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本編3
センパイから聞いた話は、すごく辛いものだった
理不尽にいじめられ、殴られ、
挙げ句の果てには仲間からも見捨てられる
こんな苦しいことはあるだろうか
「……そう、だったんですね」
「…すまん、いろいろ愚痴を言ってしまって…気分を悪くさせたよな」
「いえ、俺は全然…寧ろ、話してくれたのが嬉しかったというか…」
今まで気づけなかった自分に、いらいらする
「……その、彰人…?」
「あ…な、なんすか?」
「冬弥も…オレの事情、知ってるのだろうか…」
「…………それは…」
多分、知らないだろう
真っ先に俺に相談してくるはずだからな
『司先輩がいじめられてるらしい』…って
「…知らないと、思います」
「そうなのか…」
とにかく今は、司センパイが心配だ
うちに寝泊まりすること自体は大丈夫…でも…
何かの病気だったら…とか
もし、この人が死んでしまったら…とか
いろいろ考えて…分からなくなってくる
「彰人?大丈夫か?」
「あ…す、すみません…えっと…飯、食べます?」
「…いいのか?」
「はい。母さんにも話しておいたし…」
「ありがとう…じゃあ…」
「ん、肩貸しますよ」
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すごく、申し訳ない
ご飯も食べさせてもらって、
寝泊まりも、させてもらえて、
嬉しいけど…やっぱり罪悪感がすごい
…類達、怒ってるだろうな
結局ショーの練習、参加できなかったし…
「…はぁ」
風呂は控えた方がいいだろう
足の腫れが酷くなったら…まぁ、やばいだろうし
「…明日は休みか…」
病院、行かないとな
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「あ、天馬さん…だっけ?」
「…え、と…そうですけど…」
「寝る時は彰人の部屋貸してもらってね。遠慮しなくていいから!」
「…ありがとう、ございます!」
「ん、しっかり休んでね〜」
「…?あの人、どこかで見たことあるような…」
「まぁ、いいか」