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過剰投与
舌の裏側で、鉄と生砂糖の混ざったような味がし続けている。
庭の隅、湿った粘土質の土に埋めた種子から見たこともない茎が生え伸びてから三ヶ月が経つ。
葉の脈は鬱血した皮膚のように紫に跳ね、昼間はだらしなく垂れ下がり、夜になるとじわじわと毛羽立った茎を直立させた。
幹の途中に結実した拳大の果実は、熟すでもなく腐るでもなく、ぬめりを帯びた灰色を保っている。
毎晩、午前三時にぬるま湯で溶かした粗糖と、生ごみの汁と、濃縮したアミノ酸の液肥を根元へ注ぎ込む。
知らない果実に、甘い肥料をやり続ける。
指先についた粘つきを唇で舐めとると、甘さはいつも喉の奥で胸やけのような嘔吐感に変わった。
肥料を与えすぎた土壌はドブのような匂いを放ち、這い回る小さな羽虫たちが夜の光を浴びて黒い絨毯のように蠢いている。
美しさなど微塵もない。湿気と、腐敗と、過剰な糖分が混ざり合ったぬかるみだ。
柄杓を握り直し、どろりとした液を注ぎ足す。どうか甘くなりますようにと、祈るような心地で泥の表面をなぞる。
かつて誰かが私をどんな言葉で甘やかしたか、どんな粗末な愛で歪ませたか、もう正確には思い出せない。
だが、かつてその指が私に残した痕跡の深さだけは覚えている。
貴方を育てた誰よりも忘れられないように、私はこの正体不明の果実を舌が痺れるほどの執着で満たすことにした。
どれほど歪んだ毒を吸い上げようとも、一度ここに根を下ろしたものは私の与えるものしか喰えない。
ある夜、皮がみりと音を立てて裂けた。
中から溢れ出してきたのは果肉ではなく、濁った糖蜜の液滴と、私の爪の形によく似た硬い種子の群れだった。
匂いを嗅ぐために顔を近づけると、果実の裂け目がわずかに蠢き、私の呼吸を吸い込むように収縮した。
指を突っ込んでその粘液を舐めとれば、吐き気がするほど下品で、逃げ場のない甘さだった。その味に溺れながら、私は自分が育てていたのが果実などではなく、二度とこの庭から消え去ることのない傷痕だったのだと知る。