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鏡の中のエメラルド
放課後の教室。
夕陽が差し込む中、アイリは机の上の小さな箱を開けた。
中には黒いレースと、深い緑の宝石がはめ込まれたチョーカー。
「 ……これ、つけたら、もっと可愛くなれるよね? 」
でも、その宝石は、ただの飾りじゃなかった。
首に巻いた瞬間、教室の色が淡く。ゆっくりと溶けていき、代わりに自分だけの世界が広がる。
壁も机も、友達の笑い声も消えて、全て真っ白になって。代わりに聞こえるのは、低く、甘い声。
『 もっと輝きたいんでしょ? だったら、その笑顔を 』
鏡に映った私。誰?
瞳は宝石のように冷たく、頬には涙の跡。それもまた|エメラルド《希望》みたいに。
ライブのステージに立つと、観客は息を呑み、拍手が止まらなかった。
でも、その光景もまた、色鮮やかに溶けていく。
ただ、胸の奥で宝石が脈打つたびに、
もっと強く、もっと深く、「 輝きたい 」という想いが。