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5.100%の逆襲
すず
「最高傑作の試作品、か。……ふざけないで」
私は水槽に映る、自分と同じ顔をした無数の「製品」を睨みつけた。
目の前の男は、白衣のポケットに手を突っ込み、壊れたおもちゃを眺めるような目で私を見ている。
「バグがあるから面白いんだよ、ユキ。君のその『怒り』さえ、僕たちには貴重なデータなんだ」
男が手元のタブレットを操作した瞬間、私の手首の『No.000』が熱く脈打ち、全身に電流が走ったような激痛
が襲った。
「ぐっ……あああああ!」
痛みの向こう側で、真っ白だった脳内に鮮やかな景色が流れ込んでくる。
コンビニのジャムパンの味。放課後のチャイム。誰かと笑い合った、本当の私の記憶。
0パーセントだったはずの何かが、一気に100パーセントまで跳ね上がる。
「……私は、あんたたちの道具じゃない。私は、ユキだ!」
私の叫びに呼応するように、部屋中のアラートが鳴り響いた。
背後の水槽がパキパキと音を立ててひび割れ、制御不能のエラーメッセージが壁一面を埋め尽くす。
「なっ……過負荷(オーバーロード)だと!? 0号、何をする気だ!」
男が初めて顔を強張らせ、後ずさりする。
私は割れた水槽から溢れ出した水の中に立ち、男の胸ぐらを掴みあげた。
「システム終了。……ここから、全部壊してあげる」