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7.隣村
(昔の生活の真似をしている村って、一つじゃなかったんだ!じゃあこの村もさっきの村と同じような感じかな?)
そして、響は、この村でこの山がどれくらい大きいのか聞いてみることにした。
「すみませーん。」
一番大きい家の扉をたたく。
―ガラガラ。
「なんだ?」
「少し聞きたいことがありまして。」
「お前は誰だ?そしてなんで我が答えねばならん!」
(うっわー、古い感じそのままだ!)
そして、響のこの村の評価は上がった。
「私はヒビキ・カグラ。」
「ふうん、名字持ちか。それで、富豪様が何の用だ?」
「いえ、そんなに富豪ではないですけど……。そして、私は質問に来たんです!答えてくれませんか?」
「断る!聞くなら村長がいい。」
「あれ?ここって村長さんの家じゃないんですか?」
「そうだよ。向こうにあるのが村長宅だ。分かったらさっさと行け。」
「ありがとうございます!」
「気味悪いやつ。」
ポツリと呟かれたその声は、響の耳には入ってこなかった。
「すみませーん」
「誰だ?」
「ヒビキ・カグラです。質問したいことがあってきました。」
「ヒビキ?うちの村にはそんな人は住んでいないな。だったら答える謂れはない。」
どうやらこの村長、村の人の質問しか答えるつもりがないらしい。
「その村の人に紹介されてここに来たんですけど。」
「……誰だ?」
(あ、これはいけるかも。)
「名前は知りません。あの大きい屋敷の人です。」
「少し待て。確認してくる。」
響は村長さんの話し方に少しがっかりしていた。なんだか普通だ。それよりはさっきの人のほうが村長さんっぽかった。
「待たせたな。確認が取れた。一つだけなら質問に答えよう。」
「ありがとうございます。では、あの山についてなんですけど、ここから山の反対側に行こうとしたら、山を登らなかったらどれくらいかかりますか?」
「7日だ。場合によってはもっとかかる。」
「え?」
「あの山は横に長い。手っ取り早く超えたければ山を登れ。」
「その場合は何日かかりますか?」
「一つ答えた。これ以上は答える必要はない。」
「そうですよね。すみません。」
(あぁぁ、どうしよっかなぁ。これじゃあ連絡できないじゃん。とりあえず、いったん村に戻ろうかな。そっちのほうがいろいろ教えてくれそうだし。お母さん、お父さん、大丈夫かなぁ。)
ホームシックが今更ながら起こってきた。
ぐぅぅぅぅぅぅぅぅ。
(お腹すいた。)
食事をしよう。その中に入っていたのは、硬いパンと、竹筒に入った飲み物だ。響は、毎日これが主なメニューであるために飽きてきた。だけど、これらの村が昔を模している以上、自分が何かを言う必要はないと考えていた。
「ぎゃああああああ!」
弁当のパンを取られてしまった。
(何の動物だろう?兎……だけど、兎に青色なんていたっけ?いや、今はそんなことはいい。それよりも、持っていかれたパンのほうが重要だ。だけど……昔だったら二食生活なのに、ここは三食生活で安心した。やっぱ、現代の人が昔の生活をまねするのは無茶なんだろうな。今日は……二食生活で過ごすしかないけど大丈夫だったらいいな。)
響は諦めることにした。
その代わり、早く帰ることにした。
「戻りました……。」
「おお、無事だったか。どこまで行けたかの?」
「隣の村まで……。ねえ、あの山ってどれくらいの大きさなんですか?」
「周りの長さが馬で15日じゃ。」
大体さっきの村の村長と言っていることは同じだ。そう考えていいだろう。
「山を越えたらどうなる?」
「あんな大変な山を越えるじゃと?誰もそんなのやりたがらんわ。」
「どんな道があるの?」
「はじめに人が越えられないであろう谷がある。」
「具体的には……?」
「行ったら分かる。あれを超えるのは無理だと理解させられるだろう。」
(そうか……。だけど、今の技術ってとてもすごいんだよね?それでも通れないなんてあるのかなぁ?あの山にそんなところなさそうだけど、ここは村長さんのことを信じて、裾を通っていくようにしようかな。だったら、やっぱしばらく村で過ごすしかないよね。)
「そうなんですね。じゃあ早速服の対価分の仕事、ください。」
「分かった。とりあえず農作業を手伝ってくれんか?今、麦のところが大変なんじゃ。」
「分かりました。」
そう言って連れていかれた先では……よく分からない植物が生えていた。
「ここって、麦を栽培しているんじゃないの?」
響は、当たり前だが、稲みたいなやつを想像していた。だが、そこにあったのは、ひまわりみたいな大きい花だった。
ファンレターありがとうございます。今後も精進してまいります。
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「乙女ゲームのヒロインは推しの悪役令嬢を幸せにしたい」
更新頻度を高くする予定なのでぜひ見ていってください。たぶんこの小説を抜かしますから。