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意外 後編
僕、知らなかったな。
まさかこんなことになるなんて。
でも、終わり良ければすべて良しというし。
今回のことはよかったんだと思う。
僕と同じクラスの城崎は、よく僕のことを見つめてくる。
何回か目が合うたびに確信したよ。
彼女、僕のこと好きだね。
小動物ような雰囲気を持つ彼女は、僕にとっても気になる存在だった。
目が合うたびに顔を真っ赤にしてそっぽむくんだ。
そのくせ、僕と話すたびにうれしそうなんだ。
他の人とは違うのにね。
僕は、彼女に告白することに決めたんだ。
でもやっぱりラブレターとかは苦手でね。
今日のデザートのプリンに好きです、と書いたんだ。
そして彼女にあげたんだ。
「これあげる」
彼女は頬を染めながら、ありがとうと言ってくれたよ。
昼休み、僕は彼女に返事を聞いた。
「プリン、どうだった…?」
思ったより小声になってしまった。違う言葉として聞き取られてしまったらどうしよう。
焦る僕をよそに、彼女は口を開いた。
「プリン?プリンなら郷田君が食べたよ」
顔から血の気が引いた。
まさか僕の気持ちが郷田君の手に渡ったとは。
表情をとりつくろえず、慌てた彼女がフォローしてくれる。
「大丈夫、なんでもないんだ」
ああ、なんてことだろう。なんて日だろう。
僕はすぐに、郷田君と話をしなければならない。
放課後、郷田君は一人で帰っていた。
僕は彼に話しかける。
「プリン!給食の!どうなった!?」
「プリン?え、なんで豊橋が…」
彼はきゅうに話しかけられて驚いていた。
それも気にせずまくしたてる。
「あのメッセージは気にしないで!郷田君にあてたものじゃないから!」
「あのカップの横の?あれ、城崎が書いたんじゃないの?」
「えっ!?」
聞くと、郷田君はあのメッセージを城崎さんが書いたのだと思ったらしい。
「なんだ、違うんだぁ!豊橋が城崎に書いたのかよ!」
「なあ豊橋。俺も城崎にちゃんと事情説明はするからさ、お前ももっかい告れよ」
「うっ…」
「おかしいと思ったんだよ。城崎にしては字がゆがんでるし、何より城崎は豊橋のこと好きだと思ってたからさ」
変な告白の仕方をしてしまったせいで、ここまで被害が出るとは思わなかった。
僕は後日謝罪と共に城崎さんに告白した。
無事付き合うことができた。
唐突に思いついた。