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第一話:始まりの時間(タイム)
第一話目。
キーンコーンカーンコーン……。
最後の授業の終わりを告げるチャイムがなった。
クラスメイト「帰ろうぜ!帰ったらすぐ俺ん家集合な!」
クラスメイト「おう!」
遊ぶ約束をしたり、忙しそうに帰って行ったり、教室に残っていたりするクラスメイト。
俺、七瀬悠真はそんなみんなを教室から見ていた。
悠真「やっぱし楽じゃねーよな〜……。」
琴音「どうしたの?悠真!」
ぼーっとしていると、幼馴染である如月琴音が声をかけてきた。こいつとは生まれた病院も、幼稚園も小学校も全てのクラスずっと一緒。やけに強い運だな。と今でも思っている。
悠真「なんでもない。さて、帰るか……。」
俺は琴音を待たせるわけにはいかないので、荷物をまとめて教室を出た。
帰り道。
琴音「そういえばさ、悠真!もし私たちが戦闘組織のメンバーになっちゃったらどうする?バシッと敵を倒して、街のヒーローになっちゃうとか!」
悠真「なれるわけないだろ。そんなのアニメの中の話だろ?……でも、街のヒーローは悪くないかもな。」
俺は琴音の言ったことに少し呆れたが、『なってみたい』という気持ちは湧いていた。
琴音「……私ね、お金がもらえるならなんでもしたい。」
悠真「……え?どういうことだ?」
琴音は昔から優しい。だが、お金を目的に目をくらますようなやつではないことは、とっくの昔から理解していた。
琴音「実は私、お父さんと二人暮らしなの。でもお父さんは生まれつきの疾患で治療費がいるんだ。私は子供だから何にもできなくて。」
悠真「………。」
琴音は優しいな。優しすぎる。自分の父親のために精一杯頑張れる。大切な家族がいるっていいな……。
昔の悠真『痛い!痛いよ!!やめてよママ!!』
悠真の母『うっさいわねこのクソガキが!!』
昔の悠真『ごめ、なさ……ッ!』
悠真の母『謝れるくらいの体力があるならさっさと家事やりなさい!!』
昔の悠真『はい………。(泣)』
嫌な過去が頭の中に流れ込んできた。そうだ、俺の家は母子家庭。………でも、父さんが病気でいなくなってから母さんはおかしくなった。性格は荒くなり、酒に逃げるようになってしまったんだ。
琴音「……あ。」
琴音が何か思い出したかのように喋る口を止める。
悠真「どうしたんだ?」
琴音「そういえば悠真の家って、虐待家庭だったね、ごめんね。」
俺を気遣っていたのか。だが、虐待家庭だってあまり街中で話さないでほしい。周りの人からの視線が怖い。
悠真「琴音、少し声の音量を下げてくれないか。周りの人たちから心配の目が向けられてる。」
琴音「あっ………。ね、ねぇ悠真!私明日、悠真にすごい物用意しておくから!じゃあね!」
そう言って、琴音が去って行った。これ以上何か考えても仕方がないので、俺も真っ直ぐ家に帰り、酒で酔い潰れて寝ている母さんを起こさないようそっと自室に帰って鍵を閉めた。
悠真「はぁ……。父さん、俺は元気だよ。」
俺は自室の父さんの写真に笑って声をかける。すると、スマホがなった。
悠真「ん?メール?……なになに、『あなたは私立明水学園に入学することを認められました。今夜の夜0時ちょうど、三鶴の川に来てください。』……?」
俺はメールの内容に困惑した。俺が認められた?だが、私立明水学園なんて聞いたこともないし、この辺りにそんな学校はないはずだ。だが、三鶴の川はこの家から案外近い。母さんが酒屋に行った隙を狙って行ってみるか……。どうせイタズラなんだろうが、夜は何もやることはないしな。
悠真「さて、脱走の準備でもしておくか……。」
【夜】
深夜。時計の針が23時45分を指した時、こっそり俺は窓から降りて三鶴の川まで急いだ。
悠真「一応脱走は成功、と……。あとは警察に見つかって補導される前に、早めに行かないとな。」
俺は中学生。警察に見つかったら、絶対に家に帰らされる。
悠真「はぁ、はぁ……。」
俺は全速力で走って、三鶴の川まで辿り着いた。
そこに立っていたのは____
??「おや、本当に来たんだねぇ。いい子だ。」
………これが、俺の私立明水学園での生活の始まりであり、出会いであった……。
【第一話、これにて終了。】
……これで1話目は終了です!
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