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1.初めまして、我が対異形課に用でしょうか。
「あーあ、なんでこんなことに……。」
道路に立っている異形をちらり、と盗み見る。
首から下側は確かに人間ではあるが、そこから上側がひどい。
右目が異様に膨れ上がり、左目は黒い何かに飲み込まれていて見えない。口は頬が裂けそうなほどにつり上がっており、意識があるのかないのかはわからないが、パクパクと口を動かしていた。
こいつはなんの異形だろうか、目が飛び出していて…首から下に異常はなくて…
「ガ…ギョ、ギ、ギュアゥゥゥ!!」
その叫び声の瞬間、目の前の異形の全身が膨れ上がり、針が浮き出てくる。
間違いない、こいつは…
「よりにもよってフグの異形かよッッ、!」
やばい、しかもコイツ自分の能力を鍛えてやがった…、針が飛ぶなんて聞いてねぇしッ!!
『危ない。』
金属特有の音を鳴らしながら、フグの異形野郎の毒針を防いでいく。うちの先輩だ。
「くそー、やっぱかっけぇや。」
あ、皆さんどーも。|対異形課《たいいぎょうか》の、|澤口《さわぐち》|虎《とら》です。
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いやー、いきなり戦闘シーンをぶちこんでしまってすみません。ホントは先に説明したかったんですけど、異形が現れちゃって…って、異形ってなんのことかまだ教えてないか。
皆さんの世界の異形っていうのは、偏見ですが大抵頭がランタンだったり、薔薇だったり…みたいな感じじゃないですか。
うちの世界の異形は、そのモチーフの物体の能力、というか特性?てきなのを自由に引き出せます。で、それで戦えます。カッケー!!ってまぁ一旦思うじゃないですか。
ただし、めっちゃ知力とか低いです。いや、足し算とか割り算とか、そういうのはちゃんと出来るんです。喋れるし。
ただ、難しい話や、聞いてて眠くなるような長話なんてのは、もう聞く聞かない以前に"聞こえない"んです。
これがまず一つ目。
次に頭の回転がおっそいです。例えば、さっき足し算割り算は出来るって言ったでしょ?あれ、1+1とか小学1年生が楽勝レベルを解くのに42分程度は余裕でかかるんですよ。
2時間じゃないだけマシじゃん、とか考えてそこのあなた。
よーくよく考えてみてくださいよ、一問で、42分。
たったの小一が楽勝レベル問題を一問だけでほぼ1時間使う。めっちゃ恐ろしくありませんか?
これによって、異形はとにかく格下の存在とされています。社会的地位が圧倒的に低いんです。
まぁ、これくらいですかね、代表的な異形デメリットは。
ただ異形には"暴走期"なんて呼ばれる時期がありましてね。
まぁ人間で言うと"反抗期"とか、"思春期"とかの年齢によって一応不定期で来るものがあるんですけど。
だーいぶ街を壊しちゃったり、人を殺しちゃったりしちゃう異形の方が世間にはいるわけですよ。
Q.そんな人達をどうすればいいか?
A.自分達が命を格下にかける必要なんてないから、ここは同じ異形同士で対処してもらおう!
というわけで、警察署には対異形課というものが出来ました。
で、まずは俺を紹介しましょーう!
名前は|澤口 虎《さわぐち とら》といいます。最初の方でも名乗ったんですけどね。
俺の異形は名前の通り虎です。近接戦闘担当なので、遠距離攻撃に弱いですね。
で、最初の方でフグの異形の方の毒針を防いでくださったのが、盾の異形の、|粼 輝兎《せせらぎ てと》さん。
盾だから守りしかできないの?って思うとおもうんですけど全然本人は盾で殴ったりします。かなり痛いです。
俺は虎に変身できるんですけど、てとさんは身体から盾生やします。ちょっと怖いです。
名前のテトってかがやくうさぎって書くのに本人は全く関係ない盾の異形なのちょっとウケますよね、って話を本人の前でしたらどつかれたので要注意です。
ちなみに銀髪です。サラサラキラキラの。ハーツツイン?っていう髪形らしいです。
俺は茶髪です。ベリーショートです。よく死んだ魚の目によく似てるって言われます。
皆さん、これからよろしくです。