公開中
〖ようこそ、アットホームな職場へ〗
自主企画は開催中ですが、雰囲気だけでもと思いまして。
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〖労働〗
それは、人間が自然に働きかけて、生活手段や生産手段などをつくり出す活動のこと。
つまり、寿命、体力、気力の無駄消費をして金という報酬を得る行動のこと。
そんな地獄のようなことをサービス業という形で行っている我々は...
#労働に対する暴言#である。
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「|Stupid! Garbage! Shit! Oh, God, no!《バカ!ゴミ!クソ!もう、やだ!》」
「やかましい!」
時刻は午前3時。本店の開店から約六時間前、三人の店員が小さなテーブルを囲う形で立っている。
その中の黒髪に赤い瞳の18歳くらいの男性は|橘一護《たちばないちご》。本作の|主人公《被害者》である。
そこから右の白髪に染めた凛々しい顔の男性は先程、英語で文句を言った人物で、|空知翔《そらちしょう》。
更に右の黒い長髪の男性は「やかましい!」と制したバイトリーダー兼、店長の|柳田善《やなぎだぜん》。
その三人が囲むテーブルに置かれた柳田の携帯にはある人物の名前がある。
|上原慶一《うえはらけいいち》。バイトやパートから言わせれば、金の亡者のマネージャー。
〖お客様第一、お客様は神様〗といった古臭い考えをしている(一護曰く、頭クソ硬ジジイマネージャーと述べている)。
その人物との会話には、『今日から全商品50%引きセールですね!補充をしっかり入れて、お客様に満足いただけるようサービスを頑張りましょう!』と記載されていた。
「...あの、バイトリーダー......」
「言わないで、一護君。言いたいこと、分かるよ」
「|Do you really know?《本当に分かるんですか?》」
「|Naturalmente!《もちろん!》」
英語をイタリア語で返す柳田。あ~、これはダメだ、今日は何が何でも休もう...と考えた空知を見透かしたかのように柳田が空知を睨む。貴重な戦力を失うわけにはいかないのだ。
「...さて、仕事しようか?」
「僕、アルバイトォ......」
「アルバイトでも働いてもらうんで...」
「僕、アルバイトォ......」
「だから、アルバイトでも働いてもらうんだってば」
「バイトリーダー、多分空知先輩、溶けかかってます」
「なら、冷蔵庫にでもぶち込んで冷やして。固形のままでも働けるでしょ」
そもそも人間そのものが個体かつ物体です...後、比喩表現です...、なんてツッコミを呑み込んで「そうですね」と答える一護。
そんな頼りない主人公を横目に柳田は説明をしていく。空知は放置で。
「じゃ、一護君。復習しよう。この店の目的は?」
「えっ...客を殴る?」
「よくできました!...じゃないんだよ。僕もそうしたいけどさぁ...。
正解はとにかくサービスをする!これだよ。お客様はサービスに飢えてるわけ。挨拶だったりご飯だったり...その過程で、|接客《バトル》をする。分かるね?」
「分かりました!つまり、客を殴るってことですね!」
「ねぇ、君どんだけ殴りたいの?そもそも殴れないと思うよ?」
「そうなんですか?」
「うん。例えば、消費者...お客様は能力を持ってるんだよ。様々な物体を爆発させたり、瞬時に傷を癒したり...とにかくチート!」
「ヤバい?」
「もう激ヤバ」
どこかの若者のような会話をしながら、説明は続く。
「だから、接客って言ってるけど、ただの迷惑クレーマーとかカスハラの奴の成り果てみたいな人外チート能力盛り盛り丼☆みたいな|お客様《化け物》の駆除みたいなもん。それで、お金は行政からガッポガッポ貰える。そりゃあ、守銭奴がマネージャーになるよね」
「...要は、サービス業施設の通常業務をしながら、化け物と闘えば良いと?」
「そういうこと。でも気をつけてね、そのバイト時の支給服。
高性能だし、どんな衝撃も吸収して安全だとは言え、たまに服を溶かすとかそんなのがいるらしいから...戦場で油断はするなよ、ってこと」
「はぁ、なるほど。それで防御面は安全だとして、攻撃はどうするんですか?」
「う~ん...それが、人によるんだよね。銃器だの剣だの...まぁ、正直これは重要じゃなくて、戦闘時には機転が大事。消費者の能力を分析して、弱点を探る。その探った弱点に合わせた攻撃を仕掛ける...常に冷静に物事を捉えろってことね」
「なるほど、なるほど...倒した後の消費者はどうなるんです?」
「その能力を解析して、データを取ったら普通の一般人として世に放つか...」
「世に放つか?」
「...従業員として、働いてもらうだろうね」
「安全なんですか?」
「ちょっとやそっとじゃ崩れない建物だし、店員も身体能力が良いのばっかだし大丈夫だと思う。
それに、従業員化した消費者はその能力を保持した状態で働くことになるから案外便利だよ」
「了解です。開店するまでは通常業務ですか?」
「だねぇ...このまま、消費者が来なけりゃ楽なんだけど」
柳田がそう苦笑いをして、一護の手を引っ張る。
「じゃあ、業務内容を教えながらやるから、今日一日中、着いてきてよ」
「分かりました!じゃあ、」
元気よく話す二人。柳田が扉のノブに手をかけ、一護を促して部屋を出ていった。
もちろん、空知は放置で。
「無視しないで下さる???」
なんだ、起きてたのか。
「起きてますよ、ええ、起きてますとも」
そして、空知が起き上がる。
「ヤバい?激ヤバの会話から起きてたんですけどね」
じゃあ、起きろよ。
「説明の邪魔しちゃ悪いかなって...」
うわ~、顔が良くて気遣いできるけど弄られるタイプの残念なイケメンだ~。
「煽らないでくださいます?...主人公君、行っちゃったよ、どうするの?」
お前も起きて部屋から出てくか、そのまま寝させてるで終わるつもりだったんだよ。
「えぇ?雑!」
文句を言うな。起きたなら部屋から出て仕事しろ。
「えぇ~...だる~い」
今からでも遅くないから醜男って設定でも...。
「あ~!仕事します、仕事します、今すぐ取り掛からせていただきます」
空知は、急ぐようにして部屋から出ていく。その途中、テーブルの角に小指をぶつけたが、脅迫に勝る痛みはなかった。
そして、
従業員専用とかかれた部屋の扉を再度、開けて言った。
「ねぇ、シゴデキって設定も追加しといてよ!」
〖頭の悪い人には見えないあとがき〗
お読みいただき、有り難うございました。
次回ほどから自主企画のキャラクターの能力を反映できたらなと思います。
...あとがきの全文、見えましたよね?