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雪女とお参りに
「破滅している、ということかしら。」
雪菜といっしょに歩いていると、雪菜がつぶやいた。
「うん、あの隕石のせいで。」
「でも、こんな被害になるかしら。ひょっとしたら、たくさんの小さな隕石が組み合わさってひとつの隕石に見えたのかもしれないわね。」
灰色の地を眺める。虚しさだけがこみ上げてきて、こんなんだったら死にたかったと思う。
「…あら?」
「何?」
「あそこ、壊れていないわ。ほら、神社のところ。」
「|小町神社?《こまちじんじゃ》」
「そうなのね。」
赤い鳥居が、何一つ壊れていない、綺麗なままだ。
「お参りしていきましょうか。」
「うん。」
お賽銭も入れて、立ち去ろうとしたその時。
「待て!」
凛とした声がわたしたちめがけて飛んでくる。
「何?わたしは忙しいの…え?」
「おぬしは、生きておるのか?」
「わたしは雪女と幽霊のハーフ。あなたは?」
「??」
「ゆ、雪菜、ややこしくなるから!」
駆け寄ってきた人は、巫女さんみたいだった。
「雪菜というのだな。ふむ、そちらは?」
独特な喋り方の巫女だ。
「るめです。しがない参拝客ですが。あなたは?」
「我はおぬしに名乗るほどの者ではおらぬ。雪菜、といったな。なかなか興味深いな、雪女と幽霊のハーフとは。神も興味深いと言っておる。」
「は?」
何言ってるんだか。
「我はこの小町神社でまつられている神の声を聞くことができる力を持つ。神の化身、とでも言うのかもしれぬな。」
「ふうん。」
雪菜はつまらなそうに言った。
「まあ、はじめての人間よ。いいじゃないかしら、これで何者かの正体が見えるのかもしれないんだもの。」
「たしかに。」
「おぬし、なかなか頭が回るのう。」
「鼻につく態度ねえ。」
わたしはそう思いながら、静かにお参りを終えた。
こんにちは、むらさきざくらです💜🌸
今回は新キャラの登場!イェーイ。
ちなみにわたしの誕生日は今日です!