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第2人生ー2
「受かってる……!しかも全体2位!」
僕は掲示板を見上げて思わず声を漏らした。
念願の高校に、受かった。
そして、今日は前の人生で死んだ日の翌日。高校の直前に死んでしまう人生を回避したのだ……!
改めまして、僕は佐倉 永遠!念願の高校に入学した、高校1年生!
入りたかった高校に人生を2回かけて入学して、気分は最高――になればよかった。
探していた体育着が校舎裏の池でぷかぷか浮いていて、頭上から笑い声と丸い消しゴムが飛んできた。
俗に言う、いじめ。
水草だらけになった体育着を拾うことしかできなかった。問題にしたくなかった。本当はもっと遠くで給料のいいところに転勤する予定だったお父さんが、僕のためにわざわざ隣県に変えてくれたんだって知ったから。
昇降口近くの洗い場に体操着を置いて、水道を開ける。夏だから水道水もましだけれど、それどころじゃなく頭の中と胸の奥に鉛のような重みを感じていた。
なんで?どうしてこんなことされなきゃいけないんだ。何か気に障るようなことをした?まったく覚えがない。
僕はこの学校に入った理由があった。この辺りで大学の教育学部に推薦枠があるのはこの高校だけだからだ。僕は教師になりたくてこの高校を目指していた。
なのに。
「逃げたい……」
その理由が、霞みかけている。
僕がなりたかった「教師」は、こんな薄情者だっただろうか。
僕が育てたかった「生徒」は、こんな人でなしだっただろうか。
僕が勤めたかった「学校」は。
こんな地獄みたいな場所だっただろうか……。
昼休みに席を外した隙に現れた、机の上で何も知らないままに爛々と咲く菊の花。この仏花みたいに、主役になれない世界で半分も彩りを魅せられない。
真っ黄色の花を花瓶ごと持っていって、花瓶の水を排水口へ、花を窓の外へ捨てた。菊は風に好きにされながら、土に落ちた。
何も知らないふりをして、図書室に向かった。
その日は行きでパスカードの残金がなくなってしまい、帰り代を捻出するために昼食を抜いた。気を紛らわすための読書だったけれど、空腹でそれからも気が紛れる。
財布。帰り代を抜くと何も買えなかった1000円と少しの小銭が入っている、手のひらサイズの逃げる道具。
返してよ。
声にならない言葉が喉を掠めても、身体が必死こいて追いかけてくれるおかげで、相手からすれば絶好のオモチャだ。
夕日の差し込む教室の窓際で、哂い声に囲まれて、空腹のめまいと戦いながら手を伸ばす。
手から手へ、お手玉みたいに飛び交う財布に手を伸ばして。
世界が廻った。
目の前に赤い天頂が見える。身体全体が風をきっている。
――4階から、落ちてる。
また終わる?
なんだか救いのような気もするけど、でも死にたくはなかった。
こんな終わり方か――。また、やり残したことばっかりだ。
世界がゆっくり進んで、そして頭から地面へ
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第2人生
死因:落下による頭部損傷
昼間に時間有り余ってて「暇だし書くかー」って2時間より、
母から「もう寝ろ」警報が出るような夜の30分のほうが、
よっぽど量も質も素晴らしい文章が書けるのなんなん。
これも私のアイデアです。