公開中
伍
由佳視点
私は|兎山由佳《とやまゆか》。アニユニ所属のうさぎ獣人で、活動名は宇佐美。
今日はいんくの皆さんとコラボ配信をした。みかげも初夏も揚羽も楽しみにしていたらしい。
やったのは巨大な世界で初期リスバラバラマイクラ。揚羽は推しであるしゅうとくんと最初に合流できて、大はしゃぎしていた。
楽しい時間はあっという間に過ぎて、配信は終了。カメラが止まったことを確認して、あのことを話す時が来た。
ふうはや「今日はありがとうございました。それじゃ・・・」
由佳「待って!」
抜けようとするいんく4人を引き留め、私は揚羽達に声をかけた。
由佳「アゲハ、カナ、ういな。あのこと」
アゲハ「うん」
カナ「わかってる」
ういな「これはアゲハ、あんたから言いなよ」
アゲハ「そのつもり」
いんくの4人は混乱しているのか、誰も喋らない。
沈黙の中、揚羽は口を開いた。
アゲハ「私達・・・私とういなとカナと宇佐美は、『獣人』なんです」
胡桃視点
あたしは|有栖川胡桃《ありすがわくるみ》。人より背が小さいのがコンプレックスのリス獣人。
胡桃「秋夜ちゃーん」
秋夜「なーに?」
胡桃「あたし、なんだか嫌な予感がする」
秋夜「嫌な予感?なんで?」
胡桃「友達のロボロさんが、昨日家の窓が割られてたらしいの。で、家のポストに『隠すなら関係者全員命はない』って手紙が入ってたんだって」
秋夜「何それ⁉︎やば⁉︎」
胡桃「隠すって、多分あたし達のことだよね・・・。ロボロさん達があたし達獣人のこと知ってると思ってるんだ」
秋夜「もしかして、ドラゴンナイトがすぐそこにいるのかな・・・?」
もしそうだとしたらまずい。獣人のことを知ってるのは、グルッペンさんのみ。多分これからいんくの4人も増えるだろうけど。
それでロボロさん達がもし襲撃されたら・・・⁉︎
胡桃「どうしよう、大変なことになっちゃう!」
秋夜「どうにかできないの⁉︎舞音が死ぬのは嫌だよ!」
胡桃「そんなこと言われたって、本当かどうかわかんないよ!」
奈緒「何騒いでるの?」
あたし達の声を聞いて、白鳥社長が来た。あたしは社長にロボロさんのことを話した。
奈緒「なるほど・・・。本当なら大変なことが起こるわね」
胡桃「どうしますか?あたし達の秘密バラしますか?」
奈緒「そうするしかないかもしれないわ。でも、メンバー達の中にドラゴンナイトの人間がいる可能性も捨てきれないわよ?慎重にならないといけないわね」
秋夜「どうするの?私は舞音が生きてるならそれでいいんだけど・・・」
奈緒「そうね。一旦様子見するしかないわ」
白鳥社長の言いたいこともわからなくはない。一抹の不安を捨てきれないまま、あたしは納得するしかなかった。