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人気者のあの人と恋できるって夢見たい!
リメイク前↓
https://tanpen.net/novel/988737d7-255b-4ad7-9ab2-f16d8dcdf8d5/
「いいなぁ〜」
わたし・|佐野彩香《さのあやか》は教室のすみにある机に突っ伏した。そして、黒板の方をチラチラ見る。
そこには大勢の|女子《ライバル》が、1人の男の子を取り囲む。
彼は|岸谷理生《きしたにりお》。私が恋している人気者だ。かっこよく、運動もできる秀才。つんとしているがときどき優しい。そういうところに、わたしは惹かれた。
わたしが手に持っている恋愛小説は、見事なまでにハッピーエンド。
現実はそんなんじゃない。つらく厳しく、うまくいかない。
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はあ、とため息をこぼしたのがわかる。どうしたら、うまくいくんだろう。
「席替えをします」
そういえば、今日は席替えだっけ。
ぼーっとしつつ机を動かす。指定の位置へ揃え、ため息をつく。
「よろしく」
「あ、うん」
「わたし、彩香」
「俺は理生」
「えっ?」
り、理生くん!?
「はい、授業はじめます。今日は…」
授業が頭に入ってこない。まじめに授業を受ける理生くん、かっこよすぎるっ。汗がだくだくたれて、ノートの隅っこが濡れる。それなのに、すごくすごく、わたしは幸せだった。
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休み時間、話しかけてみる。
「ん?」
「理生くーん♡」
女の子たちをよそに、話す。いつもは引くけど、今のわたしは行くんだ。
「えっと、えっと…」
チャンスはつかむしかない!!
「前から、す、好きでした。付き合ってください!」
「い、いいよ。俺も好きだった。付き合おう。最近話題になっている連続殺人犯からも、守ってみせる」
えっ!!
付き合えるのっ!?
う、嬉しすぎる!!今どんな顔してるんだろ、赤い顔?感情でぐちゃぐちゃな顔?いや、なんでもいい。だって、わたし、幸せだから!
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「…やか!彩香!」
「わっ!…友美。」
|長谷川友美《はせがわともみ》。席が隣で、仲良くなった子だ。
「5分前、もうじき授業!」
「えっ!ありがとう。」
夢、か…。
正夢だといいな。
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「なあ、」
「えっ?」
図書室に行き、本を返却する。
すると、理生くんがいた!
夢じゃないよね?
「放課後、自習室に来い」
「わあ、うん」
放課後。わたしは自習室に来た。
「彩香、ありがとな。俺にしつこくつきまとわれなくて、嬉しくて。地味だけど、さ?俺、彩香に惚れたんだ」
「う、うん」
「だから、」
カチカチカチ。
どこかで、音がした。
理生くんが、自習室のカギをしめ、ポケットに入れた。そのポケットから対照的に出てきたのは___
「俺、彩香を傷つけてみたい。」
「え…?」
カッターナイフ!
怖い怖い怖い怖い!!
「助けて!助けて!!」
危険だ。
とにかく、その感情しかない。
「お願い!助けて!やめて!」
「ふふふ。かわいいなぁ、そんな泣き顔が。殺さないよ。だって彩香は俺の彼女なんだもん。たったひとりの彼女、殺すわけにはいかない。暴れないで。殺さないから。大人しくしていれば、いいんだから」
「そう」
理生はもう彼氏なんじゃない。殺人犯だ。それなら___
「その気、か」
なんだろう。この人といると、狂ったようになってしまう。
この人の泣き顔を見てみたい。さぞかわいいだろう。
ペンケースからペン型のハサミとナイフを取り出す。
「わたしも、あなたの泣き顔が見てみたいんだ」
そう言って、わたしは彼を___
可愛かった。次は誰に恋しようかなっ。
初期の初期、初めて投稿した一話完結。今回はグロ控えめにしました。
あと読み返すと、友美の下りはいるかな?って思いました。タイトルもあんましだし…まあ、タイトルを変えたらわかんなくなるのと、友美の下りがないとタイトルが意味をなさないので、改変はしませんでした。
たぶん、夢機能を使ってみようとしてうまくいかなかったんだろうな。