公開中
2話 颯の恋愛相談
まえがき
こんにちは!coco☆bayです😊
君が織り成す延長戦、第2話となっています。
主には小園くん目線で描かれています。
「マジで言ってんの、それ」
夜の寮の談話室。軽くシャワーを浴びた後、中川颯は冷蔵庫から持ってきたアイスコーヒーを手に、小園健太の隣に座っていた。
「うん。僕……トバさんのこと、ずっと好きなんだ」
冷静に言ったつもりだった。けれど声の奥には、どうしようもない熱がにじんでいた。
小園は少しの間、黙っていた。
テレビでは誰も見ていないバラエティ番組が流れている。笑い声だけが、やけに遠く響いた。
「……トバさんって、戸柱さん? キャッチャーの?」
「うん」
「え、でも、だいぶ年上じゃん。俺らと10くらい違うよな?」
「わかってる。でも、関係ないんだよ、そういうの」
颯は少しだけ笑って、アイスコーヒーのフタを開けた。
「トバさんの声とか、背中とか、気づいたら追いかけてる。野球のこと以外で、あんなに誰かに憧れたの初めてで……最初は尊敬だけだったけど、たぶん、途中から違った」
「ふーん……」
小園は天井を見上げた。正直、戸惑っていた。というか、少しムカついていた自分に驚いていた。
——なんで、おれがこんなにモヤモヤしてんだよ。
恋愛相談って言うから、誰だよ相手、どうせ球場の売店の子とかだろと思ってた。そしたら出てきたのが戸柱さんで、しかも颯がこんな真面目な顔で悩んでて。
なんか、ムカつく。
「でも、言えないんだよね。言ったら関係終わっちゃいそうで」
「そっか」
小園は短く答えたあと、ペットボトルの水を飲んだ。喉が乾いてるわけでもなかったのに。
「健太はさ、誰かに片想いしたことある?」
「あるよ。……あったと思う。たぶん」
「そっか」
「……でも、今はないと思ってたけどな」
中川が「ん?」と首を傾げると、小園は視線を合わせず、苦笑いした。
「もう、そういう顔して相談すんなって」
「え?」
「なんでもない」
ソファのクッションがわずかに軋む。隣の距離は、たった数十センチ。でもその間に、何かが揺れた。
中川が戸柱に抱いている想い。
それを真剣に語る横顔を見てしまったから。
小園健太は、気づいてしまった。
——自分は今、颯のことが気になっている、と。
それが「好き」なのかどうかは、まだわからない。
でも確実に、自分の中で何かが変わってしまった。
「おれさ、颯のこと、もっとちゃんと見ようかなって思った」
「……え?」
「お前、真剣すぎて……ちょっと、ズルい」
そう言って立ち上がった小園は、ペットボトルをゴミ箱に放り投げ、背中を向けて笑った。
「じゃ、おやすみ」
「……おやすみ、健太」
颯はその背中を、戸柱とは違う意味で、見送った。
そして知らず知らずのうちに、また誰かの心を揺らしてしまっていることに、まだ気づいていなかった。
あとがき
どうでしたか?
小園くん、颯のこと気になりだしちゃいましたね〜🤭🤭🤭
これからどうなるのでしょうね?
読んでくださり、ありがとうございました!