夢さん。
「あの…こいしさんはどうなるの」
「空さん、でしたわね。そうですね…幻と同じこいしさんを、呼び寄せてみましょう。そして、一時的に幻じゃなくします。話をいろいろと聞いてみませんか」
「そうですね、ありがとうございます」
へえ、という声を心の中でもらす。これで、こいしさんを助け、この異変に終止符を打つのだ。